Mazda Roadster
マツダ「ロードスター」には1.5リッターのソフトトップモデルと「RF」と呼ばれるハードトップの2種類が存在するのはご存じの通りだ。6月に両車に商品改良がくわえられたので、改めてこの2台をテストに連れ出してみた。テスト車はRFが「VS」、ソフトトップは「Sスペシャルパッケージ」である。

◇人馬一体感の強調
1989年の初代デビュー以来、「ライトウェイトスポーツの星をめざして一貫して開発してきたのがロードスターです。このクルマは我々の中ではブランドアイコンとして使われるように、マツダ全体の考えを表現するクルマでもあります」と紹介するのは、マツダ商品本部ロードスター開発担当主査兼チーフデザイナーの中山雅さんだ。

"ND"と呼ばれる4代目ロードスターは2015年に発売。2016年にはRFと呼ばれる電動格納式ルーフを備えたクルマが導入されている。

今回の改良で最初に挙げられるのは、「エンジンの進化です。一言でいうと人馬一体感を高めたエンジンと呼んでいます」と中山さん。RFに搭載されている2リッターエンジンのトルクカーブを変更することで、トルクが全体的に太くなるようにしている。実は、若干ではあるがトルクの谷のようなものが存在したのだ。そこを埋めるように全域で大きなトルクカーブを描くようにしているというのだ。その結果、低回転においては市街地でのストップアンドゴーの時から扱いやすく、中回転域ではトルクの谷もなくなり気持ちよくシフトアップダウンを繰り返しながら自分のリズムで走れ、高回転域ではレブリミットを700回転高め文字通り7500回転のレッドまで気持ちよく回るように仕上がっているのだ。

Mazda Roadster
さらに、ロードスターとしては初のテレスコピック機能が追加されたもの大きなポイントだろう。これまでは重量の観点から採用を見合わせてきたというが、今回、よりドライビングポジションの適正化を図るために、上下42mmのチルト機構に加え、ストローク30mmのテレスコピック機能が採用された(ソフトトップ、RFとも共通)。

また、エンジンサウンドに関しても高性能エンジンにふさわしいものをより求め、力強いサウンドを目指しているという。

これらは主に2リッターエンジンを主体とした改良であるが、1.5リッターに関しても、わずかではあるが出力、トルクとも高められ、より燃費性能や全域でのトルクフルな乗り味が実現されている。

安全性に関しては、歩行者検知自動機能付きのアドバンスト・スマートシティ・ブレーキサポートや、交通標識認証システム、AT誤発進抑制制御(前後退時)などが採用されたほか、デザイン面ではブラウンのソフトトップ色を採用した特別仕様車「キャラメルトップ」や、ブラックメタリックのアルミホイールカラーが追加された。

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◇走らせる楽しさが増したRF
とにかくひらひらと舞うような身軽さがロードスターの大きな特徴で、それはRFでも変わらない。特にRFではハードトップを閉めていれば比較的剛性感は高く、しっかりとした印象が伴う。

一方、ソフトトップに乗り換えると、すべてを脱ぎ去ったようなまさに解放感を味わえる。もちろんボディ剛性は落ちてしまうが、そのあたりはマツダも心得たもの。ハンドリングには大きく影響を与えないように上手く力を逃がしているようだ。

Mazda Roadster
今回テストしたRFはAT、ソフトトップは6速MTを選択した。その理由は2リッターのトルクフルなエンジンにはATがマッチするだろうし、ユーザーとしてもその割合は高いと考えたからで、デビュー初期の試乗でもそのように感じていた。しかし、今回改めて乗ると、トルク特性が若干ではあれ変更されたことで、よりエンジンを回す楽しさが強調されていた。つまり、レッドゾーンまで使い切る楽しさが加わっていたのだ。更にエンジンサウンドも抜けの良い乾いた音なので、その印象が高められている。なので、こちらもMTにすればよかったと、当初は後悔したものだ。

Mazda Roadster
しかし、ATであってもパドルシフトを扱いながらワインディングを駆け巡り始めると、どちらでもいいかという気持ちにさせられた。コーナー途中からアクセルを踏み込み、少し腰を落とした状態で脱出させるFRならではの楽しみとともに、何度も述べた軽量なボディであることからコーナーからコーナーへ向かうのは快感以外の何物でもなく、ATであっても十分に楽しめたからだ。

そこには新たに加わったテレスコピック機能が一役買っている。前のモデルであっても決して不満はなかったのだが、これによりさらに好みのドライビングポジションが取れるので、よりドライビングに集中できるようになっている。

Mazda Roadster
◇軽さが強みのソフトトップ
ここまでRFを絶賛してきて何なのだが、ソフトトップに乗り換えると、ああ、これこそがオリジナルロードスターだなと納得させられる。ボディはより軽く、決して非力ではないが、必要にして十分なパワーとトルクを備えているので、場合によってはしっかりとアクセルを床まで踏みつけることが可能なのだ。自分の掌の中で持て余さずに遊ぶことができる、これこそがまさにロードスターのロードスターたるゆえんなのだ。

輸出仕様にはRFと同じ2リッターが搭載されたソフトトップがあるという。確かに軽いボディにハイパワーなエンジンは豪快な楽しみ方ができるだろう。しかし、個人的にも興味はあることは認めつつも、やはり1.5リッターエンジンで十分だと感じている。

Mazda Roadster
さて、良い面ばかりを書いてきたが、気になる点も確かにある。それはやはりボディ剛性がもう少し高いと嬉しい。特にソフトトップではぶるぶるとステアリングやウインドシールドが震えるのは気持ちいいものではないし、このあたりを改善すれば、より直進安定性が増すはずだ。またボディ剛性が高まれば、サスペンションもよりしなやかにストロークさせることで、コーナリング性能はそのままに、乗り心地の改善も図れるに違いない。もちろん車重増加とどちらを取るかといわれれば、もちろん車重が軽いほうを取るだろうが。

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◇個人的にはソフトトップだが・・・・
このあたりでソフトトップとRFのどちらを取るかを決めねばならないのだが、最初に結論をいってしまうと、ソフトトップを選ぶ。何より軽さ、そして開放感を求めるからだ。しかし、今回の改良で、より気持ちよく回るようになったエンジンとRFの車重とのバランスは絶妙ではあり、また、デザイン的にもグラマラスなRFを選んでも後悔はないだろう。MTかATかでいえば、やはりMTを選びたい。よりダイレクトにロードスターの楽しみを享受できるのはMTだと感じている。

実はこのあとで困ったことが起きた。この2台をじっくりと乗った後、輸入車のスポーティサルーン、しかもハンドリングでは定評のあるモデルに乗り換えたのだが、どうしてもステアリングを切ってからワンテンポ遅れるように感じてしまったのだ。それほどロードスターは人間の感覚に近く、機敏なハンドリングが実現されているのである。まさに人馬一体ということだ。


文・写真:内田俊一(text & photo by Shunichi UCHIDA)

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