BMW M4 CS
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BMWの取締役で開発部門のトップ、歯に衣着せぬクラウス・フローリッヒ氏が、LAオートショーで米国の自動車情報メディア『Road & Track』によるインタビューに答えた。フローリッヒ氏と言えば、新型「3シリーズ」の開発を率い、「"本物の"M3は過去のモデルだ」という熱心なファンの不満について「これ以上、批判は聞きたくない」と発言した人物であると覚えている方もいるだろう。彼は今回ロサンゼルスで、次期型「M4」にもマニュアル・トランスミッション(MT)を用意すると約束してくれた。

新世代のスポーツカーが登場するというニュースを聞く度に、シフトに関する不安を掻き立てられる通り、MTの消滅は避けられない未来であるらしい。直近ではフォードの新型「マスタング シェルビー GT500」が一例だ。このスーパーチャージャーを備える巨大なV8エンジンには、デュアルクラッチ・トランスミッションのみが組み合わされる。

フローリッヒ氏は、自分自身で操る機構が段階を追って完全に消滅することには疑念があるとしながらも、「正直なところ、純粋なエンジニアリングの観点から言えば、パドルシフトのオートマチック・トランスミッションの方がずっと速い」と語っている。「ずっと正確でスポーティです。特にニュルブルクリンクのようなコースを走る場合、ステアリングから手を離さずにシフトできる方が上手く走れます。全体を見渡せばマニュアル(トランスミッション)が将来的に消えゆく運命であることは確かでしょう」。しかし、彼はそれをできるだけ遅らせたいと考えている。「M4はマニュアルの最後の砦になるべきだと考えています。最後のMTはM4に搭載されるべきである。それが私の考えです」と語り、次世代のM4にMTを設定することを約束してくれた。フローリッヒ氏によれば、次期型M4は2027年か2028年頃まで生産されるだろうとのこと。つまり、あと10年近くはMTのクルマを新車で購入することができそうだ。

だが、最大トルクが600Nmにも達する最近のターボチャージャー付きエンジンに耐えられるMTを用意することは難しいという問題があるとフローリッヒ氏は指摘する。生産数が少ないMTの新規開発に投資することは採算が合わないため、次期型M4に採用するMTは現行のユニットを改良した物になるだろうとのこと。

また、フローリッヒ氏はM4の派生モデルを増やす考えがあることも仄めかした。ポルシェを例に挙げ、「彼らは毎月のように911の派生モデルを出しています。私たちはM4で同じことができる機会を逃したと思っています。ですから、M3とM4でもっとそうする(派生モデルを増やす)ことには関心があります」と語ったのだ。M3やM4には「Lime Rock Park」「American」「Frozen Gray」などの難解な特別仕様車に加え、30周年記念モデルDTMチャンピオン記念モデル、そして「GTS」「CS」「CSL」「コンペティション」といったお馴染みのバージョンが既にあることを考えると、これはなかなか興味深い告白だ。

フローリッヒ氏は、Mモデルがターボ付きや4輪駆動になることに対する批判にも反論している。「高回転型の自然吸気エンジンを求める声が多い。しかし、それでさらなるハイパワーを引き出そうとすれば、M3やM4の車体にV8やV10エンジンを載せなければならなくなる。するとフロント・アクスルに掛かる重量が重くなる。そしてステアリングのフィールが最悪になります」。彼は現在の直列6気筒ターボ・エンジンがV8より軽いことを指摘した上で「それは決して退屈なターボ・エンジンではありません。高回転までガンガン回ります」と語った。

では、4輪駆動についてはどうだろう?「正直言って、私は4輪駆動によるアンダーステアが大嫌いです。多くの4輪駆動車はハードに攻めると、熟練のドライバーがステアリング・ホイールと格闘するように操らない限り、アンダーステアが発生します。楽しくない。だから私は常に"絶対にアンダーステアにするな"と言っています」とフローリッヒ氏は語る。しかし、現行型「M5」は遂に4輪駆動となった。これについては「600馬力で後輪駆動だったら、0-100km/h加速は1秒近く遅くなったでしょう」と答え、「しかも4輪駆動の新型M5は、後輪駆動だった先代より車両重量は増えていません」と付け加えた。そして、ハンドリングに優れ、軽量な4輪駆動のM3とM4を開発しようとしていることを認めつつ、「しかしM3とM4に関しては、まだ純粋な後輪駆動車の市場があると思います。M4は我々のアイコンです」と語った。

次期型M3とM4が実際にどんなクルマになるのか、我々にはまだ分からない。しかし喜ばしいことに、マニュアル・シフトで後輪駆動を操ることができるというのは確かなようだ。


By JONATHON RAMSEY
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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