【試乗記】スバルの基幹車種「フォレスター」が5代目にモデルチェンジ 2.5リッター・ガソリンとハイブリッド「e-BOXER」を箱根で乗り比べる
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SUBARU フォレスター」がフルモデルチェンジし、5代目に進化した。今回は箱根をベースに試乗会が開催され、e-BOXERと2.5リッターのガソリンモデルを短時間ながらテストできたので、その印象をお届けする。

◆SUBARUの基幹車種
初代フォレスターがデビューしてから20年。2017年暦年では全世界で約28万台を販売し、グローバルで最も売れるスバル車に成長した。「世界で最も愛されているスバル車がフォレスターであるともいえるだろう」とSUBARU代表取締役社長の中村知美氏がいうように、スバルにとって最重要モデルと位置付けられている。

もう少し数字を追ってみると、現在スバルはグローバルで約100万台を販売しているので、およそ3割を占める車種だ。日本市場では、2015年と2016年では2万2,000台、2万4,000台と月販およそ2,000台を販売。日本市場では年間12万台をキープすることを目標にしているスバルとしては、月1万台のうちの20%を担う車種なのである。

主要市場のアメリカでは、アウトバックが約19万台、フォレスターで約18万台なので、アメリカでのスバルの年間販売台数、60万から70万台弱くらいを踏まえると、そのうちの40万台ぐらいはアウトバックとフォレスターが占めていることになり、日米ともに非常に重要な車種なのだ。

Subaru Forester
◆フォレスターの価値に磨きをかけて
そのフォレスターが第5世代を迎えた。中村社長は、「開発にあたってはより愛されるクルマを目指して徹底的にお客様の声を聞いた。その結果、安心と愉しさを高い品質レベルで追求したクルマ作りと、フォレスターそのものの価値をさらに磨き上げることがお客様の求めていることだった」とし、「その実現のために、クルマの基本要素であるパッケージング、デザイン、ユーティリティからスバルが得意とする安全性能、動的質感、パワートレインに至るまでスバル最新技術を惜しみなく投入した。我々スバルはお客様の笑顔を作るために信頼を再び取り戻し、安心と愉しさ、その価値を提供するような商品を作り続けていく」とフォレスター、そしてスバルの思いを語った。

そのフォレスターの価値とは、視界の良さや予防安全、世界トップクラスの衝突安全などのほか、最小回転半径を5.4mに抑えた取り回し性が挙げられた。これが今回のフルモデルチェンジの根幹とされ、"Trust in FORESTER(信頼)"と名付けられた。

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◆一緒に乗った全ての人へ
これをもとに、ユーザー調査の結果から導き出されたコンセプトは大きく2つ。ひとつは"Comfort for Loved Ones"だ。SUBARU商品企画本部プロジェクトゼネラルマネージャーの布目智之氏は、「自分だけではなく一緒に乗った方の快適を思う気持ちがすごく大事」とし、全ての席で快適に過ごせることはもちろん、特に今回は後席に関しても、前席と後席の間の寸法を確保することによって後席も広い空間を確保し、快適に過ごせるパッケージングとした。また、乗り降りがしやすいようにオープニングを上手に作り込んでいる。またUSBポートなども使いやすいように配された。

また、新装備としてドライバーモニタリングシステムが搭載された。これはいわゆる顔認証システムで、アイサイトと連動させることで、脇見や居眠り時にクルマ側から警報を与えるものだ。1台のクルマで最大5人分の顔認証が可能で、それぞれが登録したシートポジションやドアミラー、空調、メーター、マルチファンクションディスプレイの表示などが認証を行うことで自動的に設定されるようになる。つまり、夫婦でクルマをシェアしたりする場合でもいちいち自分のポジションに合わせる必要がなく、顔認証した時点ですべてが好みのものに設定される便利な機能といえる。

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◆冒険心を後押し
そしてもうひとつは"Stir of Adventure"といい、これは人の心の中にある冒険心を後押しするようなイメージ。例えば、一目でわかるタフな機能性やデザインを指し、エクステリアデザインでは立骨感のある逞しさ、SUVとしてリフトアップされた印象を指している。また、今回採用された新プラットフォーム、スバルグローバルプラットフォーム(SGP)により、車体剛性が大幅に向上し、サスペンションの能力を最大限発揮させることで、フラットライドと乗り心地の両立を目指し開発されたという。

エンジンは2.5リッター水平対向4気筒直噴エンジンと、2リッター水平対向4気筒直噴エンジンにモーターを組み合わせたe-BOXERの2種類がラインナップ。特にe-BOXERはこれまでの2リッターエンジンの進化系とされ、モーターでアシストすることにより、さらなる楽しさをも表現したいとのこと。従ってSI-DRIVEのスポーツモードを選択すると、よりパワフルな2リッターが体感でき、そのうえで燃費向上などの価値も高められた。

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◆EVならではの走りが楽しめるe-BOXER
では、まずはe-BOXERを搭載した「Advance」グレードから走り始めてみよう。その第一印象はきれいな路面ではかなりスムーズでフラットライドな乗り心地であるのに対し、荒れた路面やざらついた路面では少し足が固めということだった。実は以前、高速道路を主体とした試乗会が催され、そこではよりしなやかさを感じていたので、この印象が際立ったのだ。考えるに、きれいな路面での大きなうねりなどはうまくこなしているのに対し、細かい凹凸やざらついた路面は若干苦手で、それがドライバーに固い足として伝わってきたのだと思う。後述する2.5リッターはそれがより顕著で、高速道路の試乗会時の印象とも一致する。

信号などで停止してからの発進はとてもスムーズで、EV特有の無音の中、すっとスタートし、その後エンジンが始動し、より力強さが増してくるイメージだ。また、エンジンのかかり方は音でその状況は感じるものの、ショックや違和感はほとんどない優れたものだ。さらに、回生ブレーキ等の違和感も平たん路に関しては全く感じない。ここで、平たん路に限ったのは、長い下り坂などでは、踏力の変化や停止寸前に違和感を覚えることがあったのだ。他のハイブリッド車に比べればはるかに軽微だが、時に違和感があるというのはやはり気になるものである。

上り坂などでガンガンアクセルを踏んでいく状況ではCVT特有の、エンジン音が高まってから徐々に速度が追いつくイメージが出てしまった。もちろんこれも街中などでの一般路ではほとんど気にならないレベルなので、前述のブレーキと同様、箱根というシチュエーションが影響している。ただし、SUVとしての性格を考えると、こういった状況も十分踏まえる必要があるので、ぜひ、次の改良につなげていただきたい。

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◆きびきび走る2.5リッター
ガソリンエンジンの「Premium」グレードに乗り換えてみると、その印象はきびきびと軽いということだ。車重はe-BOXERと比較しおよそ110kg軽いのでその影響が大きく、コーナーなどでも軽快な印象だ。ただし、乗り心地に関してははるかに固くしなやかさはあまり感じられなかった。これは以前の高速試乗会でも感じたことで、おそらく今回履いていたタイヤが225/55R18(ブリヂストンDUELER H/P)だったことも影響していそうだ。同銘柄、同サイズのタイヤをe-BOXERも履いている。足回りのセッティングは車重に応じて変えてはいても、タイヤからの入力は大きく変わらず、非常にばね下が重い印象なのだ。もしより乗り心地を重視するならば、「X-BREAK」をお勧めしたい。こちらは225/60R17のオールシーズンタイヤなので、はるかにしなやかさが感じられるはずだからだ。

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静粛性はとても高く、エンジンノイズも上り坂などで大きく回転を上げない限り気になることはない。パワーは必要にして十分で、思った通りにリニアに回転が上がっていくのはガソリンエンジンの気持ちよさにつながっている。

アイドルストップからのエンジンのかかりかたとそのスタートは、当然のことながらはるかにハイブリッドの方がスムーズだが、それは直接比較して気づく程度のこと。普段使っていて気に障るようなことないだろう。

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◆視界良好、ボディ剛性高いが、乗り心地はもう一歩
どちらも共通して視界は良好で、スバルが重要視する0次安全は十分に確保されている。また、先代ではいくつかのスイッチを組み合わせなければならなかった4WDモードの切り替えも、今回はシチュエーションを明確化することと同時に、ひとつのスイッチで切り替えられるのは非常に便利だ。これはフォレスターのユーザーからの不満を解消したもの。もともと悪路走破性は高いので、これまでどうしたらよいかわからなかった人にもその効果を感じてもらえるだろう。

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また、SGPを採用したことで、ボディ剛性が高まり静粛性に大きく貢献していることがうかがわれた。乗り心地に関しては、先代に比べればはるかに良くはなってはいるものの、路面状況に応じて差が大きすぎる傾向があるので、より熟成を望んでおきたい。このプラットフォームであれば、それは可能なはずだ。なぜならしっかりとボディ剛性が出ているので、ある程度のショックはボディに任せ、その分足のセッティングを自由にできるからだ。全席の快適を目指すのであれば、ぜひそこは実現してもらいたい。

もうひとつ気になったこととして、細かいことではあるがオートライトの反応が鈍いことを挙げたい。これは日本車全般にいえることなのだが、夕暮れがかなり深まってもなかなかライトが点かず、思わず手動で点灯させてしまった。欧州車のように早め早めの点灯を望みたい。早めの点灯は格好悪いとか、周りが迷惑かもなど様々な意見はあろうが、早めの点灯は確実に安全につながるものだ。安全を標榜するスバルであればなおさら積極的な展開を望んでおきたい。

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◆e-BOXERがお勧めだが
さて、e-BOXERと2.5リッターガソリンエンジンを乗り比べた結果はいったん保留としたい。今回のテスト車だけでいえば、より乗り心地のしなやかさがあることからe-BOXERを選ぶ。確かに軽さからワインディングでは2.5リッターのほうがはるかに有利だ。しかし、常にそのシチュエーションばかりではなく、時に高速道路や街中などの日常使いも考えると、よりe-BOXERのほうが優れているからだ。しかし、こと乗り心地という点でX-BREAKは無視できない。実はタイミングが合わず試乗の機会を得られなかったので、実際にどうなのかという評価ができないことをお詫びしたい。従って、フォレスター全体でのお勧めはこれを試してからとさせていただきたい。


文・写真:内田俊一(text & photo by Shunichi UCHIDA)

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■関連リンク
SUBARU 公式サイト:新型フォレスター
https://www.subaru.jp/forester/forester/

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