Honda CR-V
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ホンダから発売された「CR-V」。5代目に進化したこのクルマは今回初めてハイブリッドモデルが追加された。短時間ではあったが、両車に試乗する機会を得たので、その第一印象をご報告しよう。

◆究極に普通のクルマ
1995年に誕生したCR-Vは、セダンの快適性とミニバンのユーティリティ、高い機能性を併せ持った都会的なSUVとして、日本を皮切りに世界各国へ活躍の場を広げ、4代にわたりホンダを代表するグローバルカーとして成長した。

そして、5代目となる新型CR-Vでは、「"守・破・離と原点回帰の帰"という武道で用いられる言葉を基に、あるべき姿を徹底的に考えました」と話すのは、本田技術研究所四輪R&Dセンター車体設計(ボディ)開発責任者の津嶋広通さんだ。

Honda CR-V
具体的には、「CR-Vが受け継ぎ守り続ける価値とは何か、打破すべきものとは何か、進化させ極めるべき強みとは何か、そしてSUVとしての立ち返るべき原点とは何かです。そして導き出した答えは、高い実用性を保ち、質感と力強さに磨きをかけ、快適な乗り心地を進化させ、タフな走破性を鍛え上げること。これらひとつひとつを突き詰めることでお客様の誰もが、いつでも、どこでも、自由で快適に走り回ることができるクルマとして、競合ひしめく厳しいグローバルのSUV市場でも埋もれることのない次世代のベンチマークになると考えました。それが我々の掲げた"NEXT GENERATION SUV"というグランドコンセプトになるのです」。そのうえで、「グローバルで年間70万台以上を販売する、世界中のお客様に使ってもらっているクルマの責任として、ことさらにとがる必要はない、つまりは誰にでも使えるストレスフリー、"究極に普通なクルマ"を作りたいという思いで開発しました」と思いを語った。

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◆ワンモーションコンセプトを基に開発
これらの考えのもと最も力を入れたのが徹底的に磨き上げたダイナミック性能だ。どんな場所でも、どんなシーンでも、誰が乗っても快適で安心して楽しめるクルマを目指し、"ワンモーションコンセプト"が掲げられた。ここには、①ドライバーのイメージとクルマの挙動が一体であること。②様々なクルマの挙動をスムーズな一元の動作にすること。③どんなシーンでも誰が運転しても一貫して安心感のある挙動を発揮することの3つの思いが込められている。

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このワンモーションコンセプトを実現するため、「新世代プラットフォームに刷新し、細部にわたり徹底的に磨き上げました。例えると、あらゆる状況下でもダイレクトでレスポンスの良いステアフィール、一発で決まるブレーキ、アクセル操作による加速感とエンジン音とのリニア感、優れた操縦安定性とフラットで快適な乗り心地を両立させたのです。世界中のシビアな要求を一つ一つ満たしながらこのワンモーションコンセプトをドライバーに提供することを目指しています」と津嶋さんは説明する。

パワートレインは、日本のニーズに応えるためとして、ガソリンとハイブリッドの2つが用意された。ガソリンエンジンは、1.5リッター直噴VTECターボで、車両特性に合わせ専用のターボチャージャーを採用し、燃焼効率を向上。レギュラー仕様でありながらハイパワー化を実現しているという。

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またハイブリッドモデルでは、「加速感とエンジン音とのリニア感、そして静粛性においてはガソリンより上質に仕上げました」と津嶋さん。そのシステムは、2リッターアトキンソンサイクルエンジンと、2モーターを搭載した「スポーツハイブリッドi-MMD」を採用。このハイブリッドシステムを採用するにあたっては、「リニアなフィーリングを追求するため欧州で徹底的に走り込みを行いました。車速に対してリニアにエンジン回転が上がるように専用チューニングを行うとともに、アクティブサウンドコントロール(スピーカーから音を出すことで、こもり音程減と適切なエンジンサウンドを出すことが目的の機能)の採用により、ドライバーの感性にリニアで上質なドライバビリティを追求しています」と説明。

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サスペンションはフロントにマクファーソン式ストラット、リアはマルチリンク式サスペンションを採用することで、高い操縦安定性と乗り心地を両立。また振幅感応型ダンパーや液封コンプライアンスブッシュなどの採用で不快な振動を効果的に低減し、上質な乗り心地を実現させた。

ステアリングはデュアルピニオンEPSを採用し、俊敏なレスポンスと滑らかな操舵感を実現。さらにVGR(可変ステアリングギアレシオ)の採用で、低速域でのきびきびした旋回性と高速域での車線変更などでより安心感のあるステアリングフィールを実現している。さらにアジャイルハンドリングアシストを用いることで、常用域でのハンドリング性能も向上させた。

ブレーキは電動ブレーキブースターと大径ディスクを採用し、クラストップの制動距離を実現している。また、ドライバーのイメージに忠実なブレーキフィールのために、ペダル操作から停車までをひとつのスムーズな流れに沿うように開発された。ボディは軽快な走りと高い安全性を両立させるために、ハイテン材を効果的に配置することで軽量化と大幅なボディ剛性を向上。静粛性能はロードノイズの遮断や、エンジン音と風きり音の低減を行い、クラストップレベルの静粛性能となっている。

AWDシステムはCR-V専用にセッティングしたシステムで、アクチュエーター制御や各センサーにより走行状況をフィードバックし、前後の駆動力配分を緻密に行うことで、コーナーのトレース性を向上。またリアのトルク容量を先代から1.5倍アップさせ、登坂性能や発進性能を大幅に向上させた。そしてホンダ初となるスポーツハイブリッドi-MMDとリアルタイムAWDを合わせることで燃費性能と走破性を高次元で両立させている。

Honda CR-V
新型CR-Vのガソリンモデルには、3列仕様が用意された。2列目シートは150mmのロングスライド機構を採用しているので、2列で使用する場合は後ろまで後退させるとゆったりと使え、3列目を使用する際は2列目を前にスライドさせ3列目と空間をシェアが可能だ。さらに3列目シートはリクライニングすることもできる。

また、乗降性の改善として、リアドアはほぼ直角に大きく開き、約100mm開口部が広げられたほか、ドアの見切り位置の断面の形状を工夫し、地面に足がつきやすく、またズボンやスカートの裾が汚れないように配慮された。

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◆必要にして十分なパワー...ガソリンエンジン
まずはガソリンモデルからテストを開始しよう。FF5人乗りの「マスターピース」という上級グレードだ。乗り始めて驚いたのが乗り心地のしなやかさだ。多くのSUVで感じられることだが、少しファットな大径タイヤを履いている例が多く、そのほとんどがバネ下が重くバタついた乗り心地を呈している。しかし、このCR-Vは全くそういうことがなく、静かで快適なSUVであることが伝わってきた。特に段差などをクリアする際や、少し荒れた一般道においてはとてもしなやかでショックを吸収しながら快適な走行が可能だ。なお、テスト車は235/60R18(ブリヂストンDUELER H/L 33)を履いていたことを記しておく。

その一方、ボディ全体が若干ゆすられる、言い換えると足とボディが別の動きをするような印象がわずかに感じられた。これはサスペンションがストロークするときに、わずかに遅れてその動きがボディに伝わってくるからではないかと想像する。もちろんこれは観察していて初めて感じたものであることをお断りしておこう。

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今回搭載されたCVTは優秀で、加速時でも昔のようにエンジン音が高まってから速度が追い付いてくるということはなく、不自然さは全く感じられなかった。また、1.5リッターターボエンジンも、ターボだと意識させず、十分なトルクとパワーで1,560kgのボディには必要にして十分だといえるだろう。峠道でもSモードでパドルシフトを活用しながらひらひらと抜けることができる。ここに貢献しているのがこれも気持ちが良いステアリングフィールだ。可変レシオなのだが、とても自然で路面からのフィードバックも適度にあることから、自信をもってコーナーに侵入できる。腰高感は若干拭えないものの許容範囲ではあるので、クルマの性格を考えると、コーナリングを重視するのではなく、このしなやかな足の方を取ったのは見識といってもいいだろう。

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◆意外にもコーナリングがスムーズ...ハイブリッド
では、ハイブリッドに乗り換えよう。こちらは同じく「マスターピース」という上級グレードで4WD仕様だ。ガソリンモデルはしなやかな乗り心地が際立っていたのに対し、ハイブリッドも同様の方向性ではあるものの、若干締まったイメージだ。これはバネレートやブッシュ類が固められているからだ。その主な要因は1,560kgのガソリンモデルに対し1,700kg(FFは1,650kg)と重量増であるためだ。その性格は当然ハンドリング方向ではなく、ガソリンと同じような乗り心地を求めてセッティングされている。しかし、この足回りが締まったことと、リチウムイオンバッテリーが後車軸周辺に置かれたことから低重心化が進み、コーナリングは4WDも影響を与えていることを勘案しても、明らかにガソリンよりも安定して不安はなかった。

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EV走行からエンジンが稼働するタイミングに関しては、平たん路を走っている限りでは特に違和感はなく、またCVTに関しても自然な印象だ。しかし、上り坂や高速等で一気にアクセルを踏み込んでパワーを引き出したいときには、加速途中からエンジンがかかり、一気に高回転まで回るので、かなりエンジン音が気になってしまった。ドライバーは意識しているので、それほど感じないのだが、ほかの乗員からは勢いよくエンジンが回っていることから、非力な印象があるという声が挙がりそうだ。また、CVTもこういったシーンではエンジン回転が上がった後から、速度が追い付くフィーリングが感じられた。

◆ドアミラーの位置が悪く死角発生
全体の印象はSUVであるにも関わらずしなやかな足回りを備えている乗り心地の良いクルマということで、それはこれまで述べてきたとおりである。これは高いボディ剛性だからできたこと。ある程度の悪路を想定した足回りのセッティングではあるものの、しっかりとボディがショックを受け止められるので、その分足回りのセッティングに自由度が生まれた結果、例えば、コーナリング中の段差などで、少し跳ねるかなと身構えても、きれいにいなすなどの懐が深く、しなやかな乗り味が実現できたのだ。

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一方、非常に気になる点もある。デザインについては好みの問題もあるので触れないが、ただし、ドアミラーに関しては改善を望みたい。具体的にはAピラー付け根から生えているので、特に左前方に大きな死角が発生してしまっているのだ。車高の高いSUVでかつ大型のドアミラーなのでこの影響は非常に大きい。ホンダでは「フィット」や「オデッセイ」などがドアにマウントすることで、死角を減らす工夫をしているにも関わらず、なぜCR-Vで実現できなかったのか理解ができない。

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もうひとつ、室内のセンターにあるエアアウトレットも気になる点だ。ここからの風を止めるには手動で風の吹き出し口を足元などに選ぶしか方法がないのだ。せめて左右のアウトレットのように風を止められるスイッチを設けて欲しい。そうすることで、オートのまま、好みに応じて風を止められるはずだ。特に女性は顔に風を受けたくないなど気にする方が多いので、ぜひ実現してもらいたい。

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◆ガソリンvsハイブリッド
さて、どちらを選ぶかだが、個人的にはガソリンモデルのしなやかさに魅かれつつ、ハイブリッドを選びたい。その理由は、今回「Honda SENSING(ホンダ センシング)」に渋滞追従機能も搭載されたので、発進から停止まで全部カバーすることが可能となったからだ。これとハイブリッドを組み合わせると、音もなくすっと走り出して、そのまますっと止まるという、全てEV走行ができるので、とても滑らかなストップアンドゴーが可能になった。そして、ハイブリッドのブレーキに違和感を全く覚えなかったことも理由だ。特にブレーキは回生ブレーキが介入しているときでも、微妙なペダルコントロールが停止時まで可能な優れたものだ。一方のガソリンモデルも劣っていることはなく、こちらを選んでも決して後悔はないだろう。しかもこちらにはハイブリッドにはない7人乗りもラインナップされているのだからそのメリットは大きいはずだ。


文・写真:内田俊一(text & photo by Shunichi UCHIDA)

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