【試乗記】ジープの象徴的モデル「ラングラー」が11年ぶりにモデルチェンジ! 乗りやすさが劇的に向上しながら悪路走破性も妥協なし
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FCAジャパンはジープ・ブランドの象徴的なモデルの本格オフローダー「ラングラー」を11年ぶりにフルモデルチェンジし、10月25日に発表、11月23日より販売を開始する。


■2リッターターボエンジンも登場

日本に導入されるモデルは「スポーツ」(2ドア、V型6気筒3.6リッター)、「アンリミテッドスポーツ」(4ドア、2リッターターボ)、「アンリミテッドサハラローンチエディション」(4ドア、V型6気筒3.6リッター)で、価格はそれぞれ税込みで425万円、494万円、530万円だ。なお、「ルビコン」に関しては来春以降の導入が予定されている。

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搭載される新開発の2リッター4気筒直噴ターボエンジンは最高出力272ps、最大トルクは400Nmを発揮。もうひとつの3.6リッターV型6気筒「ペンスター」エンジンは最高出力284ps、最大トルクは347Nmである。どちらもエンジンストップスタート(アイドリングストップ)機構を装備し、いずれのエンジンにも8速オートマチックが搭載されている。

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新型ラングラーではこれまでのパートタイム4×4に加え、ラングラー史上初のフルタイムオンデマンド4×4システムを初採用した。これは新たに設定された"4H AUTO"モードを選択することで、路面や天候状況に応じて駆動力を自動で前後配分するものだ。もちろんこれまでのパートタイムモードもあり、4Hや4Lを選べばセンターデフのロックが可能となる。

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さらに、先代「JK」型ラングラー(以下JK)を知っている方にとっては小回り性能が大幅に向上したのは朗報だろう。シャシー関係もすべて見直された結果、4ドアモデルで7.1mから6.2mへ、2ドアモデルでは6.0mから5.3mへ大幅に小さくなった。これでトレイル時にはもちろん、街中での使い勝手は格段に良くなった。このステアリングは電動油圧式パワーステアリングに変更することで燃費向上にもつながっている。

またドアの開閉時にロックポイントが設けられたほか、その閉まり方も、JKが室内のアシストグリップをしっかりと持って閉めなければ半ドアになったのに比べ、より軽く閉められるようになるなど、利便性も大幅に向上した。

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フルモデルチェンジに際し、デザインも見直され、燃費性能に考慮し空力も見直された。その結果、フロントウインドウは5.8度寝かされた。また、ショルダーラインを下げることでグラスエリアを拡大し視認性も大幅に向上している。しかし、7スロットグリルや台形ホイールアーチなどのジープデザインのDNAはしっかりと残されている。

気になる悪路走破性に関しては、アプローチアングル44度、ブレークオーバーアングル27.8度、デパーチャーアングル37度、地上高は200mmを確保。渡河性能は最大76.2cmとこれまで以上の走破性が確保された。

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そのほかにもラングラーの現在のユーザーはファミリー層が多いことを鑑み、後退時の後方視界を補助するリアカメラや、リアパークアシストを全車標準装備。また、フロントパークアシストやブラインドスポットモニター/リアクロスパスディテクション(アンリミテッドサハラローンチエディションのみ)も装備され、全体で70もの安全機能装備が追加されている。

日本市場でジープブランドは昨年1万台を達成。2010年には2000台にも到達していなかったことを考えるとその人気のほどが覗える。そのセールスを支えているのがラングラーで、昨年ではほぼ4割だった。従ってFCAジャパンにとっても要の1台といえよう。

因みにアメリカ市場もジープブランドは好調で、昨年末に新型ラングラーを投入後、今年の9月には過去18年間で最高の台数を記録した。本国でもラングラー人気は大きいのだ。

FCAジャパンがプランニングをする上で、ラングラーが位置するセグメントはD-SUVとされ、日産「エクストレイル」やトヨタ「ハリアー」がこのセグメントを牽引。輸入車ではメルセデス「GLC」やBMW「X3」、次いでジープ ラングラーは3位に位置しており、2位のX3と僅差だという。この数値は旧ラングラーとのことで、モデル末期であっても大いに人気を博しているのだ。因みにラングラーは本国アメリカに次いで日本が最も売れている市場なのだという。

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■小回りが利く!!

長い解説はこのくらいにして、早速走り出してみよう。今回は試乗会であったため限られた時間内での試乗であったが、オンロードは2リッターターボエンジンを搭載したアンリミテッドスポーツ、オフロードは3.6リッターのアンリミテッドルビコン(来春導入予定)をテストした。

オンロードに恐る恐る走り出してみて、すぐに気づき、かつ驚いたのはその洗練された乗り心地と小回り性の向上だった。JKはどちらかというとトラックに乗っている感覚に近く、常にゆすられているようなイメージで、これがラングラーの味だと無理やり納得していたものだが、新型のJLははるかに乗用車的になった。また、小回り性に関しても、JKが例えば路地から片側1車線の道路に左折で出る場合には反対車線へ大幅にはみ出る覚悟が必要だったが、JLはそこまで神経質になる必要はなくなった。それだけでもこのモデルチェンジが成功で、11年分の溝が十分に埋まっているといえるだろう。もちろんオフロード性能とバーターとなっては本末転倒だが、そうではないことは、後述するオフロードで証明された。

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その乗り味はまるで最近のSUVのように軽快で気軽に走らせることができる。そこに大きく貢献しているのが、新開発の4気筒2リッターターボエンジンだ。非常にスムーズで軽々と回転を上げるのが印象的で、多少、ターボの過給音はするものの、ターボラグは全く感じられず、2.2tを超えるボディを軽々と引っ張り上げる。アクセルレスポンスも自然なので、これであれば悪路でも気を遣わずにコントロールができるだろう。

また、新採用の電動油圧パワーステアリングは、路面からのフィードバックも適切であり、コーナリング時も狙ったラインをトレースすることができた。

高速時などでの遮音性も高く、ルーフが取り外せるなどこれまでのラングラーの利点はそのままに(もちろんドアも外せるし、フロントウインドウも倒せるが道交法違反になるので要注意)、大きく音が入ってこなくなったのは評価に値する。

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一方で気になる点もある。若干オフセットされたドライビングポジションとともにフットレストがないことだ。長距離移動はもちろんのこと、交差点時やコーナリング時など体を支えるためにフットレストはなくてはならない装備だ。特にラングラーのように悪路を走破することが主目的なクルマではなおさら。ぜひ、オプションでもいいので装着を提言したい。

オプションといえば、サハラローンチエディション以外にナビが装備されないのも厳しい。インポーターではApple CarPlayとAndroid Autoに対応しているからというが、やはり純正でナビは欲しいものだ。

シートは若干ホールド性が弱いようにも感じ、かつ背中の部分が張っているので、疲れやすく腰が痛くなりやすい印象を得た。

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■高い悪路走破性を継承しつつ乗り心地は向上

さて、ラングラーが本領を発揮するオフロードだ。今回のコースは猿投アドベンチャーフィールド(愛知県豊田市)を使い、20度以上のアップダウンやがれ場等を含んだ悪路であったが、ラングラーは常にDレンジで4Hに入れっぱなしでこと済んでしまった。

テストした車両は、3.6リッターのアンリミテッドルビコンだ。さすがにクルマを壊すことは避けたいので、ゆっくりと速度に注意しながら走り始めると、乗り心地が良いことに驚かされた。以前であればシートから体が浮いてしまうようなシーンでも、しっかりとサスペンションがそのショックを吸収し、しなやかにクリアしていくのだ。ステアリングへのキックバックも大幅に減少しながらも、フィードバックはきちんと伝わるので、安心して狙ったラインをトレースしながら、自信をもって悪路を走ることができるだろう。

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エンジンも十分なトルクを備え、低速域からしっかりとトルクが発揮されるので、がれ場や大きな穴の空いた登坂路などでもじわじわと進むことができる。

ここでやはり気になったのが、フットレストがないことだ。大きな段差や穴などをクリアする際にはいくらスピードが出ていないとはいっても体はゆすられる。そのときに体を支えるものがないので、結局のところハンドルにしがみつく結果となり、適切なドライビングポジションが取れなくなってしまった。

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フルモデルチェンジしたラングラーは11年の技術の進化を埋めるにふさわしいクルマだった。これまでのヘリテージを見失わず、悪路での絶対的な走破性を維持、あるいは向上させながらも、乗りやすさは劇的に進化したので、より一般的なユーザーもターゲットに拡販が図られるに違いない。


Text:内田俊一(Shunichi Uchida)
Photo:内田俊一(Shunichi Uchida)・FCAジャパン

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■関連リンク
ジープ ジャパン 公式サイト
https://www.jeep-japan.com/

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