【試乗記】フルモデルチェンジしたBMWのSUVクーペ「X4」に箱根ターンパイクで試乗
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登場からわずか4年半でフルモデルチェンジしたBMWのSUVクーペ(BMWではSAC=スポーツアクティビティ・クーペと呼ばれる)「X4」に試乗した。新型X4には、2.0リッター直列4気筒エンジン搭載の「30i」と、3.0リッター直列6気筒エンジン搭載の「M40i」があり、今回試乗したのは後者。SUVモデルながら、箱根の「アネスト岩田ターンパイク」を試乗会場としたBMWの意図を探るべく、さっそく走り出してみた。

BMW X4
X4 M40iが搭載するBMW伝統の直列6気筒3.0リッター・ガソリン・ツインパワー・ターボ・エンジンは、最高出力265kW(360PS)/5,500rpm、最大トルク500Nm/1,520-4,800rpmを発生。BMW広報によると、このモデルはサーキット走行にも適した「M」モデルの一つ下、走りにエッセンスを持たせた「Mパフォーマンス」モデルに属するもので、メルセデス・ベンツでいうAMG 63に対するAMG 43という立ち位置だ。当然走りのデータは高い位置にあり、0-100km/h加速は4.8秒を実現している。

BMW X4
スターター・ボタンでエンジンに火を入れると、まずはその静粛性に感心する。
走り出してもそれは変わらず、フロント245/40、リア275/35の極太21インチ・ランフラット・タイヤのロードノイズや、ボディサイドからの風切り音が全く気にならない。直6エンジンの滑らかな回転感覚も相まって、「上質なクルマだな」と誰もが思うだろう。ただしそれは、シフトレバー横のドライビング・パフォーマンス・コントロール・ボタンで「コンフォート」や「ECO PRO」モードを選んでいる時だけ。ターンパイクの登りで「スポーツ」を選択すると、性格は一変した。メーターカラーがレッドとなった車内には太くなったエンジン音だけが響き渡り、右足の踏み込みに正確にリンクする車速が、「駆け抜ける歓びってまさにこれだよね」と感じさせてくれるのだ。また、シフトパドルを使った「S3速」あたりで通過する中速コーナーでは、高い位置から路面を見ているにもかかわらずボディはほとんどロールせず、エイペックスを過ぎると弱オーバーステアに移行してスイッと曲がっていってしまうのにまた感心。「xDrive」四輪駆動システム、路面状況をセンサーが感知する「アダプティブ M サスペンション」、エンジン制御と内側ブレーキをリンクして作動させる「パフォーマンス・コントロール」、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)などが総合的にバランスして作用しているのだろう。コーナー手前のアクセルオフでは、リア両サイドのエキゾーストパイプから発する「パパパパーンッ」というアフターファイア音が、さらに気分を盛り上げてくれる。

BMW X4
新型X4のボディ・サイズは全長4,760mm、全幅1,940mm、全高1,620mm。ホイールベースを先代モデルから55mm延長した2,865mmとすることで、ルーフのクーペラインの優雅さを際立たせるとともに、大型化したキドニーグリルと深く刻んだプレスライン、X4専用に設計した横方向に細長く立体的なL字型リアLEDライトなどで、コンサバティブながらより低重心で存在感のあるスタイリングとなっている。

BMW X4
一方のインテリアもキープコンセプトで、ドライバーを中心にレイアウトされた各操作部の使い勝手は、前モデルから乗り換えてもまごつくことはないだろう。ただしパーツの素材やスイッチ類のフィニッシュ・レベルは相当に高くなり、ワイドになったダッシュボードや10.25インチのセンター・ディスプレイ、ジェスチャー・コントロール、スマートフォンのワイヤレス・チャージングなど、最新モデルらしいツボはきちんと押さえられている。試乗車のシートはヴァーネスカ・レザー製のスポーツ・シートを採用しており、柔らかくかつピタリとホールドしてくれるその出来栄えは、まことに心地よい。初代で少し気になったリア・シートの空間は、ホイールベースの延長により足元スペースを30mm広げたことで、長距離の移動でもパッセンジャーから不満が出るようなことはないだろう。525L(最大1,430L)のラゲッジ・ルームも、高さこそベース・モデルのX3に劣るものの十分な広さが確保されており、キック・モーションによるスマート・オープナーなどによって使いやすいスペースとなっている。

BMW X4BMW X4
こうして乗ってみると、全方向的に満足のいくマルチな才能を持った車に仕上がっているのがよくわかる。BMWのSUVであるXシリーズが、現在までに合計で560万台、X4だけでも20万台が販売された人気モデルに成長したのは当然だ。しかし、今やメルセデス「GLCクーペ」をはじめ、アウディ「Q5」、ポルシェ「マカン」、アルファロメオ「ステルヴィオ」、ジャガー「F-PACE」、ボルボ「XC60」など、クーペライクなSUVを数え出したらきりがない。それぞれが競い合い、さらに良い車になってくれることはユーザーにとってもありがたいことだ。

BMW X4 M40iの価格は977万円。フラメンコレッド・ブリリアントエフェクトのメタリック・ペイントやharman/kardonサラウンド・サウンド・システムなどが奢られた試乗車の価格は1千万円をわずかに超える1,002万5,000円となっていた。


文、写真:原アキラ(text & photo by HARA akira)

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