フォルクスワーゲン・グループ、ポルシェをプレミアム・ブランドの調整役に
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自動車メディア『Automobile』が、フォルクスワーゲン(VW)グループ内で進行中の組織と技術面における改革、そしてその変化がプレミアム・ブランドにもたらす影響について考察している。まず、大きな視点から見ると、ポルシェアウディベントレーブガッティランボルギーニの「今後の活動を調整する」役目を任命されたようだ。アウディはランボルギーニの管理をポルシェに譲り、ドゥカティはイタリアの会社法が許せば、ドゥカティ・エンタープライズと呼ばれる持ち株会社に移行する。上層部は、この組織再編を2019年1月1日に完了したい考えだ。

VWは、5つのトップ・ブランドのうち4つを結び付け、最大の投資収益率(ROI)を誇るブランドに統括させることでコストを節約したいと考えている。ポルシェは、自社の支出を4年間で年間23億ドル(約2,575億円)削減することを目標としており、すでにこの削減分はR&Dや製造などの内部プロセスを改善するために割り当てられているという。ポルシェにこれらの利益をシェアさせ、グループ内における他のスポーツカー・ブランドのためにプラットフォーム、コンポーネント、先進技術戦略の開発をリードすることにより、全体に利益をもたらすことが可能となる。

各ブランドに関する直近の計画は以下の通りだ。

ブガッティのステファン・ヴィンケルマンCEOは「シロン」の派生モデルとして、「シロン・スーパーレジェーラ」、完全にエクステリアを作り替えたオープントップの「シロン・アペルタ」、サーキット専用の「シロンSS」という3モデルを追加したいと考えている。スーパーレジェーラは「シロン・スポーツ」や「ディーヴォ」(写真)で行われた軽量化をさらに推し進めたクルマになるだろう。アペルタは「ヴェイロン・グランスポーツ」の後継モデルにあたり、着脱式ルーフを備える。変更されるエクステリアのデザインは、ディーヴォから影響を受けたものになる可能性がある。さらにブガッティでは、ポルシェやクロアチアの電動ハイパーカー・メーカーのリマック、イタリアの有名レーシングカー・コンストラクターのダラーラと共同で、「完全電気自動車のハイエンド・モデル」の開発を検討していると伝えられている。

ウラカン」と「アヴェンタドール」の後継モデル開発に取り組んでいるランボルギーニは、この新計画でちょっとした障害にぶつかるかもしれない。2台の新型車は「monofuselage」と呼ばれるカーボン・アーキテクチャを採用する方向で開発が進んでいたが、これではポルシェ主導によるグループ内の共有化とコストダウンに見合わない。このため、発表が2022年まで遅れる可能性があるようだ。

アヴェンタドール後継の次期フラッグシップ・モデルは、フロント・アクスルに前輪を駆動する2基の電動モーターを装備し、車体中央にバッテリー、そして後部には最高出力770ps前後の自然吸気V型12気筒エンジンと300kW(409ps)を発生する第3の電動モーターを搭載。トランスミッションは新開発のデュアルクラッチ式が採用される見込みだ。

ウラカンの後継モデルも同じカーボン・アーキテクチャを採用すると言われているが、会社の再編成がこれを停止させる可能性もある。このまま開発を進めるためには、アウディが「R8」の次期型モデルにランボルギーニのコストが高いカーボン・アーキテクチャを採用することを承諾しなければならないのだ。それでビジネスになるとアウディが判断し、3代目R8の開発にゴーサインが出るかどうかに掛かっている。もう1つの可能性としては、ポルシェが2011年から開発を続けている「960」と呼ばれるミドシップ・スポーツカーのアルミニウム製プラットフォームを採用し、これを他のグループ内のプレミアム・ブランドと共有するという方向が考えられる。

ベントレーとアウディは現在、どちらも多くの助けを必要としている状態だ。英国の高級車メーカーは財政上の問題を片付け、将来のヴィジョンを明確にする必要に迫られている。ベントレーは現在、1台のクルマを売るごとに2万ドル(約224万円)の損失が出ると、ドイツ版『ビジネス・ウィーク』が伝えている。アウディは深刻な人員過剰と支出超過の心配に悩まされているところだという。アウディをVWグループの稼ぎ頭に成長させた前CEOは、ディーゼル排出ガス不正問題で逮捕されてしまった

グループの全体的な再編成は(計画通りに進めばだが)歴史的な事業になるだろう。もし、VWがプレミアム・グループを立ち上げれば、その企業価値は1,200億ユーロ(約15兆7,000億円)以上になると『ブルームバーグ』のアナリストは見ているという。現在、VWグループ全体の株式市場における価値は670億ユーロ(約8兆7,700億円)となっている。


By JONATHON RAMSEY
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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