イタリアのアウトモビリ・アモス社が「ランチア デルタ フューチャリスタ」を発表!
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もう何年も前からランチア・ブランドは酷いことになっている。児童養護施設に電話して、フィアットクライスラーに親会社としての責任を糾弾したいくらいだ。しかし、今年はランチア特有の力強く快活な魅力を再構築するため、2つの取り組みが行われている。とはいえ、その2つともランチア自身やFCAではなく、外部の小さな自動車会社によるものだ。まず、長年の計画期間と多大な苦労を経て、ついにマニファットゥーラ・アウトモビリ・トリノ(MAT)社が「ストラトス」を本格的に蘇らせた。そしてまた、イタリアのレーシング・ドライバー、エウジェニオ・アモス氏と彼の設立したアウトモビリ・アモス社が「ランチア デルタ フューチャリスタ」と呼ばれるプロジェクトを発表した。

これは1980年代後半の「デルタ インテグラーレ」というコンパクトで闘争心に満ちたクルマの存在を、現代に伝えるという素晴らしい仕事だ。ランチアが2009年のパリ・モーターショーで、愛されずもはや忘れられた新型「デルタ」を発表した時にするべきだったことを実際に成し遂げたと言ってもいい。

アモス氏がベース車両に選んだのは、1989年に発売された「デルタ HF インテグラーレ 16V」。後に登場した「デルタ 16V エヴォルツィオーネ」は、アモス氏によれば「大事に保存される必要がある」ため、手を加えることはしたくなかったからだという。同氏が率いるアモス社の職人たちは、その車体から後部座席用ドアを取り去り、アルミニウム板を手で叩き出して製作したワイドなボディ・パネルを架装した。さらに前後バンパーやボンネット、フロント・グリル、テールリッド、リア・スポイラーはカーボンファイバー製に交換することで、車両重量を1,250kgまで軽量化できたという。

2.0リッター直列4気筒ターボ・エンジンには、新しいインテーク・システムとエキゾースト、大容量インタークーラーを装着し、最高出力が210psから330psに向上した。トランスミッションは強化され、ディファレンシャルはリビルド。もちろん、ワイヤー類も新品で引き直されている。サスペンションはジオメトリーを変更し、アンダーステアではなくオーバーステア気味に調整された。全部で1,000を超えるパーツが交換されたという。


グループBマシンの「デルタ S4 ストラダーレ」から影響を受けたというインテリアは、スポークにスイッチ類が装備されたステアリング・ホイールと、レカロ製のバケット・シートが同じアルカンターラで覆われている。これに合わせて後部座席も張り替えられた。ダッシュボードやドアのインナー・パネルにもカーボンファイバーが使用されている。

デザインはミラノのボロメオデシルヴァ、エンジニアリングはトリノのポディウム・アドバンスト・テクノロジーズ、内装はトリノのアラス、ブレーキはブレンボ、エンジン内部の機械類はアウトテクニカ・モトーリ、電装系はマニエッティ・マレリ、カスタム・ホイールはエヴォ・コルサ。全てイタリア製に拘ったとアモス氏は言う。

ボディにはアモス氏が所有するフェラーリ「F40」と同じ「Verde Brinzino」(グリーン)のペイントが施され、銅とセラックで作られたバッチはフェラーリのカヴァリーノ・ランパンテ(跳ね馬)を初めて製作した会社による物だ。

このランチア デルタ フューチャリスタは1台を製作するのに3〜4カ月を要し、価格は30万ユーロ(約3,860万円)になるという。ただし、アモス氏は15台以上製作するつもりはないそうだ。

ところで、このように過去のモデルを現代的に手を加えながらレストアするプロジェクトといえば、ポルシェ「911」の"再創造"で知られるシンガー・ビークル・デザインを思い浮かべる。実はアモス社とシンガー社は関係が深く、デルタのレストアにはシンガー社も技術協力しているという。シンガーの創設者であるリック・ディキンソン氏もデルタを1台オーダー済みだそうだ。



By JONATHON RAMSEY
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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