パイクスピークに挑戦したフォルクスワーゲンの「I.D. R Pikes Peak」、EV最速どころか驚異的タイムで新記録を達成!
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フォルクスワーゲンが開発したEV「I.D. R Pikes Peak」が、6月24日に米国開催された「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」で、ロマン・デュマ選手のドライブによって7分57秒148という驚異的なタイムを叩き出し、総合優勝を飾りました。



パイクスのこれまでの最速記録といえば、まずI.D. R Pikes PeakがエントリーしたEV部門では2016年、Drive e0 PP100を駆ったリース・ミレン選手の8分57秒118が最速記録でした。VWはあくまでもこれが目標タイムになると公言していたものの、それが三味線なのはマシンの出来栄えを見れば明らかでした。

つまり、VWが本気で狙っていたのはパイクス参戦マシン全体での最速記録で、2013年にPeugeot 208 T16 Pikes Peakがセバスチャン・ローブ選手を擁して叩き出した8分13秒878こそが、真の目標だったというわけ。そして、実際にデュマ選手が記録した7分57秒148は、ローブ選手の記録をおよそ16秒も短縮してしまいました。

しかも、I.D. R Pikes Peakの平均速度145.65km/hは同じく今年のパイクスにEVクラスで参戦し、総合2位になったNorma M20 SF PKPを11km/hも上回っており、約40秒もの大差でそのズバ抜けた性能を見せつけました。

I.D. R Pikes Peakはこれまでに登場したパイクスマシンの中で圧倒的な出力やスペックを持つわけではありません。ではなぜこのような圧倒的タイムを出せたかと言えば、それはモーターが備える、"瞬時に最大トルクを発生させられる"という特徴があるから。

しかも標高差による空気中酸素濃度の低下が出力特性に影響しないというのも、ヒルクライムにおけるEVの大きな利点で、これがポルシェの協力でデザインされた空気抵抗の少ないデザインと相まって、パイクスに156あるコーナーを抜けてからの加速を驚異的なものにしていました。

VWは急減速~急加速を繰り返すパイクスのコースを研究し尽くし、それに最適化したマシンを作り上げ、タイトルを奪うべくして奪ったということが言えるでしょう。

車の開発部隊を率いたVWのR&D部門責任者フランク・ウェルシュ博士は「マシン開発で得た知見は将来のVW車に還元され活用されるだろう」と語りました。VWは2020年には電気自動車I.D.およびI.D. Crozzを発売する予定です。ただ、急カーブにおける急減速と急加速に最適化したパイクスマシンの特性をそのまま市販EVに持っくるのだけはやめてほしいところ...ですが、もしかするとそれも峠を攻めるという分野においては、最高に楽しい車になるかもしれません。ただ、読者の皆様におかれましてはくれぐれも安全運転でお願いしたいところです。


By Munenori Taniguchi

※こちらの記事は『Engadget 日本版』より許可を得て掲載したものです。

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