Mercedes-AMG G 63, obsidian black metallic, AMG Exclusive nappa leather macchiato beige/ espresso brown. Kraftstoffverbrauch kombiniert: 13,1 l/100 km; CO2-Emissionen kombiniert: 299 g/km // Mercedes-AMG G 63, obsidian black metallic, AMG Exclusive nappa leather macchiato beige/espresso brown. Fuel consumption combined: 13.1 l/100 km; Combined CO2 emissions: 299 g/km.

Related Gallery:2019 Mercedes-Benz G-Class

フランス、シルキュイ・ド・シャトー・ド・ラストゥール。石コロと轍(わだち)だらけの未舗装のサーキット。深い水たまりにはまると、フロントガラスに大量の泥水が跳ね上がる。頭上にそびえる巨大な風力発電機は、まるで白く塗られたレッドウッド(アメリカスギ)のように、コーナーの外縁に沿ってにょきにょきと顔を出している。普通に注意を払って走れば、このラリー用のテスト・コースを安全に楽しむこともできるだろう。しかし、これは新型メルセデス・ベンツ「Gクラス」だ。ダラダラ走れば、その凄まじい能力に触れるチャンスを逃してしまう。まあ、Gクラスを購入する大半の人々はその能力に触れるどころか、大型駐車場で乗り回すくらいしかできないというのが正直なところなのだが。 「メルセデスAMG G 63」のアクセルを踏み込むと、ツインサイドパイプが唸りを上げた。3mはありそうな岩の間を、70km/h強で駆け抜ける。セバスチャン・ローブでもなければ、こんな悪路ではその程度のスピードでも速すぎるほどだ。もし助手席に座っていればあまりの速さに、旧い"ゲレンデ・ヴァーゲン"から引き継いだダッシュボードに備わるグラブハンドル(単なる郷愁から残された過去の遺物ではなく、実用的な装備であることがよく分かる)を必死に握り続けることだろう。まるでスプラッシュマウンテンから急降下する時みたいに、本能的にしがみついてしまうに違いない。

Mercedes-AMG G 63, obsidian black metallic, AMG Exclusive nappa leather macchiato beige/ espresso brown. Kraftstoffverbrauch kombiniert: 13,1 l/100 km; CO2-Emissionen kombiniert: 299 g/km // Mercedes-AMG G 63, obsidian black metallic, AMG Exclusive nappa leather macchiato beige/espresso brown. Fuel consumption combined: 13.1 l/100 km; Combined CO2 emissions: 299 g/km.
南フランスにある現実の山で、新型Gクラスは自身の驚異的なコントロール性を証明してみせた。正直に言えば、旧型のGクラスだって同じように走ることができただろう。なぜならこの山は、ラグジュアリーな先代の「500 GE」が、1990年にプレスの前で発表された際にも使われたコースだからだ。しかし過去30年近くの間に生産されたGヴァーゲンで、2019年モデルの新型Gクラスと同等の信頼を置けるものはまずないだろう。旧型のボール&ナット式油圧アシスト・ステアリングは、低速では重く、高速では緩さが目立ち、スピードメーターなどは、議会で質問を受ける政治家の答弁よりも曖昧だった。そこで新型では、岩を乗り越える能力が自慢の旧いソリッド・フロント・アクスルに代わり、ダブルウィッシュボーン独立懸架サスペンションを採用。前輪の位置決め、コントロールの維持、信頼性の向上などに、驚くほどの性能向上を実現した。

さらに、ボンネット下のV8エンジン周りに、サスペンションブリッジと呼ばれるストラットタワーブレースを装着することで、フロント剛性も改善された。銀行の金庫のようなルックスだけでなく見た目通りの剛性感を備えていた旧型と比べても、全面刷新された新型は総合的に55%も剛性がアップしているという。その揺るぎない堅牢性を前にすれば、他のどんなクルマも震え上がるに違いない。「驚異的」という言葉以外に、このクルマを表現する方法が見つからない。

Mercedes-AMG G 63, obsidian black metallic, AMG Exclusive nappa leather macchiato beige/ espresso brown. Kraftstoffverbrauch kombiniert: 13,1 l/100 km; CO2-Emissionen kombiniert: 299 g/km // Mercedes-AMG G 63, obsidian black metallic, AMG Exclusive nappa leather macchiato beige/espresso brown. Fuel consumption combined: 13.1 l/100 km; Combined CO2 emissions: 299 g/km.
それでは、カーター政権時代からGクラスを象徴する「粘り強さ、岩場の走破性、文字通りどんな場所でも行ける能力」はどうなったのか? エンジニアたちは、ダブルウィッシュボーン式フロント・サスペンションをラダーフレームのできるだけ高い位置に取り付けようと努力し、最終的に最低地上高(24.1cm:従来比+6mm)、最大渡河水深(70cm:従来比+10cm以上)、ランプブレークオーバーアングル、アプローチアングル、デパーチャーアングル(いずれも1度ずつアップ)の性能を向上させた。 リアのソリッド・アクスルは踏襲されたが、4本のトレーリングアームで舗装路面における乗り心地とハンドリングを向上させている(詳細は後ほど)。4輪駆動のローレンジも残されており、同様に伝統的なセンター、リア、フロントに備わる3つのデフロックは、今や空気圧制御式から電子制御式に進化した。さらに新型G 550に追加された「Gモード」は、不要なシフトチェンジを控え、ステアリング特性とスロットル制御をオフロード走行に最適化させる。しかし新型G 550は、依然としてオフロード・エンスージアストのためのオフロード車であり続けている。オフロード車の意味、使い方、乗るべき時、そしてそれに乗る理由を熟知している本物のマニアのためのクルマだ。そうなりたいと願う初心者オーナーは、オフロード・ドライビングというものに心して取り組むべきだろう。

Mercedes-AMG G 63 Edition 1, designo platin magno, Leder Exklusiv Nappa AMG schwarz. Kraftstoffverbrauch kombiniert: 13,1 l/100 km, CO2-Emissionen kombiniert: 299 g/km // Mercedes-AMG G 63 Edition 1, designo platinum magno, AMG Exclusive nappa leather black. Fuel consumption combined: 13.1 l/100 km; Combined CO2 emissions: 299 g/km.
もう1台のAMG G 63はというと、基本的にG 550とハードウェアは共通で、クリアランスもほぼ同等だ(ただしサイドパイプには注意)。しかし、オフロード走行用モードはGモードが1つだけではなく、ランドローバーのように「トレイル」「サンド」「ロック」と使い分けることができる。特にアダプティブ・サスペンションとステアリングの変化が顕著だ。G 63がこのような設定になっているのは、オフロードにさほど興味のない人々(あえて言えば「気取り屋」)にもっと購入してもらうためでもある。彼らには、分かりやすいオフロード設定がたくさんあった方がいいからだ。 もっとはっきり言えば、G 550もAMG G 63も、このような「オフロードにさほど興味のない」人達が引き続き顧客の大部分になる可能性がある。この気取り屋たちに、独立懸架サスペンションや改良されたソリッドアクスル、電動ステアリングなどによって、オンロードでは荒くて酷かった旧型のGクラスが、いかに現代的に進化したのかを説明しても、新型の魅力は十分に伝わらないだろう。とは言えもちろん、旧型はオンロードでも面白かった。無骨で不変のルックスや、高い着座位置に多くの人が魅了され、だからこそオンロードにおける酷さにも我慢してきたのだ。

Mercedes-Benz G 500 brillantblau metallic, designo Leder Nappa espressobraun/schwarz. Kraftstoffverbrauch kombiniert: 11,5 l/100 km; CO2-Emissionen kombiniert: 263 g/km // Mercedes-Benz G 500, brilliant blue metallic, designo nappa leather espresso brown/black. Fuel consumption combined: 11.5 l/100 km; Combined CO2 emissions: 263 g/km.
しかし、今やそんな魅力をずっと文化的で扱いやすいクルマで楽しむことができる。高速道路における安定性と、低速時の操縦性は大幅に改善された。以前はその力強さ...というかクセの強さに、Gクラスを購入することに二の足を踏んだ人も、今度こそはきっと欲しくなるはずだ。確かに、依然として車高は高く、不安定で、ステアリングも遅い。メルセデスの大型SUVとしてはGLSクラスの方がはるかに運転しやすい。しかし、以前のように魅力と引き換えに忍耐を強いられるトレードオフは、もはやそれほど顕著ではなくなった。

Mercedes-Benz G 500 brillantblau metallic, designo Leder Nappa espressobraun/schwarz. Kraftstoffverbrauch kombiniert: 11,5 l/100 km; CO2-Emissionen kombiniert: 263 g/km // Mercedes-Benz G 500, brilliant blue metallic, designo nappa leather espresso brown/black. Fuel consumption combined: 11.5 l/100 km; Combined CO2 emissions: 263 g/km.
人々が旧型Gクラスをやめて他のクルマを購入してしまった第一の理由が「強力すぎるクセの強さ」だとしたら、第二の理由は「昔らしさ」を意識し過ぎたそのインテリアだろう。旧型の後部座席は窮屈で、ドライバーの足元のスペースは足首をねんざしそうなほど狭く、まったく使いやすさなんてあったものじゃなかった。しかもカップホルダーの1つはメッシュの袋で、センターコンソールにちょこんと取り付けられていたが、影では「ジョックストラップ(男性の局部用サポーター)」なんて呼ばれていた。それも新型では姿を消し、便利な2つのカップホルダーがキャビン内に設置されている。そこにはもう、孫の服を着てカッコつけているおじいちゃんのような奇妙さはなく、紛うことなき現代のメルセデス・ファミリーの一員としての威厳を感じることができる。


Mercedes-AMG G 63 designo diamatweiß bright, Leder Exclusiv Nappa yachtblau/schwarz. Kraftstoffverbrauch kombiniert: 13,1 l/100 km; CO2-Emissionen kombiniert: 299 g/km // Mercedes-AMG G 63, designo diamond white bright, AMG Exclusive nappa yacht blue leather /black. Fuel consumption combined: 13,1 l/100 km; Combined CO2 emissions: 299 g/km.
現行型「Sクラス」や「Eクラス」と同じ2枚の大型ディスプレイが融合した12.3インチの「COMAND」ワイドスクリーンは、2つの丸型メーターと置き換えることもできる。その他、メルセデスの豊富なインフォテインメントと安全運転機能などにより、Gクラスは今や完全に21世紀型のクルマへと生まれ変わった。インテリア素材にも特別感があり、バターのように柔らかなレザーが、キャビン全体に美しくあしらわれている。さらに銀行の金庫のようなスイング式の後部ゲートにまで、ダイヤモンドキルトのレザーが張られる。しかし、このような大幅な現代化の中にも、旧型への郷愁もほのかに残されている。助手席前方には取っ手が備わり、デフロックのボタンは依然としてフロントとセンターに配置されている。

Mercedes-AMG G 63 Edition 1, designo platin magno, Leder Exklusiv Nappa AMG schwarz. Kraftstoffverbrauch kombiniert: 13,1 l/100 km, CO2-Emissionen kombiniert: 299 g/km // Mercedes-AMG G 63 Edition 1, designo platinum magno, AMG Exclusive nappa leather black. Fuel consumption combined: 13.1 l/100 km; Combined CO2 emissions: 299 g/km.
しかし、おそらく最も重要なのは、新型Gクラスのボディが長く、ワイドになったことだろう。後部座席のレッグルームは150㎜も広がり、快適にリクライニングさせることも可能だ。フロント・シートのレッグルームも38mm拡大しているが、背の高いドライバーには、まだちょっと窮屈な気もする。しかしもはや弱点というほどでもないだろう。オプションの「アクティブマルチカウンターシートパッケージ」を選択すると、シート・ヒーター、シート・ベンチレーション、マッサージ機能が内蔵されており、まさに天にも昇るような心地よさだ。このパッケージシートは、プレスリリースでも大いに宣伝されたように、ドイツの脊髄保健機関である"Aktion GesunderRückene.V."からも強く推奨されている。やるじゃないか。

Mercedes-Benz G 500 brillantblau metallic, designo Leder Nappa espressobraun/schwarz. Kraftstoffverbrauch kombiniert: 11,5 l/100 km; CO2-Emissionen kombiniert: 263 g/km // Mercedes-Benz G 500, brilliant blue metallic, designo nappa leather espresso brown/black. Fuel consumption combined: 11.5 l/100 km; Combined CO2 emissions: 263 g/km.
そのシートに身体を押しつけるパワートレインは、2種類の4.0リッターV8ツインターボから選べる。トランスミッションは従来の7速から9速オートマチックに進化した。G 550のV8エンジンは最高出力422psと最大トルク610Nmを発揮し、発進や追い越し加速の際には官能的で深い低音を響かせる。それは本当に魅力的で、同時に発生する力強い加速に思わず笑みがこぼれる。メルセデスは新型Gクラスの0-100km/h加速タイムを発表していないが、同等のパワーを持ちながら車両重量が170kgも重い旧型の0-100km/h加速は5.9秒なので、新型はそれより速いはずだ。

Mercedes-AMG G 63 Edition 1, designo platin magno, Leder Exklusiv Nappa AMG schwarz. Kraftstoffverbrauch kombiniert: 13,1 l/100 km, CO2-Emissionen kombiniert: 299 g/km // Mercedes-AMG G 63 Edition 1, designo platinum magno, AMG Exclusive nappa leather black. Fuel consumption combined: 13.1 l/100 km; Combined CO2 emissions: 299 g/km.
新型メルセデスAMG G 63は間違いなく、さらに速い。最高出力585psと最大トルク850Nmを誇り、旧型の5.5リッターV8ツインターボよりも最高出力が14ps、最大トルクは90Nmもアップしている。0-100km/h加速も旧型の5.4秒から、Aktion GesunderRückene.V非推奨の首が折れそうな4.4秒に1秒も短縮された。サウンドはさらに荒々しく、怒りに満ち、喧しいほど大袈裟だ。サイドエキゾーストの「ラウドボタン」を押せば、その叫びはより一層激しさを増す。

Mercedes-AMG G 63 designo diamatweiß bright, Leder Exclusiv Nappa yachtblau/schwarz. Kraftstoffverbrauch kombiniert: 13,1 l/100 km; CO2-Emissionen kombiniert: 299 g/km // Mercedes-AMG G 63, designo diamond white bright, AMG Exclusive nappa yacht blue leather /black. Fuel consumption combined: 13,1 l/100 km; Combined CO2 emissions: 299 g/km.
だが、AMGはオンロードにそれほど適していないように感じられた。もちろんパワーは申し分ないがそこまで必要ないし、固い乗り心地と手応えの強いステアリングは、かえって走りの味を悪化させている。標準装備の22インチ・ホイールは間違いなくその改善に役立っていない。動力性能に対し、正直言ってちょっと馬鹿げたやり過ぎ感(赤いアクセントがその例)や、背が高く不安定で重い車体が矛盾し、ハンドリングを改善したつもりの利点を現実的に理解することは難しい。やっぱりG63の真の価値を証明できるのは、フランス南部にある90kmのラリー・コースのようなオフロードだけなのかもしれない。しかし、同様に困難な厳しい地形においてさえ、より分別のある20インチ・タイヤを装着したG 550の方が、オフロード・ドライビングに熱中できる能力を発揮してくれるだろう。

Mercedes-Benz G 500 brillantblau metallic, designo Leder Nappa espressobraun/schwarz. Kraftstoffverbrauch kombiniert: 11,5 l/100 km; CO2-Emissionen kombiniert: 263 g/km // Mercedes-Benz G 500, brilliant blue metallic, designo nappa leather espresso brown/black. Fuel consumption combined: 11.5 l/100 km; Combined CO2 emissions: 263 g/km.
以上から判断すると、G63よりも価格の安いG 550の方が、ここでは真の傑作と言えそうだ。アイコニックな旧型を思わせる外観に、素晴らしいオフロード走破性能、劇的に改善された走行性と機能性。ああ、まさしくどこをとっても、クールなクルマじゃないか。

メルセデス・ベンツ G 550
エンジン:4.0リッターV8ツインターボ
最高出力:422ps
最大トルク:610Nm
トランスミッション:9速オートマチック
最高速度:210km/h
駆動方式:4輪駆動
エンジン位置:フロント
車両重量:5,349㎏(推定)
乗車定員:5名
燃費:記載なし
本体価格 1,562万円


By JAMES RISWICK

Related Gallery:2019 Mercedes-Benz G-Class


■関連記事
【北米国際オートショー2018】メルセデス・ベンツ、一見あまり変わらないようで実は全面的に刷新された「Gクラス」を発表! 

メルセデス・ベンツ、新型「Gクラス」の高性能モデル「メルセデスAMG G 63」を発表!

【発表会リポート】メルセデス・ベンツ日本、伝統を受け継ぎ生まれ変わった新型「Gクラス」を発表