ドイツ・ミュンヘン検察当局、アウディのルパート・スタッドラーCEOをディーゼル排出ガス不正問題で逮捕
フォルクスワーゲン(VW)グループのディーゼル車排出ガス不正問題を捜査しているドイツ当局は、これまでかなり長い間、獲物を慎重に狙うオオカミのように、アウディのルパート・スタッドラーCEOの周囲を取り囲んでいたが、ようやく終止符を打った。否認の連続と表立ったVWグループの支援にもかかわらず、スタッドラー氏は暗闇でオオカミを近づけないように原油のたいまつを振っている人のように見えた。だが、オオカミはついに噛みついたのだ。ドイツ当局は6月18日の早朝、ミュンヘン検察が発行した逮捕令状を執行するため、ドイツのインゴルシュタットにあるスタッドラー氏の自宅で同氏の身柄を拘束した。判事は、スタッドラー氏が証拠を隠蔽する恐れがあるとして、拘留を命じたという。

2015年11月、アウディは自社のクルマに排出ガス不正ソフトウェアであるディフィート・デバイス(無効化装置)を搭載したことを認めた。VWグループによる排出ガス不正問題の元となった違法ソフトウェアの発生源はアウディであると複数の報道機関が見なしている。今年5月末にドイツ当局は、排出ガス不正問題に関する1年半もの捜査の中で、重要な容疑者として、スタッドラー氏とアウディ役員のベルント・マルテンス氏の2人の名前を挙げている。そして6月初旬、ミュンヘン検察当局は排出ガス不正問題についてスタッドラー氏を尋問するため、同氏に出頭を命じた。同氏以外にも、VWグループ元CEOのマーティン・ヴィンターコルン氏、元アウディの技術開発担当役員ウルリッヒ・ハッケンベルク氏、そしてVWグループの役員らが出頭を命じられている。

その尋問から間もなくして、検察当局はスタッドラー氏とマルテンス氏の自宅を家宅捜索。アウディの購買担当責任者でもあるマルテンス氏は、アウディの排出ガス不正問題についての対応をVWグループと調整する特別委員会の責任者だったと言われている。どうやら尋問や家宅捜索などで発見した証拠品から、1週間前に検察当局は、スタッドラー氏を詐欺容疑とアウディが違法なディーゼル車を販売できるよう文書を改ざんしていた容疑で告訴に踏み切ったようだ。また、スタッドラー氏が2012年から排出ガス不正に関与していたとして同氏を告訴している。

この件に関するアウディの問題はそれだけではない。5月に同社は、約6万台もの「A6」と「A7」に、2015年の排出ガス不正問題で使われたソフトウェアとはまた別の排出ガスを制御する不正なソフトウェアが搭載されていたことをドイツ当局に認めている。

ミュンヘン検察は、いわゆる"捜査拘留"と呼ばれる期間中にスタッドラー氏を尋問する。一方、VWの役員らは6月18日、今後の対応について話し合うため会合を開いた。アウディがVWグループ内で最大の利益を占めていることと、スタッドラー氏がこれまで告訴を免れていたため、スタッドラー氏はポルシェ家やピエヒ家から強力なサポートを受けて、2017年5月に5年間の契約更新を果たしている。アウディは今回の逮捕に関し、「引き続き、スタッドラー氏には推定無罪の原則が適用されます」との声明を発表したが、シュタートラー氏がアウディおよびVWの監査役会に両社の取締役の任を解くように依頼し、両社の監査役会がこれを承認したため、アウディの監査役会は同社の取締役会会長に、暫定的に アブラハム・ショット氏を任命すると6月19日に発表した。この措置は、シュタートラー氏の拘束に至った状態が解決されるまで暫定的に適用されるという。ショット氏は2017年9月1日にアウディの取締役に就任し、販売・マーケティングを統括している人物だ。

ディーゼル排出ガス不正問題で同社の取締役経験者が逮捕されたのはシュタートラー氏で2人目。2017年9月には、かつてアウディのエンジン開発部門責任者を務めていたヴォルフガング・ハッツ氏が逮捕されている。