米国道路安全保険協会(IIHS)が、人気のある中型SUVの衝突試験を行ったところ、安全に関わる重要な問題点が浮き彫りになった。試験を行ったクルマのうち、最低評価の「Poor(不可)」となったのは、フォード「エクスプローラー」ジープ「グランドチェロキー」だ。この2車種は、IIHSが行った助手席側のスモールオーバーラップ前面衝突試験で、助手席の乗員が怪我をする危険が高いことが分かった。この試験は、クルマ(今回はSUV)を40mph(約64km/h)の速度で走行させ、電柱などの動かない物体に、フロントの車幅のおよそ4分の1が衝突する状況を再現したものだ。

IIHSでチーフ・リサーチ・オフィサーを務めるデビッド・ズービー氏は、「このグループのクルマの中には非常に高い安全性能を備えていたものもありますが、それ以外のモデルではエアバッグやシートベルト、車体構造に重大な欠陥がありました。そのようなSUVでは、右側のスモールオーバーラップ前方衝突の際、助手席の乗員が頭部や腰、脚部を負傷する危険が高いのです」と語っている。

IIHSによれば、2018年型フォード エクスプローラーは、運転席側および助手席側の両方において、スモールオーバーラップ衝突試験で、車両フロント部の構造が"非常に脆弱"ということが判明した。ドア・ヒンジのピラー部分が上下とも13~15インチ(約33~38cm)後方に食い込み、ドアシルは乗員側に6インチ(約15cm)押し込まれた。IIHSは、この状態だと助手席の乗員は右側の腰や左足の下部に怪我を負う可能性が高いと結論づけた。



2018年型ジープ グランドチェロキーも同様に安全性が高いとは言えない。下側ドア・ヒンジのピラーが10インチ(約25cm)後方に押し込まれただけでなく、助手席に乗せたダミーの頭部がエアバッグ越しにダッシュボードにぶつかった。さらに悪いことに、サイドカーテンエアバッグが展開せず、助手席側のドアが開いてしまった。IIHSによれば、右足を負傷する可能性が高い上、頭部に重傷を負う可能性もあるという。

スモールオーバーラップ前面衝突試験で「Acceptable(良)」の評価を得たクルマにも、改善の余地がはっきりと見られた。例えば2018年型ホンダ「パイロット」は、衝突に対する車体構造自体は高く評価された。しかし助手席側の衝突試験では、ダミーの頭部が展開したエアバッグからずれ、ダッシュボードにぶつかってしまった。同様の衝突が実際に起こった場合、頭部の外傷が予想される。

2018年型日産「パスファインダー」と2018年型トヨタ「ハイランダー」も「良」の評価を得た。

今回のIIHSによる衝突試験で最も高い「Good(優)」の評価を得たモデルは、2018年型フォルクスワーゲン「アトラス」、2018年型GMC「アカディア」、2019年型起亜「ソレント」だ。フォードやジープのSUVと比べると、GMCと起亜は構造部位のキャビン内への侵入が2インチから4インチ(5.1〜10.2cm)の間に留まり、これに対しエクスプローラーとグランドチェロキーは10インチ以上にもなった。

2019年型起亜ソレントは、今回テストされたSUVで唯一、IIHSから安全性能で最も総合評価が高いクルマに与えられる「トップセーフティピック+」を獲得した。




By NICK KURCZEWSKI
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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