フォード、オートバイのすり抜け走行を検知する技術で特許を取得 既存の運転支援システムと連動
クルマを運転していて、初めてバイクに"すり抜け"をされた時は、本当にびびった。あれは大学を出てカリフォルニアに引っ越して来たばかりで、ようやくロサンゼルスの通勤時間帯の大渋滞に慣れてきた頃のことだ。当時はフリーウェイでの銃撃事件が横行していて、"ロードレイジ(路上の逆上)"という言葉が使われ始めていた。そんな時にオートバイが私が運転するクルマの脇をすっ飛ばして行ったので、思わずダッシュボードに置いていた拳銃に手を伸ばしてしまった(というのは冗談)。

知らない方のために言っておくと、"すり抜け走行"とは、複数車線の道路において、二輪車が車両の間を縫うようにして走行することだ。渋滞して流れが遅い道路状況では、二輪車の方が先に進んで行けるわけである。米国のバイク・ライダー向けに法律の情報提供を行うサイト「Motorocycle Legal Foundation」によると、米国でこの行為が合法とされるのはカリフォルニア州のみで、「特に禁止してはいない」という州もいくつかあるという。ちなみに他国、特にアジアではごく一般的な行動だ。

二輪車側の言い分を聞いてみると、運転が上手なライダーであれば「すり抜け走行」は危険ではないそうだ。むしろ、危険なのは周囲への注意が散漫なクルマのドライバーの方で、何かに気を取られたり気が散っていて、サイドミラーの確認を怠り、後方から車間をすり抜けて接近する二輪車に気付かずに車線変更するから危険なのだという。

フォード、ドライバー・アシスト機能を利用したオートバイのすり抜け走行検知システムで特許を取得
ボッシュは最近、二輪車から自動車への通信技術を発表した。これにより「二輪車事故の3分の1を防ぐことができる」としている。しかしこれは全ての二輪車とその周囲の車両全てに同技術が搭載されていないと効果はなく、実現するまでに長い時間がかかることは明らかだ。連邦議会がこの技術の搭載を義務化する法律を制定し、自動車とオートバイの両メーカーがそれを遵守するようにしなければならない。

フォードが開発したシステムは、より現実的で、すり抜け行為とライダーの安全に関わるものだ。このシステムはカメラとセンサーを使って、すり抜けをしている二輪車を検知し、衝突を防ぐために介入までするという。同社にはこのシステムで特許を取得した。その特許技術は、車両の後方を映すカメラを、死角検知などのドライバー・アシスト機能と連動させ、カメラがすり抜けする二輪車を検知するとドライバーに警告し、さらにブレーキやステアリングを自動的に制御して事故を未然に防ぐという。

このフォードのすり抜け走行検知システムの特許は、現在と将来の2点において、期待を寄せられる問題解決法を併せ持っている。

1つ目は既存のセンサーや電子技術を利用するため、導入まで長い時間がかからないということ。ドライバー・アシスト機能は既に安価な大衆車にも搭載されているので、自動車メーカーのラインアップに急速にこのシステムが普及する可能性がある。

もう1つは、自動運転車が普及する未来における可能性だ。高度に洗練された技術を搭載する自動運転車であっても、オートバイや自転車のような高速で移動する小さな物体を察知するのは、人間のドライバーよりも難しい。あるいは自転車を押して歩いて道路を横切ろうとしている人間のように速度が遅くても、自動運転車がうまく認識できずに痛ましい事故が起きてしまったことは皆さんもご存じだろう。

米国の電気工学技術の学会誌「IEEE Spectrum」による最近の調査でも、自転車は「自動運転車のシステムが最も検知することが難しい問題」として挙げられている。すり抜けする二輪車は、さらに速度が速いのだから危険度が増す。

このフォードが取得した特許のように、自動車メーカーは何百もの発明に関する特許を取得しているが、それが製品化に結びつかないことも多い。しかし、自動車メーカーは既に他の車両や歩行者、自転車、さらにヘラジカのような大型動物までを検知する技術を持っている。

二輪車の事故は2015年から2016年にかけて5%以上も増加している。フォードのような技術はカリフォルニアなどの路上ですり抜けする二輪車の事故を減らすことに役立つはずだ。もちろんドライバーにとってもありがたい。後方から急に現れたオートバイにすり抜けされて、びびったりすることもなくなるからだ。


By Doug Newcomb
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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