フォードは「マスタング」を2015年型でフルモデルチェンジした時、多数のベントや角ばったエッジのあるレトロでマッスルなデザインを取りやめ、クリーンで豊かな曲線を描く有機的なシェイプを採用した。だからこそ、フォード自ら作り上げた美しい姿を冒涜するような後付けのスクープを用意したことに我々はショックを覚えたのだ。しかも、アクセサリーとして販売されているスクープの種類はかなり多い。ボンネット用の大型スクープや、リア・クォーター・ウィンドウ用スクープ、さらにドアの後方に取り付けるサイド・スクープまである。もちろん、これらのスクープは実際にエアを取り込むための穴なんか開いていない。単なる虚仮威しのダミーだ。そんな多くのフェイク・スクープを装着した上の画像と、下に掲載したノーマルのマスタングの画像を比べてみてほしい。この手のカスタマイズ用パーツは、どれほど悪趣味であろうとあらゆる人々の嗜好に応えようとするアフターマーケットのメーカーが作るべきものであって、クルマの基本的なデザインを魅力的にしようと懸命に努力した自動車メーカーが自ら作って売るものではないと思っていた。

もちろん、ショックを受けると同時に、我々のシニカルな思考はフォードがそうしたパーツを販売する理由をはっきりと感知している。つまり、スクープがカッコいいと思う人が大勢いることを、我々と同じようにフォードも知っているというわけだ。そういう人々は、自分たちのスクープを求める気持ちを、ファストバックのピラーとドア後部にスクープを追加したシェルビーのマスタングなど、あらゆる歴史を引き合いに出して正当化するだろう。彼らにとって、もはやそれが新型車の美的価値に合わなかろうが、なんの機能もなかろうが、一向に構わない。モデルチェンジしたってマスタングはマスタングであり、マスタングにはスクープが必要なのだ。

そんなふうに思うマスタング・オーナーがいる限り、フォードが儲けなければアフターマーケットの会社が儲けることになるだけだ。いくらかって? クォーター・ウィンドウ用とフェンダー用のサイド・スクープはそれぞれ一組269ドル(約3万円)、そしてフード・スクープは499ドル(約5.5万円)。これらは既に純正カラーで塗装されているので、別途の塗装費用は不要だ。

フォードとそのディーラーが販売するこうしたアクセサリー・パーツの売り上げは、1台につき1,000ドル(約11万円)相当にのぼるという。つまり、このセンスを間違っていると認識している我々を除く、全ての人にとってウィン・ウィンの状態なのだ。

ところでマスタングは2018年モデルでマイナーチェンジを受けた。願わくはフォードが悪趣味な風潮に対抗する姿勢を取り、2018年以降のモデルには醜い後付けスクープを発売しないでほしいものだが。2018年モデルに用意されているスクープは今のところ、2017年モデル用がそのまま装着できるクォーター・ウィンドウ用だけだ。そう、今のところは...。


By JOEL STOCKSDALE
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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