NTTドコモは、5月23~25日まで東京ビッグサイトで開催されたワイヤレスジャパン2018に、300km/h以上で走行することが出来るように専用開発した日産GT-R」を出展した。

余談ではあるが、一般車の加速Gは約0.6G、ホンダのF1マシンの加速Gは約1.5Gであり、仮に加速Gで5Gといったら相当凄い加速Gになる。なお、減速Gの場合、一般車のフルブレーキングで約0.8G、ホンダのF1マシンのフルブレーキング時の減速Gは、約4~4.5Gと猛烈な減速が可能とのこと(詳しくはこちら)。

本題に戻るが、ボディラッピングの5Gの意味は、もちろん加速Gのことではなく、第5世代移動通信システムを示している。ドコモは2020年のサービス提供開始をめざして、5Gの研究開発に取り組んでおり、その超高速実験用自動車として採用されたのがこのGT-Rなのだ。

2020年代の情報社会では、移動通信のトラフィック量は2010年と比較して、1000倍以上に増大すると予測されており、5Gはこのような増大するトラフィックに応えるネットワークシステムの大容量化を、低コスト・低消費電力で実現することを目標として開発が進められている。
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今回の実証実験では、GT-Rで撮影した動画を基地局と送受信する実験などが 日本自動車研究所 (JARI)の高速周回路で行われた。

レースカーからの中継では良さそうだが、そもそも、自動車の場合、公道では最高速110km/hでしか走行しないのだから、300km/hでの走行実験はあまり意味がなさそうに思える。

そこで、なぜこのようなテストを行ったのかを説明員に伺ったところ、自動車での利用というよりはむしろ、新幹線や今後開通するリニアモーターカー内での通信において確実に通信ができるかどうかを実験する必要があり、そのための300km/hでのテストが必要であったとのことだ。

それであればクルマではなく、実際に使われるであろう新幹線内で実験するのが良かったのでは?と質問したところ、何回も試験をする上で、限られた5Gの機器を使って試験をすることは、ダイヤ通り走っている新幹線では難しいとの判断から、GT-Rでの走行実験が決まったとのことであった。


テスト車両は、普通のGT-Rに見えるが、実は2008年モデルをベースに、レーシングチームの協力を得て、エアロパーツなど、最新のものに変更したり、エンジンにも手を加えたりしているとのこと。また重い機材を搭載して走行するために各部の軽量化や、すぐに300km/hに達するようにコンピューターのセッティングも施されているとのことであった。

さらに、タイヤも横浜ゴムが作った専用品が装着されているということで、かなり力が入った仕様となっていた。


室内には、5Gの移動基地局装備が設置されている。

なお、今回の実験では、最高速度305km/hで5Gデータ転送、293km/hで移動する5G移動局に対して、下り1.1Gbpsの超高速5G無線データ伝送、290km/hで移動する5G移動局と5G基地局の間の無線通信回線を維持したまま、接続先の5G基地局を瞬時に切り替える通信中5G基地局間ハンドオーバー、そして、200km/hで移動する5G移動局から上り4Kハイフレームレート車窓映像の5G無線ライブ中継に世界で初めて成功している。

今後とも、GT-Rを使った5Gの実験は行われるとのことだが、新幹線の営業最高速度は、東北新幹線で320㎞/h、そして超電導リニアによる中央新幹線は、走行試験で603㎞/hでの最高速度記録を持っている。

クルマの最高速度記録を調べると、603km/h以上も出るようだが、その速度で走行テストができる場所は限られる。今後リニアを想定する5Gの実証実験を行うためには巡航速度782㎞/hのホンダジェットなど航空機での実験が必要になりそうだ。

■関連サイト
NTTドコモ 公式サイト
https://www.nttdocomo.co.jp/