【短評】ロータス「エキシージ スポーツ 410」に英国で試乗! 「キャラクターは変わっているがコアは変わらない」
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自動車ブランドの価値観は、その製品が作られる環境によって決まる。道幅が狭く、路面はでこぼこで、道路脇に垣根が並ぶイングランド東部は、ロータスが進むべき道について多くのことを教えてくれる。また、会社代表の特徴もブランドの意向を物語る。ロータスのジャン-マルク・ゲールズCEOは、欧州人の官僚的なビーン・カウンター(お金の計算にうるさい人)として、あからさまな態度を取り続けて来た。しかし、重量とコストを削減してサーキットと公道の双方における性能向上を図るという同氏のアプローチはブランドの特徴を明確化し、中国資本によってこれまで以上に幅広い顧客を取り込める可能性をもたらした。

ゲールズ氏はクルマを速く走らせ、迅速に考え、ためらうことなく行動する。きっと彼は自分と同じような気質の人々やスピードを好むのだろう。Autoblogに新型「エキシージ スポーツ410」発表を伝える記事が掲載されたことを喜んだゲールズ氏は、エキシージ スポーツ410を米国で販売する予定がないにも関わらず、英国の工場で試乗する我々を温かく迎えてくれた。

エキシージ スポーツ410は、基本的に過去20年間に作られた全ての「エリーゼ」や「エキシージ」と同様に、押出成形したアルミニウム材による接着構造のシャシーがベースになっているが、重量とエンジンの気筒数とパフォーマンスはますます増大し、サーキットを走ればポルシェ「911 GT3」のオーナーがバックミラー越しにその姿を目にするほどの域に達している。

1.8リッター直列4気筒エンジンから「エヴォーラ」譲りの3.5リッターV6スーパーチャージャー付きエンジンに換わり、エキシージはれっきとしたホットロッドへと進化した。当初の繊細さは失われつつも、繰り返し強化され、性能は向上して来たが、生産台数は依然として少ない。最新作のスポーツ410は、昨年秋に登場した(現在のところ)最強バージョンの最高出力430hpを誇る「カップ430」から多くのアップグレードを受け継ぎながら、公道走行向けにデチューンすると同時に価格を抑えたモデルだ。カップ430と違って、スポーツ410ではオープントップのロードスターも用意されており、ロータスの有名な「軽さを加える」というポリシーを、ルーフパネルを取り除くという究極の形で体現することができる。



スポーツ410の性能は間違いなく、地方の一般道では持て余すほどだ。アクセルを踏み込むと、各コーナーの間を軽やかに舞うというよりも、爆発的な加速で疾走する。ステアリングのパワーアシストがなく、太くてグリップ力の高いミシュラン「パイロット・スポーツ・カップ2」タイヤを履き、乾燥重量が1,100kgに満たないということを思うと、エキシージは驚くほど荒々しいクルマだ。

かつて米国空軍B-24リベレーターが離着陸していた滑走路に作られたロータスのテストコースなら、エキシージの性能を理解するのにより適した場所と言えるだろう。410に装着されているダンパーは、カップ430のナイトロン社製3段階調整式ダンパーを少し緩めたものだが、ロータスは運動性能と快適性能を組み合わる能力に長けたことで知られる会社だ。エキシージはコーナーではフラットな姿勢で嬉々として曲がりたがるで一方で、路面に凹凸のある場所でもまるで浮かんでいるように落ち着いている。最高速度290km/hで発生する150kgものダウンフォースは実に有効だが、長い直線から思わずお尻が引き締まる120mph(約193km/h)でウインドソック・コーナーに入る時にも、ダウンフォースは1kgでも多い方がありがたい。


トヨタの「アバロン」や「ハイランダー」に積まれているエンジンは、まるで解き放たれたかのようにワイルドな側面を見せると言っていいだろう。オプションのチタン製エキゾーストから響く怒ったような唸り声は、エーデルブロック製スーパーチャージャーの金切声をかき消してしまう。剥き出しのギアリンケージは、露出狂のようにギアチェンジの動作を露呈し、そのギア比もかなりのクロースレシオに設定されている。ゲールズ氏はポルシェのロングレシオを皮肉らずにいられなかったようだ。さらに印象的なのは、ウエイトとコストを削ぎ落としているにも関わらず、レースコースの縁石に故意に乗り上げても、エキシージはガタついたり悲鳴をあげたり反発したりする兆候を一切見せなかったことだ。もちろん「ケイマン」ほどではないが、過去20年の間で最もしっかりした作りに感じられた。

ただし、そのキャラクターは変わってしまっている。このエキシージのフォルムはサーキットから叩き出されたもので、丁寧に彫り込んで作られたものではない。従来の精密さはある程度の野蛮な力によって増幅されている。しかし、依然としてこのバランスと軽さはエキシージのコアであり、エキシージ スポーツ410に用意されている全ての軽量化オプションを装備すると、あのカーボンファイバー製シャシーを持つアルファ ロメオ「4C」とほぼ同等の乾燥重量となる。それでエンジンの排気量は2倍、パワーは176psも4Cを上回るのだ。


乗車する際に幅広のサイドシルを乗り越える曲芸が必要になることと、運転席と助手席が近すぎることの2点が、この旧型のシャシーが米国人の好みに合わない理由だ。エヴォーラが連邦規制をクリアしているのに対し、エリーゼとエキシージはそうではない、というのが米国で販売されないもう1つの理由だ。ゲールズ氏によると、現行のエリーゼとエキシージに後継モデルが登場すれば、それは米国の規制に準拠したものになるという。ということは、より大きく、重くなることは避けられないだろう。それによってパワーステアリングが必要になり、タイヤの幅が広がり、さらなるパワーアップを余儀なくされるとしたら、ロータスの精神が失われてしまう危険性がある。

ゲールズ氏が直面している新たな挑戦は、エキシージを特別なクルマにしている純粋性を維持したまま、国際的な安全基準や様々な要件を満たすことである。幸いにも、彼のような"スピードを求めるビーン・カウンター"は、まさにロータスがボスに必要とする資質であると思われる。


By DAN TRENT
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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