超音速カーBloodhound SSC、ロケット点火の試験走行を2019年5月に延期。資金調達と新技術投入のため
2018年現在、自動車としての世界最高速記録は、1997年にThrust SSCというジェットエンジン車が記録した1227.985km/h。換算するとこれはマッハ1.016となり、同時に世界初の超音速記録としても歴史に刻まれることとなりました。

そして、この最速記録を更新すべく2008年から開発が続けてられているBloodhound SSCは、2019年後半にその記録への挑戦を実施する予定です。ところが、Bloodhound SSCのプロジェクトは今年後半に予定していた試験走行を2019年5月に延期すると発表しました。

プロジェクトのチーフエンジニアを務めるマーク・チャップマン氏は、試験走行の遅れについて資金不足をあげています。試験走行で本番用のデータを収集するため、エンジニアとしては走行条件を記録挑戦のときにできるだけ近づけたいものの、現状ではウィングレットやエアブレーキといった一部の装備を試験走行までに揃えられないとのこと。チャップマン氏は「現時点でスケジュール変更は理にかなっている」としました。

そもそも本プロジェクト開始当初である2008年時点では、2011年ごろの記録挑戦を計画していました。しかし、極端に特殊なマシンの開発にはどうしても時間がかかるもの。

Bloodhound SSCの場合、戦闘機ユーロファイター タイフーンのジェットエンジンで約480km/hに到達し、そこからハイブリッド・ロケットエンジンに点火して約1610km/h(およそマッハ1.3)にまでブーストするという2段階加速を行います。総出力は13万5000馬力、ロケットへ燃焼剤を供給する動力にジャガー製スーパーチャージャー付きV8(初期はコスワースのF1用V8とされた)エンジンを搭載するなど、ブッ飛んだ仕様はなんとも英国ならではで魅力的ではあるものの、それを完成させるには時間とともに相当に分厚い財布が必要です。

さらにプロジェクトは現在Bloodhound SSCにバッテリーもしくはスーパーキャパシターを動力源とする電気的な技術を追加しようとしているとのこと。どうやらこれも延期の原因のひとつのようで、プロジェクトのディレクター、リチャード・ノーブル氏は「Bloodhoundでその電気的技術を世界に広めたい商業的パートナーを探している」とBBCに語っています。



プロジェクトは2017年10月には初の試験走行を行い、F1マシン並みの約320km/hという速度を記録しました。次の試験走行は2019年前半に延期されたものの、記事執筆時点で記録挑戦の時期は、これまでどおり2019年後半となっています。

そろそろ、Bloodhound SSCが音速の壁を、さらにはリチャード・ノーブル氏自身が打ち立てた既存の自動車最速記録をも打ち破る瞬間を見たいものです。

By Munenori Taniguchi

※この記事はEngadget日本版の許可を得て転載いたしました。