20年落ちのTVR「キミーラ」で、北極圏から南米の端まで約3万8,000kmをロードトリップ!
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今回ご紹介するのは、聞けば聞くほど興味を引かれる話だ。簡単に言えば、英国人の男性が1つのパブから別のパブにクルマで移動したという話だが、それだけでは特に珍しくもない。しかし、その2つのパブが3万8,000kmも離れており、一方は北極圏にあるスバールバル諸島の凍りついた島に、もう一方は南米チリのティエラ・デル・フエゴにあると分かれば、とてつもなく興味深い話となる。さらに、実際にこの快挙を成し遂げたベン・クームズ氏の使ったクルマが、信頼性に定評のあるモデルなどではなく、20年落ちのTVR「キミーラ」であると知ったら、クルマ好きなら俄然興味が湧くに違いない。

キミーラは、英国の少量生産自動車メーカーであるTVRが、1994年から10年近くの間、ブラックプールで製造していたモデルだ。FRP製ボディを持つ2シーターのコンバーチブルで、ローバー製V8をベースとしたエンジンを搭載していた。1947年にトレヴァー・ウィルキンソンがTVRを創設してから70周年を記念して、この企画ではTVRが使われることになったという。『BBC』や自動車情報サイト『PistonHeads』の記事によると、クームズ氏はこのキミーラを「ザ・マペッツ」のキャラクターになぞらえて"カーミット"と呼んでいるそうだが、丸みを帯びたスタイルのグリーンのスポーツカーにはお似合いの愛称だ。


Pub2Pub」と名付けられた今回のロードトリップは7ヶ月にわたり、24ヶ国、2万3,500マイル(約3万8,000km)の距離を移動したという。2017年7月、クームス氏は北極海のスバールバル諸島にあるかつての旧ソビエト連邦の炭鉱の町、ピラミーデンを出発した。ここは定住する人々のいる最北の地であり、1件のパブが存在する。そこからノルウェー北部へとクルマを運びスカンジナビア半島を南下。スウェーデンではクームス氏はケーニグセグの工場を訪れている。その後、ヨーロッパの国々を走り抜けると、英国のサウサンプトンでクルマを船に載せ、米国へ渡った。今度は北米大陸を横断してカリフォルニアに到着。あとはひたすら南へとクルマを走らせ、世界で最南端にある一般市民向けのパブを目指し、チリのプエルト・ウィリアムズへと向かった。


驚くことに、このロードトリップの間に本格的なクルマの修理が必要になったのはただの1度だけで、ニカラグアでクラッチを交換している。コスタリカでは、地元の権威の要請で右ハンドル車のTVRはトラックの荷台に載せられて国を横断する羽目となったという。しかしこれは、単に右ハンドルのクルマが好まれなかっただけで、クラッチの交換が必要になったことを別にすれば、全行程でクルマの故障は一度も起きていない。パナマとコロンビアを隔てる有名なダリエン地峡は、クルマをフェリーで運び乗り越えている。コロンビアから先の8,000マイル(約1万3,000km)は時に危険な道が続くものの、無事に旅路を進むことができた。


クームス氏がティエラ・デル・フエゴのパブに到着したのは2018年2月12日。この店にはるばるやって来た目的は実にシンプル。一杯のビールとウィスキーを注文することだった。長い旅は終わり、TVRは船に載せられてウルグアイから英国へ戻って行った。Pub2Pubは世界各地の遠く離れたパブからパブを訪れる冒険企画として、次回も計画されているという。今回の企画はクルマ好きに大事な1つの真理を思い出させてくれた。運転席に乗り込み、V8エンジンを目覚めさせれば、我々は世界の果てまで行けるということだ。


By ANTTI KAUTONEN
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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