スバル、燃費と排出ガスの不正なデータ改ざんに関する調査報告を発表
株式会社SUBARU(スバル)の工場で行われていたことが発覚した無資格の検査員による不正な完成検査から、さらに明らかになった燃費データと排出ガスのデータ改ざんについて、同社から調査報告が公表された。

結果から言えば、スバルの「群馬製作所の本工場および矢島工場の完成検査工程に属する燃費・排出ガスの抜き取り検査において、測定値を書き換えることによって、実際の測定結果として記載すべき数値とは異なる数値を『月次報告書』(燃費・排出ガスの抜き取り検査結果を記載した社内書類)に記載するという不正行為が行われてきたことが確認」されたとのこと。

この不正な書き換え行為は、「現場の検査員および班長(検査員数名からなる班を統括する者)の判断で行われており、書き換えの手法は、燃費・排出ガス測定の職場において先輩から後輩へと受け継がれて」いたという。その際、「上位者に当たる係長(複数の班からなる燃費・排出ガス測定係を統括する者)からの指示はなく、班長等から係長への報告も」なかったとされているが、「係長の中には燃費・排出ガス測定実務に従事した経験を有する者もおり、それらの者は、書き換えが行われている可能性を認識していた」と考えられるとのこと。だが、課長以上の管理職および同社経営陣は、「書き換えの事実を認識していませんでした」としている。

不正な書き換えを行っていた動機については次のようなことが明らかになった。

スバルでは社内規程上、品質管理の方法として、燃費・排出ガスともに、1台毎の測定値ではなく、一定台数または一定期間の測定値の平均値が品質管理上の基準値を達成するよう定めているが、検査員は「先輩から、1台毎の測定値が同基準値を達成しなければならず、同基準値に達しない測定結果が出た場合には、同基準値を達成するように測定値を書き換えるよう指導されて」いたとのこと。

また、「測定値のバラつきについて係長および課長から指摘を受けるのを避けたい等の理由で、測定員が書き換えを行っていた場合」もあったという。

計測に際しては一定の場合に測定値の一部を補正することが法令で定められているが、同社の検査員は「社内ルールの不備や教育の不足から、法令で定められた正しい補正方法を理解しておらず、自らが行っている補正が不適切な方法によるものであることを理解しないまま、法令で定められていない方法で補正を行っていた場合」もあったという。

このような測定値の不正な書き換えが行われていた原因・背景について、スバルでは

・現場から経営陣に至る完成検査業務等の持つ公益性・重要性に対する自覚の乏しさ
・規範意識の欠如
・教育の不足・不十分な知識・社内ルール等の不備
・担当部署の閉鎖性
・コミュニケーション不足・現場に対する無関心
・監査機能の弱さ
・測定値の書き換えを可能とするシステムの設定等

といった同社の「企業体質に由来する問題が挙げられる」としている。


報告書の全文は以下の通り。


株式会社SUBARU(以下「当社」)は、当社群馬製作所の本工場および矢島工場における完成検査に係る不適切な取り扱い(以下「完成検査員問題」)に関し、2017年10月30日、国土交通省(以下「国交省」)から業務改善指示書を受領し、不適切な完成検査の過去からの運用状況等を調査し、報告すること等を要請されました。なお、その結果は同年12月19日に国交省へ提出し、公表しました。
かかる調査の過程で行われた当社従業員に対するヒアリングにおいて、完成検査工程に属する燃料消費率(燃費)の抜き取り検査を実施するに際し、その測定値の一部を変更した可能性がある旨の発言が確認されたため、当社は、国交省に対してその旨を報告するとともに、当社従業員の発言について、事実関係の詳細を調査しました(以下「本調査」)。
なお、当社は、国交省より、同年12月22日、燃費測定値の変更に関する問題についてその事実関係の詳細を調査し、報告すること等を要請されており、さらに、2018年2月1日には、保安基準に定める排出ガスデータも含め網羅的かつ詳細に調査・報告するよう、追加の指示を受けています。

本調査は、燃費・排出ガス測定に係る技術的な性質が強いことから、本調査開始時点のコンプライアンス委員長を責任者とし、当社製造本部および品質保証本部に属する技術的な知識・経験が豊富な者を中心としたメンバーから構成される調査チームによって、社内調査の方式で行いました。なお、かかる調査チームには、当社の監査部、法務部および渉外部も参加しました。従って、本調査は全て当社の責任において行ったものです。
また、本調査の端緒となった完成検査員問題に係る調査を実施し、当社の完成検査工程について知見を有する長島・大野・常松法律事務所に対し、客観的かつ公正な立場から本調査の補助を行うことを依頼しました。

本調査の結果、以下の事実が明らかになりました。

① 群馬製作所の本工場および矢島工場の完成検査工程に属する燃費・排出ガスの抜き取り検査において、測定値を書き換えることによって、実際の測定結果として記載すべき数値とは異なる数値を「月次報告書」(燃費・排出ガスの抜き取り検査結果を記載した社内書類)に記載するという不正行為が行われてきたことが確認されました。
測定装置等に保存されていたデータから、少なくとも2012年12月から2017年11月までの期間にわたって、以下のとおり書き換えが行われていたことが確認できました。
・燃費・排出ガス測定の対象となった台数 6,939台
・測定装置等にデータが保存されていた台数 6,530台
・測定値の不正な書き換えが行われた台数 903台
2012年11月以前については、測定装置等にデータが保存されておらず、具体的なデータに基づいて確認することはできませんでしたが、従業員の供述によると、2002年ころには既に書き換えが行われていた可能性が高く、さらにそれ以前についても、同様の行為が行われていた可能性を否定できません。

② 書き換え行為は、現場の検査員および班長(検査員数名からなる班を統括する者)の判断で行われており、書き換えの手法は、燃費・排出ガス測定の職場において先輩から後輩へと受け継がれていました。
上位者に当たる係長(複数の班からなる燃費・排出ガス測定係を統括する者)からの指示はなく、班長等から係長への報告もありませんでした。しかし、係長の中には燃費・排出ガス測定実務に従事した経験を有する者もおり、それらの者は、書き換えが行われている可能性を認識していたと考えられます。
なお、課長以上の管理職および当社経営陣は、書き換えの事実を認識していませんでした。

③ 書き換えの動機については、大きく3つに分類できました。
(ア)当社では、社内規程上、品質管理の方法として、燃費・排出ガスともに、1台毎の測定値ではなく、一定台数または一定期間の測定値の平均値が品質管理上の基準値を達成するよう定めています。しかし、当社で燃費・排出ガス測定業務に従事する検査員は、1台毎の測定値が同基準値に満たない場合、同基準値を達成するように書き換えたことが多く見られました。
これは、検査員が先輩から、1台毎の測定値が同基準値を達成しなければならず、同基準値に達しない測定結果が出た場合には、同基準値を達成するように測定値を書き換えるよう指導されており、その指導に従って測定値の書き換えを行っていたものです。
(イ) 燃費・排出ガスともに、測定値が品質管理上の基準値との比較でまったく問題がない場合でも、測定値のバラつきについて係長および課長から指摘を受けるのを避けたい等の理由で、測定員が書き換えを行っていた場合がありました。なお、書き換えは悪い測定値を良くする方向だけでなく、良い測定値を悪くする方向にも行われていました。
(ウ) 計測に際し、一定の場合に測定値の一部を補正することが法令で定められています。しかし、当社の検査員は社内ルールの不備や教育の不足から、法令で定められた正しい補正方法を理解しておらず、自らが行っている補正が不適切な方法によるものであることを理解しないまま、法令で定められていない方法で補正を行っていた場合がありました。
④ 当社は、今回明らかになった燃費・排出ガス測定データの書き換えは不正な行為であり、コンプライアンス上の極めて重大な問題と捉えています。
一方、本調査の過程で、測定装置等に保存されていたデータから、本来の測定値が一定の範囲の中の数値であることまでは客観的に確認できたため、その幅の中で最も悪い値を使って当社の品質管理の基となる数値を改めて計算し直し、その結果が管理基準に照らして問題がないか再検証を行いました。
その結果、不正な書き換えが行われていたものの、書き換えが行われる前の本来の測定値を前提とした場合においても、当社の品質管理基準を満たしていることを確認しました。
このような測定値の不正な書き換えが行われていた原因・背景については、完成検査員問題と共通する部分が多く、

・現場から経営陣に至る完成検査業務等の持つ公益性・重要性に対する自覚の乏しさ
・規範意識の欠如
・教育の不足・不十分な知識・社内ルール等の不備
・担当部署の閉鎖性
・コミュニケーション不足・現場に対する無関心
・監査機能の弱さ
・測定値の書き換えを可能とするシステムの設定等
といった当社の企業体質に由来する問題が挙げられると考えます。

以上のとおり、当社の完成検査工程に属する燃費・排出ガスの抜き取り検査において、測定値を書き換えることによって、実際の測定結果として記載すべき数値とは異なる数値を「月次報告書」に記載するという不正行為が長年行われてきたことが明らかとなりました。
完成検査員問題に加えてこのような問題が発覚したことにより、当社の行っている完成検査、当社の公表している製品の性能、ひいては当社自身に対する、お客様をはじめとする関係者の信頼は失墜したものと真摯に受け止め、深く反省しています。

当社としては、判明した事実を隠すことなく詳細に公表して真摯に反省するとともに、全ての業務においてコンプライアンスを重視する意識を醸成し、自らの企業体質を根幹から変革していくことが必要であると強く認識しています。そして、何が正しいことなのかを役員および従業員一人一人が、自分で考え実行するという真に「正しい会社」を創っていく決意を持って、全ての役員および従業員が一丸となり、完成検査員問題に対する再発防止策に加え、本報告書記載の再発防止策を徹底的に遂行します。
加えて、これらの不正行為の原因・背景を重く受け止め、将来にわたり風化させないための全社的な取組みを検討し、これをしっかりと推進していくことで、二度とこのような不正行為を引き起こすことのない、真に「正しい会社」に生まれ変わっていく決意です。

お客様、関係者をはじめとする当社を取り巻くステークホルダーの皆様に、多大なご心配・ご迷惑をおかけしたことを、改めて心よりお詫びいたします。