【オーナーズ・リポート】ヤマハ「グランドマジェスティ250」で10年10万kmを走破 深刻なトラブル発生!【第2回】
2008年6月に購入したヤマハ「グランドマジェスティ」が10万kmを走破。これまでポンコツバイクばかりを乗り継いできた筆者が、ここまで長く1台のバイクに乗ったのは初めてのこと。グランドマジェスティと共にした10年間を振り返る(写真:2012年11月に静岡県磐田市のヤマハ本社にて撮影。グランドマジェスティにとってはラインオフから5年ぶりの里帰り)。

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【第1回】ヤマハ「グランドマジェスティ250」で10年10万kmを走破した!


(写真:2011年に発生した東日本大震災の取材で気仙沼市内を訪れたときの一葉。震災からすでに半年近くが経過していたが、海水は引かず、ガレキの撤去も進んでいなかった)

購入から7年目に発生した
深刻なエンジントラブル


10万kmという走行距離は250ccクラスのビッグスクーターにしては相当走っているほうだと思うが、今もって飽きることなく「良い単車に乗っている」という満足感をキープしている。もちろん、その間にデビューした3代目マジェスティなどのニューモデルが気にならなかったかと言えばウソになるが、今の愛車を手放してまで手に入れる気にはならなかった。

筆者はクルマを中心とした雑文ライターであるが、一昨年夏まで某スクープカー雑誌にメインライターとして寄稿していたこともあって、ほかの自動車ライターに比べて事件・事故・災害現場を取材する機会が多かった。こうした取材では現場周辺の道路が寸断されてクルマでは身動きが取れないことも多い。だが、四輪車に比べて機動性が高く、ほかのバイクに比べて積載性もあり、長距離の移動でも疲労が少ないグランドマジェスティは取材のアシとしても実力を発揮した。

​​​筆者にとっては、まさに公私ともに相棒と呼べるような存在のグランドマジェスティであったが、2015年4月22日に廃車になってもおかしくない大きなトラブルに見舞われている。

その日の早朝、午前10時からの取材に向けて愛知県豊田市のトヨタ博物館を目指して千葉の自宅を出発したグランドマジェスティだったが、首都高に乗ってすぐ、篠崎・小松川インターをすぎたところで突然エンジンが「ゴボッゴボッ」と咳き込み出したのだ。しばらく様子を見ようとペースを落として走り続けていると、錦糸町ランプ手前でエンジンが「ゴボゴボゴボゴボ...」と喘ぎ始めた。スロットルを捻っても加速することなく、どんどんスピードを落として行く。これはただ事ではないと思った筆者は、そのまま錦糸町の出口へと舵を切り、急いで首都高を降りることにした。

料金所を過ぎたところでG338E型250cc単気筒DOHCエンジンは完全に息絶えた。首都高を降りた筆者は愛車を安全な場所へ停め、ダメ元でスタートボタンを押し続けたが「カチン」という音が一瞬なるだけで、スターターは始動する気配はない。祈るような気持ちで何度繰り返しても結果は同じだった。背中を冷や汗が流れる。朝10時には現地に着いていなければ仕事に穴を空けてしまう。だが、レッカー業者を待っていては仕事に間に合わない。どうしたものかと途方に暮れていたところ、幸運なことに24時間営業のバイク駐輪場の看板をすぐ近くに見つけることができた。「そうか、あそこに愛車を預けて取材から戻ってから引き上げればこのピンチを切り抜けられるゾ」。そう考えた筆者は駐輪場に愛車を押し入れて自身は始発電車で家に戻り、取材先にはクルマで向かうことにした。


(写真:2015年4月、取材でトヨタ博物館へ向かおうとしたところ、自宅を出発した直後にエンジントラブルを起こしてしまう。写真は修理を依頼したYSP京葉でカウルを外し、修理途中の状態を収めたもの)

エンジンは完全にオシャカ
だが、愛車を廃車にはできず...


取材から戻った筆者は、さっそく愛車の主治医であるYSP京葉にグランドマジェスティを持って行った。すると、愛車を預けて数日後、メカニックから一本の電話がかかってきた。 電話口で彼は「エンジン開けてみましたが、クランクシャフトは歪んでいますし、シリンダーにもキズが入っています。エンジンブロックもダメです。結論から言うと、あのエンジンは完全に使い物になりません。どうしましょうか?」と厳しい現実を告げる。

彼の「どうしましょうか?」という言葉の裏には「距離を考えれば寿命かもしれません。買い替えられたほうが良いのでは......」という意味が含まれていることはすぐにわかった。この時点で筆者のグランドマジェスティは9万1000kmを超えており、走行距離を考えれば、寿命を迎えたとして新しいバイクに乗り換えたほうが賢い選択だったかもしれない。だが、心臓部とも言える重要なパーツのトラブルとは言え、エンジン以外に大きな問題はないし、距離を走ってそれなりにヤレを感じる部分もあるが、何よりも思い入れが深い愛車のことだ。私は「まだまだ乗りたいので直します」と即答した。電話口のメカニックは「...わかりました」と答え、最善を尽くすことを約束してくれた。

そうなると必要になるのが載せ換え用のエンジンである。ライターとしては四輪車メインの筆者は、メーカーから新品のエンジンを取り寄せるなり、業者からリビルトエンジンを購入するなりして、載せ換えてしまえば済むだろうと簡単に考えていた。ところが、メカニックから「四輪と違って二輪にそのようなものはありません。エンジンを構成する部品はすべてヤマハから取り寄せが可能ですが、1基分まるまるパーツを買ったら新車が買える金額になってしまいますよ」と告げられて愕然としてしまう。


(写真:ヘッド部分が外されたグランドマジェスティのエンジン。ピストン、シリンダー、ブロックのいずれも再使用不可との診断がメカニックにより下される)

是が非でもGマジェを直してやりたいところだが、貧乏ライターの筆者にはそんな大金をポンと出せるだけの甲斐性はない。クルマやバイクを複数所有しているとときどき勘違いする人がいるのだが、筆者はフツーの人に比べて「乗り物エンゲル係数」が異常に高いだけで金持ちなどではないのだ。むしろ、フリーライターなどという浮き草稼業をしているおかげで、同年代の平均収入の半分から2/3くらいしか稼げていない(だから四十を超えて未だに嫁さんも貰えない)。

いっそのこと安価な中古車を購入して、エンジンを載せ換えてしまうことも考えたのだが、まだまだ元気に動くスクーターをドナーにするのは気が引けるし、調子の良い同型車がほかにあるのならそちらに乗り換えてしまったほうが手間がない。いくら思い入れの深い愛馬とて、さすがにそこまでの道楽は許されないだろう。


(写真:同時に駆動系のチェックも受ける。とくに問題はなかったが、結局エンジンの積み替えとなり、一新されることに)

万事休すかと思われたが、担当メカニックは「ウチでは入手手段がありませんが、お客さんが中古エンジンを手に入れてくれれば、それに載せ換えることはできますよ。グランドマジェスティ用のエンジンならネットオークションに結構出品されているんじゃないですか?」とアドバイスをくれた。

しかし、ネット上に出品されているのは、廃車から取り外した中古エンジンとなるわけで、誰がどのような使い方をしていたか分からないものを、現物を確認することなく購入することになる。これを水物と呼ばずして何と呼ぶのか。いくら出品者が「動作確認済み」を謳っていたとしても、あくまでもチェック段階でエンジンが掛かったというだけで品質まで保証されたわけではない。

けれども、今のエンジンが使い物にならない以上、ここはギャンブルに出るほか道はない。ベースエンジンの確保と割り切って考えれば、調子が悪ければバラして修理すれば良いと腹をくくることにして、さっそくオークションサイトにアクセスすることにした。


果たしてエンジンが壊れたグランドマジェスティはどうやって復活するのか...!? 第3回へ続く!!

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【第3回】壊れたエンジンを載せ替えて復活!

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【第1回】ヤマハ「グランドマジェスティ250」で10年10万kmを走破した!