San Francisco, California, USA - May 16, 2017: An Uber self-driving Volvo XC90 SUV on 7th street and Market part of Uber's testing program within San Francisco that resumed in March.
Uberの自動運転車が引き起こした歩行者死亡事故は、自動運転システムのセンサーが反応した様子がみられないところが謎でした。事故発生後に公開された車載映像では歩行者が突然前方に現れたようにも見えるものの、実際の現場は街灯が灯された明るく見通しのよい車道であり、そもそも自動運転システムが搭載するLiDARやレーダーセンサーなら暗闇でも歩行者を検知していなければならないシチュエーションでした。

Uberの自動運転車が歩行者を検知できなかった原因について、ReuterはUberの自動運転車が搭載するLiDARの死角について報告しています。

2016年、Uberは自動運転のベース車両をセダン車のフォード・フュージョンからSUVのボルボXC90へと変更しました。このときLiDAR 7基、レーダー 7基、カメラ 20台で構成される自動運転システム用のセンサー群もLiDAR 1基、レーダー 7基、カメラ 7台へと大幅に変更されました。

自動運転車は、LiDARが発するレーザーパルスの反射、さらにレーダー、カメラによる視覚的(可視光)によって路上にある障害物を検知し、衝突を避けます。しかし、新しいUberの自動運転車は、以前のモデルが7つ搭載していたLiDARをルーフ上に1つしか搭載していません。

カーネギー・メロン大学交通センターで自動運転技術を10年以上にわたって研究してきたRaj Rajkumar氏は、現在のUberの自動運転車は、センサーの視野的に歩行者を完全に捉えられなくなっていると指摘します。

Uberの自動運転車が搭載するVelodyne製のLiDARセンサーは、その外観から1台でも360度周囲を完全に監視できるように見えます。ところが、VelodyneによるとLiDARは垂直方向の検出範囲が狭く、SUVのように車高の高いクルマのルーフ上ひとつだけでは車両周囲に約3mの死角ができてしまうとのこと。特に地面に近い高さ、たとえば歩行者の足元や自転車の車輪、小動物などの検出が難しくなります。

元Uberの自動運転オペレーターは、Uberの新しい自動運転車で時速約56kmで走行中、車道にはみ出ていた配送トラック後部の積み下ろし用リフトを検出できずにぶつかりそうになったと証言しています。またVelodyne事業開発担当プレジデントのマルタ・ホール氏は「特に夜間に歩行者を正確に検知しようとするならば、少なくとも車の両サイドにもLiDARが必要になるでしょう」とReutersにコメントしました。

参考までに紹介すれば、Google(の親会社Alphabet)のもとで自動運転技術を開発しているWaymoの場合は、その自動運転車に6つのLiDARセンサーを搭載しています。またGMの自動運転車はLiDARを5台使用しています。

The lidar sensor is seen on a self driving Volvo vehicle, purchased by Uber, Phoenix, Arizona, U.S., December 1, 2017.  Photo taken on December 1, 2017.  REUTERS/Natalie Behring
ただ、事故の発生原因はLiDARの死角のせいと断定されたわけではありません。Rajkumar氏は、レーダーはLiDARセンサーの死角を補うために組み合わせて使うものだと説明しています。Uberは、自動運転車両をボルボに変更した際、LiDARを減らした分はレーダーを活用すると説明していました。


カリフォルニア工科大学教授で、かつて学生自動運転開発チームのリーダーだったリチャード・マレー氏は、今回の事故について「なにもない路上に歩行者だけがいて、それを自動運転車が検知できなかったということには驚くほかない」と語っています。ただ、事故の原因はソフトウェアの不具合による可能性もあると指摘しています。


By Munenori Taniguchi

※この記事はEngadget日本版より許可を得て転載しました。