スーパーGTの2018年シーズン開幕が1週間後に迫っている。
3月24日から25日には、同シリーズの公式テストが富士スピードウェイ(静岡県小山町 1周4.563km)で開催された。開幕を目前に控えた最後の公式テストであり、第2戦の舞台となる富士スピードウェイでは、各陣営とも本番さながらのタイムアタックや、決勝レースを意識したロングランを実施するなど、入念な最終調整を行った。

今季のスーパーGTには4人のF1経験者がエントリーするハイレベルな争いに発展しており、世界から注目が集まるカテゴリーへと成長を果たした。


なかでも昨シーズンに同シリーズへのスポット参戦し、今シーズンからのレギュラー参戦を果たした元F1チャンピオン、ジェンソン・バトン(#100 TEAM KUNIMITSU)への注目は、群を抜いている。

2000年からF1に参戦したバトンだが、2009年にはブラウンGPで新生チームにシリーズチャンピオンをもたらした。その後バトンはチームを離れてマクラーレンに加入するが、ブラウンGPは後のメルセデスF1チームへと変貌を果たし、現在では他を圧倒する強さを見せるチームとなっている。
バトンは昨シーズンまでマクラーレンF1チームのリザーブドライバーを努め、フェルナルド・アロンソがインディ500にスポット参戦した際にはモナコGPに出場するなど、実績充分、経験豊富な大ベテランだ。


タイで開催されたタイヤメーカーテスト、そして日本で実施された岡山、富士でのプレシーズンテストでは精力的に周回を重ね、自身初めてとなるGTカーのレースに慣れるべく、多くの走行機会を得ていた。
チームで相棒を務める山本尚貴も、バトンの好みを反映したセットアップがなされたマシンで走行し、すぐにライバル陣営に肉薄するタイムで走行できる事を示し、ホンダエースドライバーとしての器用さも見せている。


そして2007-2009シーズンにウィリアムズでF1に参戦した中嶋一貴は、その名が示すとおり、元F1ドライバーの中嶋悟を父に持つF1一家のサラブレッドだ。2011年より国内レースに復帰してから、フォーミュラ・ニッポン、スーパーフォーミュラで2度のシリーズチャンピオンを獲得するなど、その活躍は少しでもモータースポーツに興味がある読者であれば聞き及んでいることと思う。


しかし中嶋はスーパーGTでの最高位はシリーズ3位であり、参戦6シーズン目(2015-2016シリーズは世界耐久選手権との調整でSGT不参戦)にかける意気込みは相当なものとなっている。
今季は関口雄飛をチームに迎えた。昨年まで所属した#19 WedsSports BANDOHをチーム初優勝に導くなどの活躍が評価され、TOM'Sに大抜擢されたドライバーだ。普段は物静かな語り口調の中嶋だが、その走りには熱い情熱がみなぎっている。そこに、さらに熱い関口が合流したのだから、今季の台風の目となり、タイトル奪取に向けてTOM'Sチームは万全の布陣でシーズンに臨む。


そして3人目と4人目は、同じチームに所属することになったヘイキ・コバライネンと小林可夢偉だ。
2人のF1ドライバーを揃えたのは#39 DENSO KOBELCO SARD。

コバライネンは、2007-2013シーズンをF1で過ごし、なかでも2008シーズンではマクラーレンで優勝経験を持っている。2015シーズンよりスーパーGTへの参戦を開始するものの、フォーミュラ経験しかないコバライネンも当初、GTカーを乗りこなすのに苦労した。しかし2016シーズンからは、チームがコバライネンのセットアップを優先したこともあり、第3戦では予選で最速タイムを記録するポールポジション獲得も成し遂げ、初優勝を含む表彰台4回を数えた。
チームはこの年、シリーズチャンピオンを獲得する大活躍を見せた。


すっかりスーパーGTの顔となったコバライネンのパートナーを務めるのが、今季からスーパーGTへの初のレギュラー参戦を果たす小林可夢偉だ。2009-2014シーズンにF1参戦し、なかでも2012シーズンでは、鈴鹿サーキットで開催された母国GPにおいて数々の印象的なオーバーテイクを多数みせ、3位表彰台を獲得。日本人では鈴木亜久里以来22年ぶりに日本人が鈴鹿のポディウムに上がったのは記憶に新しいことと思う。

実は小林は、F1出走がなかった2013シーズンをスクーデリア・フェラーリと契約を結び、同チームのセミワークスチームであるAFコルセから世界耐久選手権に出場したことがある。
フェラーリ458イタリアGTCでLMGTE-Proクラスに参戦し、開幕戦のシルバーストンではクラス2位で表彰台も経験している。昨年はスーパーGT第6戦の鈴鹿1000kmに#19 LEXUS TEAM WedsSport BANDOHからスポット参戦をしている。


そんな2人が組むチームは、合同テストでは意外なほどに苦戦しているようだった。
岡山で開催されたテストでも思うようにタイムが出せなかったチームは、富士テストでもスピードを取り戻すことはなかった。初日はGT500クラス15台中11位、2日目も12位と、LEXUS陣営では最下位に沈み、2年前のシリーズチャンピオンは明らかに苦しんでいるようであった。

開幕戦までの立て直しが急がれるが、原因が見えてきたようである。
どうやらアンダーステアに苦しめられていたようだが、この改善を開幕までの限られた時間で図れるのか、注目が集まるところだ。

2018年のスーパーGT第1戦は、4月7日から8日にかけて岡山国際サーキット(岡山県美作市)で開幕し、年間8戦でシリーズチャンピオンを決する。

写真協力:正木寛之