故ロジャー・ムーアが愛用したボルボ「1800 S」、ドイツのクラシックカー・ショーで展示中
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アストンマーティン、中でも「DB5」と言えばジェームズ・ボンドとは切っても切れない間柄だが、実は故ロジャー・ムーアが007シリーズの映画の中で乗っていたことは一度もない。ムーアがボンドを演じた当時はディスコ全盛の時代で、もっと派手なウェッジ・シェイプのロータス「エスプリ」があてがわれたのだ。英国のテレビ・ドラマ『ダンディ2 華麗なる冒険』や映画『キャノンボール』でようやくアストンに乗ることになる。ところが、ロジャー・ムーアに一番相応しいクルマというのは、前述のクルマやボンド役を演じる前から存在する。特徴あるロングノーズのクーペでイタリアの香りがするそのクルマは、ボルボ「1800 S」。ムーアがテレビ・ドラマ『セイント/天国野郎』で乗っていたものだ。

このクーペは当初英国で製造されており、そういう意味でも英国人のムーアにはお似合いのボルボだったと言えるかもしれない。1961~1962年型「P1800」はボディ・シェルをスコットランドのプレスト・スチール社が担当し、ジェンセン・モーターズによって製造されたが、ボルボは当時の英国下請け工場での製造技術が同社の水準に達していないと判断。6,000台あまりを製造したところで、生産拠点を本国に移してしまう。同時にその名前も変更され「1800 S」となった。「S」は国名「スウェーデン」の頭文字である。1.8リッター直列4気筒「B18」エンジンはP1800の100hpから115hpに引き上げられたが、そのパフォーマンスはスポーティというより活発に走るという程度だった。

罗杰·摩尔在《圣徒》中的角色侠盗西蒙
テレビ・シリーズ『セイント/天国野郎』でムーアが演じる主役のサイモン・テンプラーが乗っていたのは1966年製の白い1800 Sであった。当初プロデューサーたちはジャガー「Eタイプ」を希望していたのだが、実現に至らなかった。しかしジャガーは後に、短命に終わった同シリーズのリバイバル版で「XJ-S」を提供し、埋め合わせの機会を得ている。主役テンプラーの愛車、白いボルボのクーペはミニライト製ホイールとヘラー製フォグランプが装着されており、クルマが好きなドラマのファンの中には、同じ仕様にしたボルボに乗る人たちも現れた。このクルマは実はムーア所有のもので、撮影用の「ST 1」というナンバープレートをロンドン市発行のものに取り換えて個人的に使っていたのだ。

1967款沃尔沃1800 S老爷车
1969年にシリーズが終了してから、ムーアはこのクルマを俳優のマーティン・ベンソンに売却している。実はベンソンは映画『007/ゴールドフィンガー』でギャングのソロ役だったので、やはりこのクルマは007にゆかりがあるようだ。数名のオーナーの手に渡ったこのボルボは、時と共に傷みや錆びが増えてしまったが、2000年代に入ってからすっかりきれいにレストアされ、展示できる状態になった。米国の人気司会者ジェイ・レノによる自動車番組『Jay Leno's Garage』に登場したこともある。数年前、ボルボ・カーズに買い取られたこの1800 Sは、今月21日からドイツ・エッセンで開催中のテクノクラシカで展示されるている。ヨーロッパのクラシックカー・ショーに登場するのは初めてのことだ。ある意味、このクルマは映画『ゴールド・フィンガー』のDB5と同じくらい、ボルボにとって大事な存在と言えるだろう。


By ANTTI KAUTONEN
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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