フォルクスワーゲン、「EV最速記録奪取」狙うパイクスピーク参戦マシンを公開。ドライバーは総合2連勝中のロマン・デュマ
フォルクスワーゲンが、100年を超える歴史を持つ米国のモータースポーツイベント「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」に参戦するオリジナルEV「I.D. R Pikes Peak」を公開しました。非常になめらかなフォルムのボディはかつてグループCカーのようにも見えるものの、標高差1440mのコースで次第に薄くなる空気を利用するための巨大なウィングがパイクス専用マシンらしさを醸し出しています。
フォルクスワーゲンのI.D.といえば、これまでは次世代電気自動車のコンセプトカー・シリーズとしていろいろなモーターショーで発表、展示されてきました。コンセプトモデルの役割は、未来に発売する製品の方向性を広く示すとともに、それに対する反応をみて製品づくりに活用するというものです。

ところが、I.D. R Pikes Peakの場合は将来の製品づくりといったマーケティング的側面ではなく、「パイクスピーク・ヒルクライムにEV最速記録を打ち立てて勝つ」という厳然たる目標を掲げる、れっきとしたレースカーなのが他とは全く違うところ。もちろん過酷な条件で最高の性能を発揮しなければならないモータースポーツへの参戦は、製品へのフィードバックを得られるという点ではコンセプトモデルとしての役割を果たすものの、それは技術的な側面の話です。

とはいえ、2025年までに20以上の完全電気自動車を提供すると宣言しているフォルクスワーゲンにとって、今回のパイクス参戦はパワートレインやバッテリーの技術的な進歩を図るとともに、"EVのフォルクスワーゲン"といった強い印象を将来のVWオーナーに与える良い機会となるはずです。
I.D. R Pikes Peakの詳細については、それが四輪駆動車であること以外の仕様をまだ明らかにしていません。しかし、パイクスにおけるEV最速記録8分57秒を更新すると言う以上は、バケモノ的スペックを備えていることは容易に想像がつくところです。 参考までにいえば、現在の記録保持者リース・ミレンが駆ったマシンDrive eO PP100は出力1596馬力、市販EV部門での最速記録を出したFaraday Future FF91は1050馬力と、いずれも1000馬力を超えていました。

ちなみに、フォルクスワーゲンはI.D. R Pikes Peakのドライバーに2016、2017年のパイクス総合チャンピオンとなったロマン・デュマ選手の起用を発表済みです。デュマ選手としては当然、今年も勝つ気満々で臨んでくるはず。となれば、「EVクラス優勝」というのは三味線を弾いているだけで、フォルクスワーゲンはひそかに全クラスの頂点、総合優勝を狙っていると考えて良いのかもしれません。

パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムの決勝日は6月24日です。


By Munenori Taniguchi

※この記事はEngadget日本版の許可を得て転載しました。