アウディ「R8」、次世代モデルの計画は今のところなし
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アウディの頂点に位置するスーパーカーが姿を消すことになりそうだ。米国の自動車雑誌『Car and Driver』によると、ジュネーブ・モーターショーの会場で同誌がアウディの技術開発担当取締役を務めるペーター・メルテンス氏にインタービューした際、今のところ「R8」の後継モデルに関する計画はないのではないかと尋ねると「そう言えるでしょう」と答えたというのだ。

だからといって、R8の生産終了が近いという意味ではない。アウディは、後輪駆動車の「R8 RWS」を発表したばかりだし、V6エンジンを搭載したR8も間もなく登場する。この2.9リッターV型6気筒ツインターボ・エンジンは、「RS4 アバント」、「RS5」、 ポルシェの「パナメーラ」と「カイエン」で使われているものだ。だからこそ、メルテンス氏はR8について「寿命は長く、現在も順調です」と述べている。

"長い"という言葉の定義を決めるのは、V6モデルの販売の成否だろう。しかし、いずれにしても、2006年から2016年まで生産が続けられた初代モデルのように、10年という期間に及ぶことはあるまい。アウディには他にも資金を投じて実現させるべき計画が数多くあり、今年は20車種もの刷新または改良を予定しているという。ブランド・イメージを高めるスーパーカーであっても、先のないモデルに開発コストを費やすことは合理的ではない。


R8生産終了の話が出たのはこれが初めてのことではない。自動車情報サイト『Automobile』は昨年の11月、ランボルギーニの新型「ウラカン」が登場する「2020年にR8は姿を消すだろう」と書いている。R8とウラカンはプラットフォームを共有しており、生産も同じドイツのネッカースウルム工場で行われている。そうすると、最高出力650hpの「RS Q8」がアウディスポーツのフラッグシップとしての地位を担うことになるだろう。その一方、2020年に登場する4ドアの電気自動車「e-tron GT」によって電動化の流れを強めていくはずだ。

R8の米国における昨年の販売台数は772台。より価格が高く、よりエキゾチックなマクラーレン「570S」をわずかに上回るが、さらに高価格でエキゾチックな兄弟車ランボルギーニ「ウラカン」には僅かに及ばない。比較として挙げればメルセデス・ベンツ「メルセデスAMG GT」は1,609台であり、ポルシェ「911ターボ」はそれら全てを大きく上回る台数が売れている。


もし、輝かしい功績を残せばひとつのモデルの役割は終わるというならば、R8もその流れに従うことになる。初代R8はアウディの注目度を上げ、初年度から販売を伸ばしていった。V8クーペは日常的な使いやすさと素晴らしい高速域のハンドリング性能を両立させ、V10は柔軟性をわずかに犠牲にした代わりに、迫力のサウンドと動力性能を手に入れた。また、R8のレース仕様車は、驚異的な効率性を武器に世界中のレースで活躍している。ワークス・チームやプライベート・チームは、代わりとなるクルマを探すのに苦労することになるだろう。そしてR8が姿を消せば、その特徴でもあった「サイドブレード」という言葉を我々が使うこともなくなるに違いない。

メルテンス氏は、念のためにこう語っている。「アウディに高性能車が必要ないということは断じてありません」。しかし、販売台数とアウディの将来的な計画を見れば、R8の未来は予見できるはずだ。


By JONATHON RAMSEY
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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