トヨタの新型「スープラ」は、歴代モデルの伝統から何を受け継ぐのか?
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トヨタがようやく、現在開催中のジュネーブ・モーターショーで、近々登場する新型「スープラ」の前兆となる「GR スープラ レーシング コンセプト」を発表した。ようやく、という気がするのは、同社がスープラの生産を終了した2002年から今回の発表まで約16年間、次期型の開発は地球の氷河のように遅い動きで行われてきたからだが、最近では地球上の氷河の減少が急速に進んでいるため、それも適切な表現ではなさそうだ。

スープラは、エンスージアストたちがトヨタに対して持つイメージを改善するために、重要な役割を果たすだろう。かつては「カローラレビン」/「スプリンタートレノ」や「MR2」、そして世界ラリー選手権のトップカテゴリーで戦った「セリカ」などのスポーツ・モデルが知られていたトヨタだが、この数十年間は最もよく売れている「RAV4」や「カローラ」「カムリ」のような、究極なまでに信頼性を高めた自動車を製造することが特徴のメーカーという印象になっている。米国におけるこの3車種を合わせた昨年の販売台数は120万台以上に上り、それだけで全米の全自動車販売台数の7%を占めるという驚くべき数字となったので、経営判断としては悪くはなかった。

しかし、我々はエンスージアストであり、エンスージアストとしての拘りがある。トヨタの現行ラインアップにも、スポーティな「86」はあるが、これは、若年層"チューナー"向けのサブブランドであったサイオンが若者のクルマ離れにより廃止され、サイオン「FR-S」がトヨタ「86」と名称を変えざるを得なかったからだ。それ以外のトヨタのスポーティなイメージは、どちらかといえばラグジュアリー・ブランドのレクサスに受け継がれ、「LC500」のようなクルマを造り出し、エンスージアストからも熱い支持を得ることに成功している。


イディッシュ語のような言語や活版印刷のような仕事は、次の世代に変われば使われなくなり、廃れてしまう可能性もある。トヨタは20年ほど遠ざかっていた領域、つまりスピードや楽しさ、ハンドリングへの関与をどのように再び高めていくつもりなのだろうか?

「我々は、モータースポーツと市販モデルを強く結びつけた新しいブランド『GR』を立ち上げました。そのコンセプトを実現する1台目となるのが、このレースカーです」と同プロジェクトを率いるトヨタのチーフエンジニアである多田氏は述べている。

長い間使われていなかったネームプレートを復活させるには、常にデザインが重要な要素となる。今回は、4世代にわたるスープラの伝統とその物語性を呼び起こすことに重点を置き、同時に現代性を備え、未来に向けたクルマを作り上げる必要があるのだ。これは特に、あるブランドが1つのセグメントを放棄していた場合に当てはまる。トヨタがパフォーマンスカーから長い間離れていたように。そのカテゴリーを、1車種だけで復興させようという場合はなおさら重要だ。そのクルマには過去、現在、未来に語りかけるという重いプレッシャーが伸し掛かる。

「最初に我々は米国に住むスープラ・ファンの意見に耳を傾けました。ある程度の伝統的要素は大切です。しかし、設計という面においては伝統を受け継ぐ必要はありません。我々は復刻モデルを作りたいわけではないのです」と多田氏は語る。

トヨタが設計面で全く新しい領域を獲得しようとするのであれば、技術的には過去につながる要素が明らかに必要だ。歴代スープラは常に直列6気筒エンジンを搭載してきた。しかし、トヨタは少なくとも過去10年間、直列6気筒ガソリン・エンジンを製造していないので、BMWと共同開発を行なった。新型スープラは、BMWの次期型「Z4」と同じBMW製の直列6気筒ツインターボ・エンジンを共有することになるだろう。

「フロントエンジン/リアドライブと直列6気筒ターボ・エンジンはスープラには必須です」と多田氏は言う。「運転して楽しく、操作しやすいクルマでなければなりません」

滑らかな見た目と滑らかな走り。我々は新型スープラを応援したいと思っている。たとえマニュアル・トランスミッションが設定される可能性が低いとしても。


By BRETT BERK
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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