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トヨタから「TNGA(Toyota New Global Architecture)」と呼ばれる新プラットフォームに基づく新開発のパワートレイン各種が発表された。新型エンジンとそれを組み合わせた進化したハイブリッド・システム、トランスミッションはCVT(無段変速機)と6速マニュアル、そしてガソリン車用とハイブリッド用の2つの4輪駆動システムと、今回発表された内容は多岐にわたる。分かりやすい動画が用意されているものもあるので、順番にご紹介していこう。

新型CVT(無段変速機)

新型CVT(無段変速機)「Direct Shift-CVT」は、乗用車用CVTとして初めて発進用ギアを採用し、CVT特有のアクセルを踏み込んでから一瞬遅れて加速するもたつき感を改善。また、発進をギアが担当することによって、ベルトの変速比を高く設定でき、変速比幅は従来と比べて15%拡大した。このワイドレンジ化により、燃費は6%向上したという。ギアからベルトへの切り替えには、ATの開発で培われた高応答の変速制御技術が使われている。さらに発進ギアの採用によって入力負荷が軽減されたため、ベルトの狭角化(11度から9度へ)とプーリーの小径化(慣性が40%低減)も可能になった。変速速度が20%向上し、トヨタによれば「他社のデュアルクラッチ式トランスミッションと同等以上の変速性能を実現」したという。




新型6速マニュアル・トランスミッション

新たに開発されたトランスミッションはCVTだけではない。欧州をはじめとするグローバルなニーズに応えるため、新規開発されたという6速マニュアル・トランスミッションは、従来型に比べ、質量を7kg低減し、全長を24mm短縮。軽量コンパクト化すると共に、シフトダウン時だけでなくシフトアップ時にも自動でエンジンの回転合わせを行う「iMT制御」が採用されている。

新型2.0リッター直噴エンジン

「Dynamic Force Engine」と名付けられた新開発の2.0リッター直列4気筒直噴エンジンは、様々な高速燃焼技術と制御技術の採用でエネルギーロスを低減させ、ガソリン車用としては40%、ハイブリッド用では41%という世界トップクラスの熱効率を達成した。ピストンはスカート摺動面に鏡面加工を施してフリクションを低減し、スカート表面にはレーザーでクロスハッチ状の細溝を設け、耐スカッフ性を向上させた「レーザーピットスカートピストン」を世界で初めて採用した。このエンジンは内径80.5mm × 行程97.6mmとロングストロークで、排気量は1,986cc。ガソリン車用は圧縮比13で最高出力126kW(171ps)/6,600rpmと最大トルク205Nm/4,800rpmを発揮する。これに前述のDirect Shift-CVTを組み合わせると、現行型「カローラアクシオ」などに搭載されている1.8リッター2ZR-FE型エンジン+従来型CVTと比べ、燃費も加速性能も18%向上するという。ハイブリッド用では圧縮比が14となり、最高出力107kW(145.5ps)/6,000rpm、最大トルク180Nm/4,400rpmを発生。参考までに記すと、現行型「プリウス」の2ZR-FXE型エンジンは排気量1.8リッターで圧縮比13、最高出力72kW(98ps)/5,200rpm、最大トルク142Nm/3,600rpmとなっている。




新型2.0リッター・エンジン用ハイブリッド・システム

この2.0リッター・エンジンを新たに使ったハイブリッド・システム「THSⅡ」も進化した。パワーコントロールユニットは小型軽量化によってトランスアクスル上に搭載が可能になり、低損失パワー素子の採用や冷却システムの効率向上によってさらなる低燃費化が図られている。モーター/ジェネレーターのトランスアクスルも小型軽量化、高効率化が進んだ。モーターの副軸配置により伝達効率が向上するなど、損失低減は従来比25%にもなる。省スペース化は前輪の可動範囲拡大にもつながる。


そして2.0リッター・エンジン専用のニッケル水素バッテリーは電池パック構造の見直しと冷却システムコンパクト化によって小型化され、総電圧は従来の1.8リッター用の201.6Vから216Vに増大した。トヨタによれば、加速時にはエンジンの回転数を下げると同時に電池からの電力を高め、リニアで伸びのある加速感を実現したという。モーターは最高出力80kW(109ps)、最大トルク202Nmと、現行型プリウスの53kW(72ps)、163Nmから大きく増強されている。現行型プリウスのハイブリッド・パワートレイン(2ZR-FXE型エンジン+従来型THS II)と、この新開発ハイブリッド・システム(Dynamic Force Engine+新THS II)を比較すると、パワートレインの寄与分だけでJC08モード燃費は9%向上、加速時間は18%短縮するという。次期型プリウスに対する期待が俄然高まるというものだ。




新型4輪駆動システム

エンジン車用とハイブリッド車用に、それぞれ4輪駆動システムが新開発された。エンジン車に採用される「Dynamic Torque Vectoring AWD(ダイナミックトルクベクタリングAWD)」は、名前の通り走行状況に応じて左右の後輪に送るトルクを独立制御するトルクベクタリング機構を採用。旋回性能や悪路走破性が高まった。また、前後輪の車輪軸に世界初の「ラチェット式ドグクラッチ」を装備。2輪(前輪)駆動時には後輪に動力を伝達する駆動系を切り離し、回転を停止させて損失を大幅に低減する「ディスコネクト機構」によって燃費向上を図る。


ハイブリッド車用の新型「E-Four」は、電気で駆動する後輪の全体トルクを従来型の1.3倍に増加させた上で、走行状態に応じて適切に後輪にトルクを配分する新制御を採り入れ、高い走破性と優れた操縦安定性を実現したという。どちらの4輪駆動システムも、エンジンやトランスミッション、ブレーキと共に「AWD Integrated Management(AIM)」によって統合制御され、悪路や滑りやすい路面における操縦安定性が高まった。

パワートレインだけでCO2排出量を18%削減
TNGAによって開発されたパワートレーンは、2021年までにエンジンは9機種・17バリエーション、トランスミッションは4機種・10バリエーション、ハイブリッドシステムは6機種・10バリエーションの投入が予定されている。今回の無段変速機(CVT)、6速マニュアル・トランスミッション、2.0Lエンジン、2.0Lハイブリッド・システムは、その中の4機種に相当する。これらの新世代パワートレインは、2023年までにトヨタ単独の年間販売台数(日本・米国・欧州・中国)の約80%を占めることを目指しているという。トヨタによれば、TNGAによるパワートレインの燃費向上寄与分だけでも、18%以上のCO2排出量削減効果が見込めるそうだ。


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