沃尔沃全新V60外观
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ボルボが新型「V60」ワゴンの世界初公開の舞台として典型的な郊外の住宅のドライブウェイを選んだことは、同車がそうした場所で一般的に利用されることを想定して設計されている証しだろう。非常に実利的で、とてもスウェーデンらしい。今までにないボルボの自信の現れと言える。親会社の浙江吉利控股集団は遠巻きからの見事なアプローチで、この北欧の独特なカーブランドを再起させることに成功している。よりグローバルに展開するフォードゼネラル・モーターズ(GM)は、かつてボルボやサーブを各々の傘下に収めていたが、そのブランドの良さを生かせず失敗に終わり、後者に至ってはブランド消滅という悲惨な末路をたどった。

沃尔沃全新V60外观
しかし、幸いにもボルボは生き延びている上に順調だ。2017年は生産台数が50万台を大幅に超え、出荷台数は2016年から7%増。ボルボにとって最大の市場である中国だけで販売台数は前年比25.8%増加した。また、米国サウスカロライナ州に総額11億ドル(約1,176億円)を投じて建設中の新工場で最大4,000人の雇用を創出し、新型「S60」セダンを生産する計画は、ボルボが米国市場を重要視していることを明確に示していると言えるだろう。

これを支えるのは多額の投資と高品質の製品で、新型V60には「XC90」「S90」「V90」そして新型「XC60」と共有する独自のプラットフォーム「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー(SPA)」が採用されている。2019年までにすべての新型車を電動化するという宣言や、2020年までにボルボ車乗員の交通事故による死者や重傷者をゼロにするという目標は、環境保護や安全を意識するボルボのブランド・イメージを体現するものだ。こうした意義ある目標もさることながら、クルマはより洗練され、装備はさらに充実し、そしてこれまで以上に高品質になっている。

沃尔沃全新V60外观
この新型V60で注目すべき点には、先代モデルに採用されていたフォード傘下時代のアーキテクチャーからの脱却も含まれる。パワートレインはフォードのお下がりではなく、ボルボ独自のものだ。全車電動化の先駆けとなるプラグイン・ハイブリッドは「T6ツインエンジン」と「T8ツインエンジン」の2種類を設定。いずれもスーパーチャージャーとターボチャージャーの両方を備えた2.0リッター直列4気筒直噴ガソリン・エンジンが前輪を駆動し、リチウムイオン・バッテリーと電気モーターが後輪を駆動するが、T6の方はエンジンの最高出力が253ps/5,500rpm、最大トルク400Nm/1,700-5,000rpmであるのに対し、T8はそれぞれ303ps/6,000rpm、400Nm/2,200-4,800rpmとなる。電気モーターは共通で、最高出力65kW(約88ps)と最大トルク240Nmを発生する。ノンハイブリッドの「T6 AWD」は、同様に2.0リッター直列4気筒直噴ガソリン・スーパーチャージド&ターボチャージド・エンジンが、最高出力310ps/5,700rpmと最大トルク400Nm/2,200-5,100rpmを発揮して4輪を駆動する。2.0リッター直列4気筒ディーゼル・ターボの「D3」は最高出力150ps/3,750rpmと最大トルク320Nm/1,750-3,000rpm、「D4」は190ps/4,250rpmと400Nm/1,750-2,500rpmを発生し、前輪のみを駆動する。いずれもトランスミッションは8速オートマチックだが、ディーゼルの2モデルには6速マニュアルの設定もある。他にガソリンでは「T5」と呼ばれる前輪駆動モデルも追加されるようだ。

沃尔沃全新V60外观
全長4,761mm × 全幅1,850mm × 全高1,427mmと、兄貴分のV90と比べると175mm短く29mm幅が狭い。ホイールベースは69mm短縮され、2,872mm。従来よりも大幅に長く、低くなった。先代V60は実用的なイメージに反し車内が狭いことが批判の的になっていたが、新型では荷室容量が先代の430Lから529Lに大きく拡大された。後部座席の足元スペースも45mm広くなっている。SPAプラットフォームの他のクルマと同様に、リアのサスペンションには一風変わった横置きリーフスプリングが使われている。フロントはダブルウィッシュボーン。オプションでエアサスペンションも装備できる。

沃尔沃全新V60双链路正面和多链路后悬吊系统
以上のように設計された新型V60は、ボルボのラインアップの中で最も流麗なプロポーションとなり、引き締まった現代的なスタイリングは、同社の新たな自信が反映されているように思われる。特徴的なシグネチャー・ライトから「トールのハンマー」と名付けられたヘッドライトは、ライバルのドイツ製高級車に対し自己主張しているものの、より全体的に控えめな外観とバランスを取り、ボルボは独自のやり方で勝負すると世に知らしめている。内装も外装と同様に美しい。少ない排気量とシリンダー数に対する懸念も、ハイブリッドのT6が0-100km/hまで4.8秒で加速すると聞けば収まるだろう。交差点で発進する時、隣のスポーツカーに先んじたところで、同乗した家族はありがたみを感じないだろうが、ボルボのステーションワゴンがそれをやれる実力を持っていると知っているあなたは、自然と顔もほころぶことだろう。

沃尔沃全新V60外观
その辺は自分だけの楽しみにしておいていただくとして、ボルボの定評ある特徴はもちろん健在だ。新型V60は従来モデルの高い安全性を基に作られている。これまでスタンダードだった「シティ・セーフティ」システムは拡大され、センサーが歩行者、自転車や大型動物を検知するとオート・ブレーキが作動するようになった。対向車に対しても制動を可能にし、正面衝突の衝撃を和らげる効果が期待できる。これは世界初だという。現在のXC60などでお馴染みのアップグレードされたパイロット・アシストも搭載され、車線逸脱防止や対向車回避のためステアリングをアシストする。これにクロス・トラフィック・アラートを含めるオプションも用意されている。

沃尔沃全新V60内饰
これらの機能は実際に試してみる必要のないものなので、日常のドライビングで重宝するテクノロジーといえば縦長大型タッチスクリーンを備えた最新の「センサス」インフォテインメント・システムだ。御察しの通り、Apple「CarPlay」、Google「Android Auto」に4Gモバイル通信にも対応しており、ナビゲーションからエアコンの温度や送風の設定まで、全てをタッチスクリーンでコントロールする。クリーンですっきりした典型的なスカンジナビア・デザインのインテリアも魅力が増していることが感じ取れる。新世代に移行したボルボの車内で、長い旅もリラックスして過ごせるだろう。

新型V60の価格は現時点で明らかにされていない。だが、ボルボの伝統的な長所に現代的な改良が加えられていることを見れば、ボルボ復活の方向性は正しく進んでいるように思われる。


By DAN TRENT
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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