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ランボルギーニは2月6日、ステファノ・ドメニカリCEOやマウリツィオ・レッジャーニ研究開発部門取締役が来日し、"世界初のスーパーSUV"を自称する新型車「ウルス」を日本で初公開した。

V12エンジン搭載のフラッグシップ「アヴェンタドール」、V10エンジンを搭載した「ウラカン」という2台のスーパー・スポーツに続くランボルギーニ第3のモデルは、まさかの(ある意味では妥当な?)SUVとして昨年末に登場した。ランボルギーニの、というより、おそらく自動車の歴史においても、新しい領域に挑んだウルスは、0-100km/h加速3.6秒、最高速度305km/hでサーキットを疾走することも、荒れ地や砂漠、雪上を走破することも可能な、文字通りのスーパーSUVだ。レッジャーニ氏によれば、ランボルギーニならではのドライビング・エモーションと、SUVとして欠かせない日常的な使いやすさを併せ持つ、「初めて家族と一緒にアドベンチャーできるランボルギーニ」であるという。


このコンセプトを実現するため、エンジンは他の現行スーパースポーツとは異なるフロントに搭載。低回転域から力強いトルクを発揮することが重要なので、ランボルギーニの歴史上初となるターボチャージャー付き4.0リッターV型8気筒を採用したとレッジャーニ氏は説明する。その最高出力は650ps/6,800rpm、最大トルクは850Nm/2,250rpm。乾燥重量は2.2トンとアヴェンタドールより400kg以上重いにも関わらず、パワー・ウェイト・レシオは3.38kg/psという、先代997型ポルシェ「911ターボ」並みの数字を達成している。


ドメニカリCEOやレッジャーニ氏が繰り返し強調したのは、ランボルギーニのスーパースポーツカーからDNAを受け継ぎ、SUVとして世界最高のパフォーマンスを目指したということだった。これは物理的に相反する要素を両立させることにつながるから、もちろん簡単なことではない。単にスーパーカー風のボディにトラックのシャシーを組み合わせればよいというものではないからだ。ドメニカリCEOの言葉によれば「不可能なことも可能にできると示す」ため、ウルスには強力なエンジンだけでなく、数々の先進的な電子制御技術が投入されている。


通常時は前輪40:後輪60に駆動力を配分する4輪駆動システムは、信頼性の高いトルセン式センター・ディファレンシャルを採用したという。路面状況により前輪に最大70%、あるいは後輪に最大87%の駆動力を送る。

さらにリア・ディファレンシャルには、アクティブ・トルク・ベクタリングを搭載。コーナーリング時には最大70%まで駆動力を左右の後輪に分配することができる。「ほとんどのクルマのトルク・ベクタリングは、片側の後輪にブレーキを作動させるパッシブなものですが、ウルスのアクティブなシステムはSUV初、唯一無二のものです」とレッジャーニ氏は説明する。


そして高速走行時の安定性と、低速時の機敏性や取り回しを両立させるため、アヴェンタドールSで導入された4輪操舵がウルスにも採用された。高速時には後輪が前輪と同じ向きに、低速時は逆向きに操舵されることで、ホイールベースが最大で600mm、長くなったり短くなったりするの同等の効果が得られる。

また、ウルスはオンロードにおける優れたハンドリングと、凹凸のあるオフロードでの接地性の双方を高める必要から、車高や減衰力が可変するアダプティブ・エアサスペンションに加え、ランボルギーニ初となるアクティブ・アンチロールバーが採用された。オンロードのコーナリングでは固くロールを抑え、オフロードでは切り離されて車輪が凹凸でジャンプアップしてしまうのを防ぐ。

これらの電子制御システムは、「Tamburo」と呼ばれるドライビング・モード・セレクターを切り替えることで状況に応じて各設定が最適に調整される。例えば「SPORT(スポーツ)」モードでは車高が下がり、さらに「CORSA(レース)」モードにするとダンピングが最も固くなる。「STARDA(公道)」モードでは快適な乗り心地に変わり、「NEVE(雪上)」モードは車高が上がりドライブトレインが滑りやすい路面に対応。さらにオプションとして「TERRA(オフロード)」と「SABBIA(砂漠)」モードも追加できる。

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エンジンには低い回転域と高い負荷に対応するツインスクロール・ターボチャージャーを採用し、トランスミッションは市街地における快適性と、力強い低速域から300km/hを超える高速走行にも対応する、ワイドな8速トルクコンバータ式オートマチックが組み合わされた。なお、このV8エンジンはランボルギーニが属するフォルクスワーゲン・グループ内で共有されているものがベースになっているが、ブロックは共通であるものの、シリンダーのパーツやコンピューターのマッピングはウルス専用に開発されているという。ただし、ボンネットを開けてもV8エンジンの姿はカバーが装着されているので見えない。


マルチリンク式サスペンションも、サスペンションアームなどはグルーブ内の別のモデルと共有するが、ディメンションは独自に設計されており、アダプティブ・アンチロールバーやアクティブ・トルク・ベクタリングはウルス専用の装備だという。ホイールは21インチが標準で23インチまで選択可能。ピレリの高性能スポーツ・タイヤ「P-ZERO CORSA」を装着するが、オールシーズン・タイヤや、ウインター・タイヤも用意されている。市販車最大というカーボンセラミック・ブレーキは、フロントがアルミ製10ピストン・キャリパー+φ440mm×40mmディスク、リアは鋳鉄製6ピストン・キャリパー+φ370mm×30mmディスク。動力性能と車重を考えれば、世界最強制動のブレーキが必要ということだ。


シャシーはアルミニウムとスチールが部位によって組み合わされており、ボディも他のランボルギーニとは違って、これ見よがしなカーボンファイバーは見られない。初めて写真で見た際には違和感を覚えたエクステリアのデザインだったが、実車を目にすると印象が好ましい方に変わった(個人による感想です)。一言で言えば、現代的なスポーツ・クーペのウエストから下を引き伸ばしたスタイルなのだが、アウディの「オールロードクワトロ」が登場した時のような新鮮な魅力も感じられる。ウルスは確かに、世の中に初めて現れた、"スーパーカーとSUVのクロスオーバー"だ。ランボルギーニの歴史には「LM002」というSUVもあるが、デザインの手法と方向性は全く異なる。一見ランボルギーニらしくない(けれどアレはアレでカッコイイ)LM002と違って、ウルスは十分にランボルギーニらしく見えるように留意されたことが窺える。お馴染みの六角形のモチーフやY字の灯火、ブラックのグリルにボディ同色のフィンを組み合わせたフロントエンド、シングル・モーションのボディ・ライン、「カウンタック」や「ディアブロ」から着想を得たというホイールアーチなど、各部にランボルギーニの現行モデルやヘリテージからの引用が見られる。


ドア(もちろん跳ね上げ式ではない)を開けると、着座位置はスポーツカーと比べたら当然ながら高いが、SUVとしては低いため、結果としてシートに乗り込む際にはちょうどよい高さに感じられる。外から見るとクーペのようにルーフライン後方が低く絞られているが、後部座席のヘッドルームは狭くて窮屈という感じはしなかった。ただし、その後方にある荷室の高さはそれなりということになる。後部座席は2人掛けと3人掛けのいずれかを選べる。フロント・シートの背後には、これも間違いなくランボルギーニ初となる後席用ディスプレイが備わっており、きっとこれから家族旅行中にランボルギーニの後席でアニメを見ながら大きくなる子供も世界のどこかにいるのだろう。後部ドアはピラーレスなのにブラインドがせり出してくる仕掛けが備わる。陽射しの強い地域では必須なのかもしれない。レベル2の自動運転に相当する全部で27個の種運転支援機能も搭載されている。子供の頃に想像した宇宙船のような運転席に座ると、やっぱりランボルギーニらしいとも感じるし、同時にスポーツカーの高揚感・緊張感には低い着座位置が重要な要素の1つであることも改めて実感したりする。実際にランボルギーニのスーパースポーツを所有するオーナーが、ウルスを運転した時にどう感じるかを聞いてみたい。18way調整式のシートにはヒーターとマッサージ機能まで内蔵されている。


レースやスポーツカーで築き上げたイメージでSUVを売り、それで得た利益を投じてスポーツカーを作る。これはもちろん、ランボルギーニに限った話ではなく、マセラティやジャガー、アルファ ロメオ、そしてアストン・マーティンに、どうやら今後はロータスフェラーリまで、世界中の多くの自動車メーカーが、ポルシェによって発見された現代の"SUV-スポーツカー錬金術"に手を染めている。メルセデス・ベンツにアウディ、ホンダやスバル、マツダだって少なからずこの方法に頼っていると言えるかもしれない。SUVを売らずにスポーツカーを作り続けようとしているのは、今やマクラーレンの他はケーニグセグにパガーニ、ケータハムやモーガンといった超少量生産メーカーくらいのものだ。ファンの気持ちとしては悲喜交々だろうが、これも時代であり、現実である。スポーツカー・メーカーの純粋性とは、スポーツカーしか作らないことではなく、純粋なスポーツカーを作り続けることであるとも言えるし、マルチシリンダーのスポーツカーなんて作れるのは今が最後かもしれないから、その費用を稼ぐための有効な手段と考えれば納得することもできなくはない。かくいう筆者も複雑な気持ちは否めないが、しかし筆者のように気持ちだけでなく、経済力も伴う本物のランボルギーニ・ファンならば、「これで家族で出掛けるときに他のメーカーのクルマを使わずに済む」とか「もう1台のウラカンは迷わず後輪駆動モデルを選べる」とか思うのかもしれない。ウルスの価格は消費税別で2,574万円(ちなみに消費税だけで200万円を超える)。今年の春から、日本の路上でも見られるようになるという。


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■関連リンク
ランボルギーニ 公式サイト
https://www.lamborghini.com/jp-en

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