まるで動くカプセルホテル! 寝具メーカーが手がけた寝台バス「スヌーズライナー」が英国に登場
ロンドンで地下鉄に乗って、居眠りしてしまったとしよう。あなたは目的の駅でちょうど目が覚めるかもしれないし、29駅乗り過ごした末に終点のコックフォスターズ駅で乗務員に起こされるかもしれない。あるいは、スリと思しき不審者にもっと早く起こされることだってあるだろう。そんなことは誰にもわからない。

いずれにしろ、どんな都市や町であっても公共の交通機関で居眠りするのは賢明ではない。しかし、どうしても移動中にぐっすりと眠りたい人のために、シンバ社がある計画を打ち立てた。シンバと言っても、某ライオン王国の世継ぎではなく、英国に拠点を置く寝具メーカーだ。同社は長距離通勤でプライベート空間を確保し、快適で安全な移動を実現する、14室の寝台を備えたバスを建築事務所と共同開発している。設計者たちは、2018年8月に英国の4都市を結ぶ8路線の運航をスタートしたい考えだ。

「スヌーズライナー」と名付けられたこのバスでは、乗客が乗車時に降りる停留所を予め電子機器に登録しておく。すると乗務員がバスを降りる時間に起こしてくれるのだ。また、各個室にはUSB充電器、WiFi接続の他、貴重品や靴をしまっておく収納システムが備えられている。



これだけでも素晴らしいが驚くのはまだ早い。寝具メーカーが手がけた寝台バスだけに、シンバ社の寝具が使われているのだ。円錐のスプリングと低反発フォームを採用したマットレスに枕と羽毛布団も備わっている。さらにミネラルウォーターは飲み放題で、オプションとしてコーヒー、スムージー、そして"ビタミンCと肝臓の解毒機能を強化するミルクシスル入りの独自の滋養強壮剤"も取り揃えているという。美味しそうだ。

また、各個室は遮光カーテンと遮音設計によって暗さと静けさが保たれ、"眠りを最も促すとされるオレンジ色の埋め込み式暗室灯のリラックス効果"で極上の移動をかなえてくれる。基本的にオレンジ色の照明が使われているのは、眠りに良いとされるからだ。BMWのインパネについては謎だが...。


それはともかく、今回公開されたレンダリング画像から判断すると、大きさやタイプの異なる寝台が用意されるようだ。乗車距離やサービスの度合いによって、スヌーズライナーの予定されている基本最低運賃8ポンド50ペンス(約1,300円)よりどれだけ高くなるかが決まる。

しかし、いくつかの疑問が浮かんでくる。例えば、不特定多数の人が乗り降りする公共バスで、どのようにして寝台を清潔に保つのだろうか。それに関してはシンバ社では対策を考えているようだが。

さて、ここで英国の公共交通に関するいくつかの興味深いデータをご紹介しておこう。英国で公共交通機関を利用して通勤している人の96%は、通勤途中に居眠りをしたことがあるという。中でもサウス・イースト地区(ロンドンも含む)の就業者が1年間に公共交通機関の中で居眠りしている時間は平均3時間近くにもなるそうだ。ロンドンに住む人の約3分の1は地下鉄の中で居眠りをし、その3分の2の人は眠っていて終点まで行ってしまったことがあるという。ロンドンの地下鉄は長い。平均的な英国人は1年に約40マイル(約64km)の距離を乗り過ごすそうだ。

スヌーズライナーが、悪くない計画であると思えてきただろうか?


By JAMES RISWICK
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

■関連記事
・「走るリッツカールトン」 アメリカで話題の寝台バス「Cabin」に乗ってみた
・ボルボ・トラックを使った個室付き夜行バスが運行開始 サンフランシスコ〜ロサンゼルス間の運賃は約5,200円

■関連動画