『お台場旧車天国 2017』から、名車・珍車をご紹介! 第6回:「マツダロータリー天国」編(その1)
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11月19日(日)に東京江東区・お台場特設会場にて開催された『旧車天国』。今回の同イベントでは、マツダのロータリー市販車生誕50周年を記念して、歴代のマツダ車が一堂に会する特別企画「マツダロータリー天国」が開催された。

同エリアには、コスモスポーツ、ファミリアロータリークーペ、プログレス・コスモ(2代目)などの稀少なロータリー車が展示された。

根強いファンが多く、人気の高いクラシック・ロータリー車だが、新車当時は高性能の割にライバル車よりも価格が安く設定されたこともあり、1970~80年代には暴走族に好まれたことから事故や行政による強制廃車で失われたケースが少なくなく、さらに保守管理に手間の掛かるロータリーエンジン、当時のマツダ車がトヨタや日産のクルマに比べて耐久性やクオリティの面で劣っていたことも影響して、ハコスカやケンメリ、Z、レビン/トレノ、セリカなどに比べて残存数は少なくなっている。

そうした意味からもまとまった台数のマツダロータリー車が集まる機会は少なく、今回の『旧車天国』は大変貴重な場となった。


●マツダ カペラ(初代/後期型)

1970年に登場した初代カペラ・ロータリークーペ。ファミリアの上級車種として登場し、12A型ロータリーとレシプロの1.6/1.4L直4SOHCを搭載するシリーズがあった。展示車はもちろんロータリー車だ。
最高出力120psの12A型ロータリーエンジンは、ゼロヨン15.7秒という俊足ぶりを発揮し、そのエンジンパワーを活かしてモータースポーツに参戦。国内のツーリングカーレースでは、当時無敵を誇った日産スカイラインGT-Rを追いつめるも一歩及ばなかった。

当初、カペラのフロントマスクは丸目4灯と角目2灯の異なるヘッドランプを採用した2つのタイプがあったが、71年のマイナーチェンジでフラッグシップモデルの「Gシリーズ」が誕生すると、全車丸目4灯ヘッドランプとなった。また、それに合わせてロータリー車のテールランプがファミリアと共通の意匠を持つ丸目4灯から特徴的なヘキサゴン(六角)タイプに変わった(レシプロ車はシリーズを通じて角型のコンビランプを採用)。


私事で恐縮だが、亡くなった筆者の父がカペラのロータリーセダンを新車で購入して14年間所有していた。ヨーロピアンルックの洒落たスタリングと、特徴的なヘキサゴンテールランプは幼い筆者のお気に入りだった。

しかし、手放す直前は雨漏りに悩まされるようになり、オイル消費も増え、燃費はますます悪くなり(あとから父に聞いたが4km/Lを切るようになったそうだ)、家族の評判は芳しいものではなかった。

思い出の1台ということで、一時期本気で探したことがあったが、残存数が少ないこともあって国内で見つけることができず、北米や豪州で探して逆輸入することも検討したが、なかなか良い売り物が見つからずに、結局それっきりになってしまった。

近年、世界的な旧車ブームもあって初代カペラの旧車相場は高騰しており、北米でも3万ドル以下では手に入れることが難しくなっている。もっと早く入手していればと少し悔やんでいる。



●マツダ カペラ(初代/前期型)

初代カペラの前期型。前述の通り、カペラの前期型には2種類のフロントマスクがあったが、こちらは角目ヘッドランプを採用したタイプ。

特撮ファンなら『帰ってきたウルトラマン』の第35話「残酷!光怪獣プリズマ」で、故・岸田森演じる坂田健が劇中で運転していたのを覚えている人がいるかもしれない。

まったくの余談ながら、"新マン"は「MATビハイクル」(ヴィークルではない)役のコスモスポーツをはじめ、60~70年代前半のマツダ車が多数出演している。マツダが車両協力していたのだろうか? 興味がある人はDVDをご覧になることをオススメする。



●マツダ コスモスポーツ

日本初のロータリー車であり、世界初の実用2ロータリーエンジンの搭載車。

もともとコスモスポーツはロータリーエンジンのテストや高速試験のためのテストカーとして開発がスタートしたが、実用化の目処がある程度ついたこともあって市販されることになった。だが、実際には完成にはほど遠く、ロータリーエンジン特有の課題をいくつも残したままの見切り発売であった。

未来感溢れるスタイリングはマツダ初の社内デザイナーである小林平治が担当した。宇宙船を思わせる斬新なデザインから特撮番組『帰ってきたウルトラマン』のMATビハイクルとして使用されたのは先ほども述べた通りである(ほかにも『ウルトラセブン』第40話「セブン暗殺計画・後編」や『ジャンボーグA』にもコスモスポーツは出演している)。

また、2012年にアニメ『エヴァンゲリヲン新劇場版:破』でも、アルピーヌ A310に代わって葛城ミサトの愛車として活躍した。

じつは『エヴァ』に登場するコスモスポーツのエンジン音は実車のものを録音・収録している。その際に使われたコスモスポーツの音源は、昨年の『旧車天国』の『マニアック天国』エリアで展示された『ウルトラセブン』の劇用車「ポインター号」のレプリカのオーナーである城井康史氏の所有車だった。

ちなみに城井氏の義理のお兄さんは怪獣画家として著名な開田裕治氏。怪獣やアニメと縁の深い一家である。



●マツダ ルーチェ ロータリークーペ

ベルトーネがスタイリングを手掛けたロータリーエンジンを搭載したラジュグアリークーペ。

ベースとなったのは4ドアセダンのルーチェ・セダンであるが、駆動方式はセダンのFRではなく、新設計のFFを採用している。現在に至るも国内ではロータリーエンジンを搭載したFF車はこのクルマだけとなる(本家の独NSUではFFレイアウトを採用したロータリー車としてRo.80が存在する)。

心臓部にはコスモやファミリアの10A型よりもローター外径とローターハウジング内径を大きくした専用設計の13A型エンジンを搭載した。


素晴らしい走行性能と美しいスタイリングが評判となったが、オーバーヒートや過大なアンダーステアの問題、ドライブシャフトの異音などが解決できておらず、それらの熟成不足がユーザーから指摘された。1969~72年までの間にわずか976台生産したのみで販売が打ち切られた。



●マツダ ファミリア ロータリークーペ

コスモスポーツに続き、1968年にデビューしたマツダロータリー車の第2弾。

軽量コンパクトな2代目ファミリアのボディに強力なロータリーエンジンを組み合わせたことで、圧倒的なスピードを得たが、専門家からは足回りやブレーキがパワーに負けているとの評価を受けた。

ファミリア ロータリークーペはモータースポーツにも果敢に挑戦し、1970年スパ・フランコルシャン24時間耐久レースや国内のツーリングカーレースに参戦。独特の甲高いエキゾーストノートで世界のサーキットを沸かせた。



●ファミリア ロータリーTSS

先に販売したファミリア ロータリークーペが好評を持って市場に受け入れられたことから、1969年7月にファミリア4ドアセダンにロータリーエンジンを組み合わせたファミリア・ロータリーSSが追加された。
さらにSSのデビューから3カ月後、クーペ同様のスポーティなT字型のインパネを採用した豪華モデルのTSSが登場した。

展示車は稀少なファミリア・ロータリーTSSである。


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