テスラ、EVトラック「セミ」の意外と安い価格を発表 一方で疑問の声もあり
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テスラが発表したEVトレーラー「Semi(セミ)」は中央に運転席を配置し、エアロダイナミクスを意識したデザインでアメリカントラックのイメージを覆しつつ、スペック面でも予想を上回るものを提示しました。ただ、発表の場では価格は公表されず、だれもが「でも、お高いんでしょう」と勝手に納得していました。

ところがテスラはウェブサイト上で発表した価格で、またもや我々の予想を上回る(下回る?)、コンペティティブな数字を出しています。

テスラ セミの価格は、300マイル(約480km)レンジ版で15万ドル(約1,670万円)、500マイル(約800km)レンジ版が18万ドル(約2,000万円)。最高の性能に贅沢装備を追加した"ファウンダーシリーズ"は20万ドル(約2,225万円)となっています。

500マイルレンジ版で比較すれば、米国におけるディーゼルセミトレーラーの一般的な価格12万ドルにくらべた差額は6万ドル(約667万円)。しかし、イーロン・マスクの言葉を信じれば、テスラ セミはランニングコストがディーゼルよりも2割少なくなるため、100万マイル走行すれば25万ドルが節約できると考えられます。

さらにテスラ セミには自動緊急ブレーキ、車線維持、斜線逸脱警告を組み合わせた"Enhanced Autopilot"機能が搭載されるほか、ジャックナイフ防止制御や死角を減らすためのセンサーおよびカメラもドライバーの負担を軽減します。

そして、EVならではの異次元の加速性能もこのトラックには備わっています。ただこれを使うのは、荷崩れや周囲の迷惑になる心配がない場合だけにとどめておくのが無難と言えるでしょう。山間の峠越えなどには有効に使えるかもしれません。

良いことばかりに思えるテスラ セミですが、トラックドライバーの経験を持つ米国版AutoblogエディターのJonathon Ramseyは、運転席を中央に配置すれば、取り回しの際に窓から頭を出して周囲確認ができず、死角用カメラやセンサーが本当にすべてをカバーできるのかにも疑問を呈しています。また回生ブレーキが効くにしても、もっとブレーキを重視する必要があると指摘しています。

一方で批評家たちは価格そのものにも疑問を呈しています。500マイルレンジ版が約1MWhのバッテリーを搭載すると予想されるのに対し、現在ある1MWhのバッテリーは40万ドルもするため、自前のバッテリー工場「ギガファクトリー」を抱えるテスラとはいえ、発売までには何らかのトリックが必要になるはずだとされています。

ただ、大口顧客候補たちはすでにトラックの価格が出る前から手を上げ始めています。真っ先に話題に出たのは米スーパー大手のウォルマートで15台、ついでカナダのスーパー大手Loblawも25台を試験的に導入すると伝えられました。

このテスラ セミとロードスターの発表は、ディーゼル/ガソリン車に対してEVが劣る部分を克服する時期が来たことを示したという意味でも大きな話題性を伴っています。ただ、テスラの屋台骨を支えるはずの普及車モデル3のほうは、今週になってようやく上客や関係者以外の一般予約枠に正式注文の案内が届き始めたばかり。モデル3予約者がまだ行列に並んでいるうちに、ロードスターに乗った金持ちがヒーハー!と走り去る、などということだけはないように祈りたいところです。


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By Munenori Taniguchi
※こちらの記事はEngadget日本版より許可を得て掲載したものです。

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