NISSAN X-TRAIL
 SUVに何を求めるのかは人それそれだが、アクティブに使い倒したいというのなら日産・エクストレイルは最有力候補に違いない。


 濡れた水着や雪が付いたスキーウェア&スノーボードウェアのままでも気兼ねなく座れる防水シート、雪が付いたままだったり濡れたシューズで乗り込んでも平気な防水加工フロア、そして汚れた遊び道具を躊躇なく放り込める防水ラゲッジ。いずれも水拭きできるから、汚れたら簡単に掃除できるからありがたい。


数あるSUVのなかでも、ここまで使い倒すことを意識したSUVは他にはない。国産SUVのなかで、もし海や雪山へ遊びに行く最高のパートナーを探しているならばエクストレイルを選べばいいのである。もちろんキャンプにも最適だ。


<2013 X-TRAIL>
 2013年のフルモデルチェンジ直後は「四角いのがエクストレイルであり、こんなデザインはエクストレイルじゃない!」という辛辣な声も少なくなかったスタイリングも、いまではすっかり見慣れたのはボクだけではないだろう。


 2017年6月8日。そんなエクストレイルがマイナーチェンジを受けた。エクステリアは日産がファミリーフェイスとして採用拡大している「Vモーショングリル」をより大胆にしたフロントがもっとも大きな変更点。写真では従来とあまり変わらないように見えるかもしれないは、実車を従来型と見比べると表情が引き締まったように感じられるし、新しさもある。大きな変更ではないにも関わらず、これだけ印象を変えられる日産デザインのテクニックに思わず感心してしまった。



 細かい部分ではLEDヘッドランプがハイビーム/ロービームともにプロジェクター式となり、テールランプも含めて輪郭をブラックハウジングとして精悍な仕上げとしたほか、新デザインのアルミホイールやシャークフィンアンテナ、リヤバンパーのメッキガーニッシュ採用など細かい部分もリファイン。細かい違いだけど、洗練度はかなり高まった。


 いっぽうインテリアはインパネの一部デザイン変更やフラットボトムのステアリングホイール採用により上級感とスポーティ感が高まった。このあたりは最近の日産のマイナーチェンジ手法としては既定路線ともいえるが、一部仕様(プロパイロット装着車)には足踏み式ではなく電動のパーキングブレーキ、しかも信号待ちなどでブレーキペダルから足を離しても停止状態を維持するホールド機能付きが組み込まれることになたのは大きな変化だ。


 指先によるスイッチ操作で動かせる電動パーキングブレーキは、新型エクストレイルの購入にあたってはぜひ選びたいアイテムのひとつだ。女性など力の弱い人でも確実に駐車ブレーキを掛けられるし、自動作動/解除機能も備わっているから操作が楽になる。

さて、実用面でおおきく進化したのは、ラゲッジルーム周辺。ポイントはふたつだ。


 ひとつは、電動テールゲートの開閉方向。マイナーチェンジ前のエクストレイルはリモコンキーのスイッチやゲートのボタンのほか、キーを携帯しドアハンドルの下に手を差し出せばゲートが開く機構が備わっていた。それが進化し、キーを携帯してリヤバンパー下で足を動かせば手を触れることなくゲートを開け閉めできる方式にかわったのだ。輸入車では多く採用されている仕掛けを追従したともいえるが、両手が塞がっていてもテールゲートを開閉できるようになり利便性が高まったのは確実だ。


 また、これまで3列車だけの仕掛けだった2列目の前後スライド機能が2列車の上級グレード「X」にも組み込まれるようになった。しかもスライド量は200mmと長いのだからかなり"使える"。


 後席使用時の荷室長は従来の900mmから最大1100mmへ拡大され、積載性は大きく高まった。アクティブにSUVを使い倒す人にとってこれはグッドニュース以外の何物でもない。その場合、背もたれは2分割ではなく中央も独立で倒せる3分割になる。


 しかし、それらは今回のマイナーチェンジではあくまで序章に過ぎない。なぜなら最大のトピックが別に用意されていて、それが日産車としてはセレナについで二番手、国産車としても日産車以外は採用していない「高速道路同一車線自動運転機能」の搭載だ。日産が「プロパイロット」と呼ぶこの機能は、高速道路の巡航や渋滞において車速管理とステアリング操舵をドライバーが操作することなくクルマがコントロール。あくまで「補助」にすぎないが、運転中の疲労、そして渋滞中のストレスを大幅に軽減できるシステムだ。
自動運転の第一歩となる類似のシステムは日本でも高価格帯の輸入車には採用が進んでいるが、新しいエクストレイル、そして昨年登場のセレナはオプションとはいえ「手の届きやすい価格帯の国産車で実現している」ところに大きな意味があるのだ。

 そして装着に24万3000円のオプション代が必要だったセレナとは異なり、エクストレイルは14万400円のオプション価格で装着できるようになったのも見逃せない部分といえる(ただし単純な値下げではなくセット装備内容が異なる)。


 ただ、ひとつだけ日産にお願いしたいのはクルーズコントロール(プロパイロット)の設定速度上限に関して。これまではいわゆる「自主規制」により国産車のクルーズコントロールは115km/hを事実上の上限速度と定められていた日本車だが、現在はその制約が撤廃された。そこでレクサスLCは規制撤廃第一弾として180lm/hというなんともおもいきった設定としているのだが、エクストレイルは従来通り100km/h(これはカタログなどに記載されている数値で実際にはもう少し高い)までなのだ。


 「制限速度は最高100km/hなのだからそれで困らない」という意見もあるが、今後はそれが段階的に120km/hまで引き上げられることが発表されているのでその理論は説得力を失う。「やっちゃえ日産!」だけに、ここはぜひ上限速度の底上げをして欲しかったというのが素直な気持ちだ。そうすれば、プロパイロットはさらに便利な機能となるのは間違いないのだから。


 とはいえ、ほぼ同じ車体サイズのSUVであるトヨタ・ハリアーは偶然にもエクストレイルと同じ日に発表されたマイナーチェンジで全車に自動ブレーキ機能をやっと標準装備化。先進運転支援システムに関しては、エクストレイルが大きくリードしているのが現状であり、日産の意気込みを感じられると同時に大きく評価すべき部分だろう。


 価格は2.0L自然吸気エンジンを積むガソリン車が219万7800円から282万7440円。ハイブリッド車は258万9840円から309万8520円だ。


 ちなみに、ハイブリッドモデルは空力の向上や制御変更でアクセルオフ時の回生量を増やしたことで効率を改善。2WD車の燃費はJC08モードで20.8km/L(従来は20.6km/L)に伸びた。
 そんなハイブリッド車が260万円弱で購入できるというのもエクストレイルの大きな魅力である。装着できるのは上級グレードの「20X HYBRID」(289万2240円~)のみだが、もちろんハイブリッド車にもプロパイロットが搭載できる。

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