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  • Featured: 【試乗記】スバル360は、平仮名で「くるま」とするのが心地良い:木下隆之
    2016年10月18日 17時00分

     こんなにもワクワクした試乗も少ない。こんなにも天気予報が気になった試乗も少ない。 この日は富士重工が企画した「歴史講座」の日。大切に保管管理してきた伝説のくるま達のステアリングを握ることが許された日だったのだ。  ただし、条件は天気が雨でないことだった。それもそのはずで、大切な稀少車をウエット路面で走らせるのははばかれる。良好なコンディションをキープするためにも、雨が降らないことが唯一の約束事だったのだ。そしてその日、台風19号の接近が報道されている中なのに、奇跡的にその時間だけ雨が上がった。ツイテいた。  スバル360は日本の高度成長期を支えた"くるま"である。「車」で漢字で表記するは似合わないし、カタカナの「クルマ」もイメージが違う。やはりスバル360は平仮名で「くるま」とするのが心地良い。  デビューは1958年。13年間販売しつづけたモデルである。時代は戦後の高度成長期。日本経済が右肩あがりで上向きつづけ、貧しかった日本人が「ゆたか」を実感しはじめた時代である。  高値の華だったマイカーが、庶民にも夢の車ではなくなった時代だ。通産省が「国民車構想」を掲げており、その役割を担ったのが排気量を360cc以下と定めた軽自動車だ。その急先鋒がスバル360だったのだ。  スバルは軽自動車といえども、大人4人がのれるくるまを目指した。RR方式を採用したのは、室内を広くするためには、エンジンを駆動輪に直結させたRR方式が理想だと考えたからだ。フロントが軽いから、ステアリングの操舵力も軽減できた。タイヤを小径の10インチとしたのも、室内空間を確保するためである。  全長は1995mm、全幅は1300mm、高さは1335mmと小さい。車重は385kgだった。それでも大人4名を乗せたのだから国民に支持されたのも道理である。ちなみに、2シーターのスマートはスバル360よりも全長で505mmも長く、全幅で200mmも広い。安全性などの要件が厳しい現在のくるまと比較するのも酷だが、あきらかに小さいのだ。このスペースに大人4人を乗せたというのだから驚きである。  エンジンは空冷2気筒2ストロークである。初期はわずか16馬力しかなかった。のちに36馬力まで強力になるのだが、非力ながら国民を乗せて野山を駆け回ったのである。...

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