2月9日、WECは2018-2019年シーズンのレースカレンダーを改訂、F1アメリカGPと日程がかぶっていた富士6時間レースを1週間前倒して10月14日に行うと発表しました。これはトヨタチームへのフェルナンド・アロンソ加入が決定した際、富士6時間レースを開催する富士スピードウェイがWECに日程変更をはたらきかけていたことを受けての変更と考えられます。


アロンソはWECに参戦する際、F1と日程が重なるレースにおいてはF1を優先する取り決めをマクラーレンF1チームと交わしています。このため従来の日程ではアメリカGPと日程が重なるWEC富士6時間レースは欠場するはずでした。

しかし、トヨタ自動車がオーナーの富士スピードウェイはアロンソの参戦決定後すぐにWEC富士6時間レースの日程を10月14日に変更するよう求めたとされます。たしかにアロンソが出場するなら富士6時間レースの集客アップが見込めます。またトヨタチームとしても全戦でアロンソを起用するほうが代役を立てるよりシリーズを有利にすすめることができるかもしれません。

ただ、10月14日にはアメリカ・ロードアトランタで開催されるIMSAプチ・ル・マンが組まれており、富士6時間レースを10月14日に移動させたことで、WECとIMSAプチ・ル・マンを掛け持ちしているドライバーが(おそらくWECを優先するであろうものの)どちらのレースに出るかを調整しなければならない事態となりました。

この問題に影響を受けるのは、マイク・コンウェイ(トヨタ)、ブルーノ・セナ(レベリオン)、レンガー・ファン・デル・ザンデ(ドラゴンスピード)、ハリー・ティンクネル(フォード)、オリヴィエ・プラ(フォード)ほか。

WECはもともと、プチ・ル・マンとの日程重複を避けるために富士6時間レースを10月21日に設定したと説明していました。それがここへ来て再び日程重複させるというWECの判断に、怒りと失望を表明するドライバーが相次いでいます。

たとえばフォード・チップ・ガナッシのオリヴィエ・プラなどは「この信じられないほど馬鹿げた日程変更をしたFIA WECに"ありがとうよ"と言いたいね」とツイート。同じくフォード・チップ・ガナッシのピポ・デラーニも「この馬鹿馬鹿しい日程変更でどちらかのレースを諦めなければならないすべてのドライバーに同情する。WECは、耐久レースがチームスピリットで成り立つスポーツであって、誰か一人のスターのためのショーではないことを思い出すべきだね」と辛辣。



2017年のル・マン24時間レースにジャッキー・チェンのチームから参戦したオリバー・ジャービスは「私はWEC、トヨタ、富士スピードウェイが商業的な利益を考えたであろうことは理解できなくもないが、長年シリーズを支えてきた他のドライバーたちのシート確保の努力はどうなるのか?」とツイートしています。

富士6時間レースの日程変更は10月14日に予定されるSUPER GT第7戦オートポリスの日程変更も強いることになりました。このレースも、もともとは10月21日に予定していたところを、富士6時間レースとの重複を避けるためわざわざ10月14日に移動した経緯があります。

2018年をSUPER GTで戦うジェンソン・バトンは、今回のWECの決定を受けて「一人のドライバーのためにレース日程が変更されるのは残念だね。それによってたくさんのドライバーが苦痛を被るし、IMSAやSUPER GTのファンにも迷惑をかけてしまうよ」とかつてのチームメイトのために影響を受けてしまう人々を気遣っています。

なお、モータースポーツ専門サイト『Racer』が伝えるところによると、WECのCEO Gerard Neveuは、IMSAに対してプチ・ル・マンの日程変更をするよう申し入れをしました。これに対してIMSAは、「WECは我々に対して問題を解決するためにプチ・ル・マンの日程を変えるよう求めてきました。これを慎重に検討した結果、IMSAはこの要求に対応しないことを決定しました」と『Racer』に語っています

IMSAによれば、プチ・ル・マンはすでにテレビ放送の予定が組まれていること、レース後にはIMSAのシーズン終了のバンケットが予定されていること、それらにともなう出場チームやサプライヤーの物流の都合などをあげ、日程変更にはあまりに多くの障害がありすぎるとしています。


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