【短評】ポルシェの新型「911 カレラGTS」を、米国版Autoblog編集部員たちが試乗
Autoblog編集スタッフが「2017年に乗った最も素晴らしいクルマ」の1台に挙げていたように、我々は昨年、美しいカーマイン・レッドのポルシェ「911 カレラGTS」と共に最上の時間を過ごすことができた。「GTS」は性能と価格を考えると、「911 カレラS」よりもお買い得なモデルである。カレラSで人気の高いオプションであるスポーツクロノ・パッケージ、スポーツシート・プラス、スポーツ・エキゾーストがGTSには標準装備されており、これら2台を同等の装備で比べるとGTSの方が10%ほど安く済むのだ。さらに「911 ターボ」と同じクールなセンターロック式ホイールを採用している。カレラやカレラSには見られない仕様だ。

我々が試乗したモデルは、4輪操舵システム、カーマインレッドの特別色などいくつかオプションが施されている。ターボ付きのため、わずかにエキゾースト・ノートを抑えているが、それでも今までと同じくらい美しい音を奏でてくれる。だが、おそらくGTSの最大の魅力は、3.0リッター水平対向6気筒エンジンがカレラSの420psを上回る450psを発揮し、それを7速マニュアル・トランスミッションで操れるということだろう。


Greg Migliore 編集主任
昔のスパイ映画のワンシーンにも登場していた。2人の工作員の1人に扮したロバート・レッドフォードがCIAを引退した後、ガレージから旧式の911に乗って去っていく。少なくとも大きなスクリーン上で見た限り、それは素晴らしい場面だった。911GTSを運転すると当時の思いが甦る。しかし現在では、ダッジ「チャレンジャー SRT デーモン」や、メルセデスAMGの各モデルなど、もっと安い価格でさらにパワフルなクルマを手に入れることもできる。ポルシェ 911の素晴らしさが忘れられがちだ。

ある早朝、私はブラック・コーヒーを飲み、愛犬が朝食を食べるのを眺めていた時、ふと気が付くと911の美しい曲線とプロポーションに見とれていた。カーマインレッドのボディにブラックのホイールは、私が理想とする911のトップ3に入る(ブラックのホイールは確実でも、ボディはグレーやグリーンも捨てがたい)。

パワートレインも最高だ。音も良い。パワフルだが狂気的というほどではない。7速マニュアル・トランスミッションも大いに楽しめる。動きは精密で気持ちがいい。郊外をクルージングするのに7速も要らないと思ったが、確かに巧く設定されている。ステアリングも同様に味わい深い。お伝えした通り、GTSはエンスージアストを惹き付ける仕様だ。望むものがほとんど全て備わっている。私は「718ケイマン」や「718ボクスター」の方を支持してきたが、今回は初めて911に夢中になってしまった。

「ポルシェ 911GTSと過ごす素晴らしい夜。7速マニュアル・トランスミッションに水平対向6気筒エンジン」


John Beltz Snyder 編集主任(AutoblogGreen)
販売価格が6ケタ(邦貨にして1千万円超)にもなるクルマともなると、自分がオーナーとなる幻想すら思い描くこともできない。そんな夢はさっさと葬り去って先へ進むのだ。大したことではない。

しかし、先日ポルシェ 911 GTSに乗って帰宅した時、私はその葬り去られた夢を悼むことになった。このクルマを運転したら、自分がポルシェの販売店へ行って911を買うことなどないと思い知ることで純粋に悲しくなったのである。7速マニュアル・トランスミッションの機械的な精巧さを楽しみ、後ろから力強く推す水平対向6気筒ターボ・エンジンの息吹を感じると、私はその瞬間のはかなさに切ない思いがした。そして、自らを慰めようと、古い諺を思い出したが、逆効果となってしまった。

「人生で一番価値あるものは、お金で買え......る。けれど非常に高価」

矢のごとく交通の間をすり抜け、コーナーで振り回す楽しさを感じながら、911が雄弁に伝えてくる情報と反応に浸りながらも、私はちょっと考えた。人生で2番目に価値あるものは、もっとずっと安く手に入ると。

そう、マツダ「MX-5 ミアータ」なら遥かに手に入れやすく、ほとんど変わらぬ歓びを感じることができるではないか。911のように特別でもパワフルでもないが、非常に純化されたドライビングを味わえる。バランスが良くて純粋な何かと、とても親密な関係性が築けるのだ。ボンネットの両脇には同じような膨らみがあり、道路の先にある次のコーナーへとドライバーの視線を導く。それに私はいつも感動するのだ。

米国で911は10万ドル(約1,100万円)を切る価格から提供されており(それでも高嶺の花だが)、中古の911(や「ケイマン」の新車)ならもっと安く買える。それでもこのドイツ車を運転すると、英国車にヒントを得た日本車を手に入れるという私の現実的な衝動が改めて強まるのであった。


Reese Counts共同編集者
このクルマの運転席に座ると、ドライビング・ポジションはほぼ完璧に決まる。ステアリングやペダル配置から、7速マニュアルのシフトレバーまで、全てが適切で、そこにあって欲しいという位置にあるのだ。全てがあるべき場所にあるため、運転時の動きに無駄がない。他にそんなクルマは決して多くない。シフトレバーの動きは明瞭で、アクセル・ペダルは右足の僅かな動きも洩らさず後輪に伝える。ステアリングは軽いが、フロント・タイヤの状況を常に余すことなく伝えてくる。よい路面であれば、このクルマは陶酔をもたらすだろう。

ああ、欲しくてたまらない。

昨年までの自然吸気水平対向6気筒エンジンについて多くは語れない。しかし、この3.0リッター・ツインターボ・エンジンは甘美だ。トルクは低回転域から力強く、回転は最高潮の7,500回転まで積み上げ、ギアをシフトアップする際には鋭く落ちる。エンジン音は夢心地だ。それほど控え目とは言えないタービンの音が、後ろでパワーを生み出す存在を意識させる。過給器が付けられても、パワーの出方はスムーズでリニア、低回転域で感じられるターボラグも最小限に留められている。

他の多くのクルマを運転していて、これほどアクセルを全開にして最高速度を出したいと思うことはない。確かに、911カレラGTSの半分以下の価格で、同等かそれ以上の性能をサーキットで発揮するクルマはある。しかし、そんなことは気にならない。それらのクルマで、カレラGTSほど純粋で感動的な歓びを与えてくれるものは1台もないからだ。ルックスからサウンドまで、その全てが私を感動させ、さらに欲しいと思わせる。


エンジン:3.0リッター水平対向6気筒ツインターボ
最高出力:450ps
最大トルク:550Nm
トランスミッション:7速マニュアル
0-100km/h加速:4.1秒
最高速度:312km/h
エンジン搭載位置:リア
駆動方式:後輪駆動
価格:12万1,750ドル(約1,370万円)から
試乗車価格:12万8980ドル(約1,450万円)
日本仕様消費税込み価格(PDKのみ):1,750万円


By AUTOBLOG STAFF
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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