ボーズが開発したサスペンションの技術をクリアモーション社が買収
音響メーカーのボーズ社は1980年代から、"プロジェクト・サウンド"というコードネームで、電磁力モーターを使用した自動車用サスペンションの開発に取り組んできた。各車輪に取り付けたモーターがサスペンションの可動域で緩衝の役目を果たし、オイルを使用したダンパーよりも素早く動くという技術だ。以前ご紹介した動画では、これを搭載する試験用車両が波打つ路面で安定したボディコントロールを見せ、障害物を飛び越えている様子も確認できる。だが、コスト、サイズ、複雑さ、重量などの懸念から、今までこれを採用した自動車メーカーはなかった。ところが先日、クリアモーションという会社がこの技術をボーズから買収したと発表。いずれプロジェクト・サウンドを搭載するクルマを路上で見ることができるようになるかもしれない。

クリアモーション社は、2008年に3人のMIT学生が当時レバントパワーという社名で設立。ダンピングエネルギーを電気エネルギーに変換し、燃費を抑えることができる自動車用ダンパー「GenShock」の商品化を目的としていた。最近では、その開発についてあまり進展を聞かないが、2013年に大手部品サプライヤーのZF社が量販品として開発するため、クリアモーション社とパートナーシップ契約を結んでいる。

それから4年、クリアモーション社は"世界初となるウルトラ・アクティブ・シャシー・システム"の製品化を目指している。そんな同社とボーズが関係を持ったことは偶然ではない。クリアモーション社の技術チーフであるマルコ・ジョバナルディ氏は、リサーチエンジニアとしてボーズに7年勤め、プロジェクト・サウンドの開発に携わっていたのだ。しかし、クリアモーション社はボーズのハードウェアではなくソフトウェアに興味を膨らませたようだ。同社が開発中のシステムは、プロジェクト・サウンドのような電磁力ではなく、電気式油圧制御を利用する。クリアモーション社とこのテクノロジー企業に1億3,000万ドル(約145億円)を投資したベンチャー投資企業らは、その"デジタル・シャシー"が現代のクルマに求められる技術と考えているだけでなく、自動運転車が現実になれば乗員に最高のリラックス体験を提供できるとしている。プロジェクト・サウンドの技術と特許だけでなく、クリアモーション社はボーズ・ライド・システムを採用した大型トラックのシート用サスペンションの技術も買収した。ボーズ・ライド・システムには、ボーズがプロジェクト・サウンドで培った技術が投入されている。


By JONATHON RAMSEY
翻訳:日本映像翻訳アカデミー



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