【短評】ホンダ「シビック TYPE R」に米国版Autoblog編集者が試乗!「トルクステアは無く、乗り心地も快適」
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ホットハッチに勝るクルマはない。エンスージアストたちは実用性と走行性能を兼ね備えたフォルクスワーゲン「ゴルフR」フォード「フォーカスRS」のようなクルマがお気に入りだ。峠道ではヒーローになれるし、帰り道には数人の同乗者を乗せて食料品の買い出しに行くこともできる。しかし、この数年間、最も優れたホットハッチは米国に入ってこなかった。それはテレビゲームか欧州や日本の自動車雑誌でしかお目に掛かれないシロモノだった。しかし、そんな時代もついに終わった。

他のライバル達と違って、ホンダの「シビック TYPE R」は最高出力306hpと最大トルク40.8kgmを発揮する2.0リッター直列4気筒ターボ・エンジン(米国で組み立てられている)が、前輪のみを駆動する。ホンダのエンジニアはサスペンションとステアリングに魔法を掛け、トルクステアを軽減すると同時に、4輪駆動のゴルフRやフォーカスRSに対し大幅に車両重量を抑え、そして意義深い低価格を実現した。


Reese Counts共同編集者
このクルマを運転できる日が来るのを、首を長くして待っていた。私はホットハッチが大好きで(以前は「ゴルフGTI」を所有していた)、このセグメントに新しいクルマが加わるのなら何でも大歓迎。競争は革新を生むのだ。私は米国で販売されなかった歴代シビック TYPE Rをずっと追っていたし、ヨーロッパやアジアを訪れた際には1台1台じっくり見て回った。「シビック Si」にはがっかりさせられたので(あれは大して特別ではないし、普通のシビックと比べてもさほど優れているわけではない)、TYPE Rがモデルチェンジするのを待ちわびていた。

全てのパワーを前輪に伝えることにやや懸念はあったが(今でもサーブ「9-3」マツダ「スピード3」(日本名:マツダ スピードアクセラ)のステアリング・ホイールが手の中で暴れたのを覚えている)、それは杞憂だったようだ。ホンダのエンジニアがやったことは全て功を奏している。寒くて路面が濡れている状況でも、トルクステアは全くなかった。エンジンは少々個性に乏しいにせよ、どの回転域でもスムーズでパワフルだ。これまでホンダのエンジンといえば、ピーキーな傾向にあるのが常だった。馬を1頭残らず解放するには、馬たちの首を絞める必要があった。このエンジンは他社の2.0リッター・ターボとそれほど変わらない。しかし、ホンダはこれにほぼ完璧なギアボックスを組み合わせたので、他より一歩抜きん出ている。


乗り心地は硬いが、不快ではない。タイヤの側面部がもう少し狭ければ、タイヤはホイールにペイントされただけのように見えるだろう。シートはサポート性に優れ、私は赤い表皮とシートベルトが気に入った。特に「エーゲアン・ブルー(エーゲ海の青)」と呼ばれるボディ・カラーとのコントラストが良い。幅広のフェンダーやコミカルなほど巨大なリアウイングなど、確かにスタイリングは度を超えている。しかし、それも日本的な魅力の1つだろう。保守的ですっきりしたスタイリングは、ヨーロッパ人に任せておけばよい。

このクルマは気に入ったが、魅了されたかというと考えてしまう。このクルマを購入する金額があるのなら、少し節約してフォルクスワーゲン「ゴルフ GTI」を買うだろう。あのクルマは完璧に近く、シビック TYPE Rよりもはるかに洗練されていると思う。確かにパワーでは劣るし、走りへの追求や切れ味の点でも及ばないが、全体のパッケージとして見ればGTIの方が優れている。しかし、このセグメントではどのクルマを選んでも間違いではない。どれが最適なクルマかというのは、購入する人によって異なるからだ。

「これは良い。本当に素晴らしい」

Joel Stocksdale共同編集者
Reeseと同様に、私もこの前輪駆動のモンスター・マシンに試乗できることを心待ちにしていた。だが、その理由は少々異なる。私は新型シビック Siにがっかりしなかった。確かにパワーはやや物足りないとはいえ、とても魅力的なクルマだと思った。だから、Siよりも最高出力が100hp以上、最大トルクも14kgm以上、そして価格は1万ドル(約112万円)以上も上回るTYPE Rが、予想どおり素晴らしいクルマなのか知りたかったのだ。その答えは、端的にいえば「その通り」ということになる。

もちろん、最高出力と最大トルクが大幅に勝るのだから、はるかに速いことは確かだ。しかし、TYPE Rのパワートレインが、速さに劣る兄弟より明らかに優れている点は他にもある。まずエンジン自体が、Siでは限界となる回転域でもTYPE Rは苦しげにならない。それからTYPE Rはスロットルを戻した際にエンジンの回転が素早く落ちるので、より速く、よりスムーズなシフトアップが可能だし、シフトダウン時にエンジンの回転数を合わせることも容易だ。もちろん、TYPE Rには自動レヴマッチ機構が搭載されているのだが、自分で回転を合わせたいと思っても簡単にできるということだ。トランスミッションも改良されているらしい。Siよりずっと滑らかにシフトできる。


また、TYPE Rは居住性に優れ、日常的なドライブにも使えることに感心させられた。トルクステアは、ほとんど無いに等しい。どんなに急激にアクセルを踏み込んでも、ステアリングはまったく動じず、落ち着いている。シートはサポートが大きく張り出しているにも関わらず快適だ。サイドサポート部は非常に柔らかい素材が使われており、座面と背面は小さめなのだが、窮屈な感じや締め付けられる感じはしない。ただし、乗り降りするときはちょっと不便だ。

乗り心地は本当に良い。特にコンフォート・モードでは思った通り、快適だ。ペイントしただけのような薄いタイヤを装着しているにも拘わらず、路面の隆起部を通過する際に、跳ねたり、激しく揺れたりすることがない。足回りは硬い方だが、苦痛ではない。ハンドリングはカミソリのようにシャープだ。クイックで精密なステアリングラックとサスペンションのお陰で、フラットな姿勢を保ったままコーナーを抜けていく。

TYPE RはSiを大幅に改良したクルマと言えるだろう。現在販売されている一番ホットなハッチバックが欲しいという人なら、一見の価値がある。しかし、ハッチバックにここまで優れた性能は要らないという点では筆者もReeseと同意見だ。ゴルフGTIにせよ、シビックSiにせよ、フォードのSTモデルにせよ、今の時代は優れたパフォーマンスを格安で手に入れることができる。贅沢な話ではあるまいか。


ホンダ シビック TYPE R 米国仕様(カッコ内は日本仕様)
エンジン:2.0リッター直列4気筒ターボ
最高出力:306hp(320ps)
最大トルク:40.8kgm
最高速度:約273km/h(-)
駆動方式:前輪駆動
エンジン搭載位置:前
車両重量:約1,414kg(1,390kg)
燃費:市街地9.3km/L、高速道路11.9km/L(JC08モード燃費12.8km/L)
価格:3万4,775ドル≒約390万円(450万360円)


By AUTOBLOG STAFF
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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