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曙ブレーキ工業は東京モーターショー2017に、自動運転車への対応と、環境への配慮のため、MR流体(Magneto Rheological Fluid)を用いて独自の技術で新開発した、摩擦ブレーキとは大きく異なる構造のMR流体ブレーキのプロトタイプを出展した。

MR流体とは、磁気に反応して特性が液体から半固体へと変化する流体のことで、1960年代から研究されてきた機能性材料だ。

磁場を加えると、液体中に分散された粒径数ミクロンの強磁性体粒子(鉄粉)が磁界方向に整列して鎖状粒子クラスターを形成し、半固体化するとのこと。

MR流体ブレーキは、車両に固定された円盤と、ハブベアリングと一緒に回転する円盤が交互に配置されている間にMR流体が充填される構造で、ブレーキ内部に配置された電磁石のコイルに電流を流し、円盤と垂直の方向に磁界を発生させることで固定円盤と回転円盤の間に鎖状粒子クラスターができる。

回転円盤は回転し続けているため、鎖状粒子クラスターがせん断変形を受け崩壊され、隣のクラスターとつながり、また崩壊されるという現象がくり返され、回転円盤に抵抗力が発生。この抵抗力がブレーキ力となるのだ。


会場では、このような足で漕げる装置が設置されており、実際にそのブレーキ性能を体験することが出来るようになっていた。


自転車のようにペダルを漕ぎ始めると、ブレーキが徐々にかかり始め、解除されたり、ABSの作動のように細かな制御でのブレーキ動作かけたりするモードとなっており、パッドやディスクがないMR流体ブレーキの作動を実体験することできた。 MR流体ブレーキは、ブレーキパッドがなく摩耗しないため摩耗粉が発生せず、環境負荷軽減への貢献につながるとのこと。また、MR流体が磁場に数ms(ミリセカンドは1,000分の1秒)という速さで反応するため、俊敏かつ安定した制御が可能となる。さらに、電子制御装置で電圧(起磁力)を直接コントロールするため、あらかじめ設定された効きのパターンの中から、ユーザーが自分の好みのブレーキフィーリングを選べるようになるとのことだ。


同社は約2年前から、超小型モビリティを対象に研究開発し、2015年3月に試作品を完成している。トヨタ「コムス」での実証実験なども行われており、スマートシティやスマートモビリティに適合したスマートブレーキとして、2020年の実用化を目指し、試験(実走・台上)と改良を重ねているとのことだ。

パッド不要で、熱も出ず、ブレーキの作動も油圧制御より細かくできるという良いことずくめだが、説明員によると、今のブレーキがすぐにこれに置き換わることはなく、共存していくような形になりそうとのこと。また、現状はコムスのような軽量なモデルには対応しているが、重量のある大型のモデルには対応できていないとのことだ。

課題はあるが、これまで以上に細かい制御ができるブレーキシステムは、よりシビアなコンディションの路上でのブレーキングをより確実にしてくれるはず。量産モデルに展開されることを期待したい。

曙ブレーキ 公式サイト
http://www.akebono-brake.com/