【試乗記】「メルセデスAMG GT C」これがシリーズ中ベストなモデルと考えられる理由 
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2014年に発表されて以来、「メルセデスAMG GT」は着実にバリエーションを増やしてきた。最初に最高出力510pの「GT S」が公開されてから、ベース・モデルとなる460psの「GT」が用意され、それから2016年に585psにまで引き上げられた「GT R」が登場。さらにオープントップの「GT ロードスター」と557psの「GT C ロードスター」が加わり、今年1月には「GT C」のクーペも設定された。スペックを見ると数値上に明らかな違いがあるのだが、外観を見ただけではそれほど差がないように思うかもしれない。これらの間に、はっきりと認められる違いは本当にあるのだろうか? この質問に、ドイツで実際に乗り比べてきた米国版Autoblogの記者は、胸を張って「イエス」とお答えできる。そしてGT Cこそが、きっと貴方の求めている仕様だと言うことができる。



メルセデスAMG GT Cは、サーキットが似合うGT Rと、控え目なGTやGT Sとの中間に位置するモデルだ。これは外観を比べて見ただけでも分かる。フロント・ノーズはエントリー・モデルと共通だが、リアはGT Rと同様にワイドに拡がっている。リア・バンパーはGT C独自のもので、GT Rのように両サイドにエアベントが開けられているが、ディフューザーやセンター・エキゾーストは与えられていない。



GTとGT Rをブレンドしたような外観は、ドライビングの特性をも表している。ボンネットの下に搭載されているエンジンは、GTシリーズではお馴染みの4.0リッターV8ツインターボだが、GT CにはGT Rの大型ターボチャージャーが採用されており、最高出力557psと最大トルク680Nm(69.3kgm)を発揮する。このパワーはGTを97ps、GT Sを47ps上回る。0-60mph加速の差はGTとGT Cでは0.2秒しかないが、実際に乗れば長所も短所もはっきりと体感できる。発進時の力強さはGT Cの方がGTより明らかに上だが、ターボが大きいため、スロットルを踏み込むと明らかなラグがあるのも分かった。しかし、その一瞬はさらなるパワーですぐに埋めることができる。



GT Cのエンジンは、標準装備のAMGパフォーマンス・エキゾースト・システムを通して呼吸しており、これは下位スペックのGTではオプションとなっている装備だ。GT Cに飛びつかないにしても、このエキゾーストは必須と考えるべきである。率直に言うと、このAMG製4.0リッターV8には、ジャガー「Fタイプ SVR」のスーパーチャージドV8や、フォード「シェルビー GT350」のフラットプレーン・クランクシャフトを採用したV8のような、ある種のカリスマ性が欠けている。確かに有能だが個性が足りない。V8エンジンが搭載されていることは分かっていても、その存在感が希薄なのだ。しかし、AMGパフォーマンス・エキゾースト・システムがそれを補う大きな役割を果たし、エンジン音を増幅させて轟音を響かせる。完璧とはいえないが改善はされるはずだ。



ハンドリングに関していえば、GT Cにはもう1つ、標準モデルではオプションとなる有益な機能が標準で装備されている。GT Rと同じ後輪操舵機構だ。GT Cはパスする方も、これは是非選択した方がよい。サーキットで効果があることは間違いないが、単に公道を走るだけでもその価値はある。メルセデスAMG GTはとても幅広く長いクルマだから、ドイツの田舎の狭い並木道ではその大きさがさらに顕著に感じられてしまう。また、標準の2輪操舵のGTでは、後輪の軌跡が前輪と少しずれるように感じるだろう。だが、後輪操舵機構を装備すれば、クルマの全長が数インチ短くなったように感じられ、特に狭い道を曲がるときにそれは明確だ。センターラインをはみ出したり、内側の縁石に乗り上げてしまう心配をすることなく、運転を楽しむことに集中できるのだ。

パワーとトルクの強化や後輪操舵機構という特徴に加え、GT Cにはあまり目立たないけれど好ましい性能の向上も、数多く見受けられる。GT Rと同様に電子制御式リミテッド・スリップ・ディファレンシャルを標準装備し、フロント・ブレーキのディスクもGT Rと同じように大型化されている。しかし、GT Rが軽量化のために採用した多くのカーボン製パーツ、高い空力性能をもたらすアクティブ・エアロダイナミクス・システム、9段階で選択可能なトラクション・コントロールは備えていない。



以上の様な特徴を除けば、GT Cとその兄弟車との違いは些細なものだ。乗り味もハンドリングも基本的に似ており(後輪操舵機能は別として)、優れているが興奮するほどではない。ステアリングは非常に正確で重さも適度だが、意外にも路面状態が伝わってこない。従って、タイヤと路面のグリップ状況を判断することが難しい。また、このクルマは田舎道を駆け抜けるのに長けているが、車体が大きいので2倍の速さで走っているような気分になる。実際には中くらいの速度で、田舎道をクルージングしている時に最高の気分が味わえる。車名の通り、正にグランドツアラーと言えるだろう。だが、全モデルに共通している固めのサスペンションは、純粋なグランドツアラーと呼ぶには不似合いだ。



車内には、メルセデスに期待する高級感を、ほとんど全てのGTでも見ることができる。樹脂製パーツの質感や組み立て精度は高く、どこもかしこもきちんと仕上げられている。低いダッシュボードと高いセンターコンソールによって、乗員は低く座っている感じとクルマに包まれているような感じが得られる。視界はまあまあだ。巨大なボンネットが前方視界の多くを占め、しかもウインドスクリーンの上部が低いので見辛い。しかし、幸いにも足元や座面、頭上の空間には余裕があり、閉所恐怖症の人も耐えられそうだ。もう1つ、GT Rが他のGTと大きく違うのはシートだ。GT Rには薄くてタイトなレーシング・バケットが装備されている。これはサーキットでは素晴らしい効果を発揮するだろうが、日常的なドライブでは早々に身体が痛くなるだろう。



以上の様に、AMG GTの各モデルに見られる違いは、確かに多い。しかし、そのほとんどが大した違いではないとも言える。これらの違いを考慮すると、GT Cが最も魅力的なパッケージであることはすぐに分かる。動力性能や運転の楽しさは、サーキット走行向けのGT Rを除けばベストであり、しかも快適なインテリアは、サーキットでも公道でも不満を感じないだろう。その上、見た目はGT Rと同じくらいアグレッシブだ。GT Cは全てを兼ね備えたメルセデスAMG GTである。

スペック
エンジン:V型8気筒ツインターボ
排気量:3,982cc
最高出力:557ps
最大トルク:680Nm
トランスミッション:7速DCT
0-100km/h加速:3.7秒
最高速度:317km/h
エンジン搭載位置:前
駆動輪:後輪
乗車定員:2名
日本販売価格:未定


By JOEL STOCKSDALE
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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