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10万円で購入した12年落ちの初代シトロエンC5を愛用している筆者が、最新のクリーンディーゼルを搭載したグランドC4ピカソ SHINE BlueHDiに試乗する連載企画も今回で最終回。ハイドロ車のオーナーはバネサスとなった現行シトロエンのミニバンをどのように評価したのだろうか? 


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【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第1回「10万円で購入したC5は絶好調!」

【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第2回「比較のため、一番高くて大きな現行モデルを借り出すことに」

【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第3回「欧州の最新ディーゼルってどうなってるの?」

【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第4回「エクステリア&インテリアをチェック!」

【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第5回「3列シートの居住性や使い勝手は?」

【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第6回「バネサス&ディーゼルの走りをチェック!」


変わったものと
変わらなかったもの


結論から言うと、グランド C4 ピカソ SHINE BlueHDiは、ハイドロ派のシトロエンファンが乗っても充分に満足できる素晴らしいクルマであった。

たしかに、最近のシトロエンはかつてに比べて唯我独尊ぶりが薄れている。60年代以前のシトロエンは、ハイドロニューマチック・サスペンションに代表される技術的な優位性をもって他社をリードしていた。それが70年代に極端な技術偏重な社風が原因で経営が傾いたことでプジョーとの合併を余儀なくされ、合併以後は一般ウケを狙って内外装の自己主張を抑えるいっぽうで、コストダウンを図りつつもオリジナリティ溢れるメカニズムを採用したクルマ作りへとシフトした。そして、他社に対する技術的なアドバンテージを失った現在では、個性的なルックスとユニークな機能を持つ普遍的なメカニズムを採用したクルマを作るメーカーへと生まれ変わった。

こうした変化は昔のシトロエンを知るファンには少し寂しいことではある。だが、時代が変われども実用車としての高い機能性や乗員の快適性を第一に考えられた優しい乗り味、そして他社にはない個性を大事にする姿勢に変わりはない。そのことはグランド C4 ピカソ を試乗してわかった。

筆者は今乗っている初代C5を気に入っているし、やはりハイドロ・シトロエンの蕩けるような乗り心地を捨てる気にはならず、そもそも絶望的にカネがないので、わざわざ借金をしてまでグランド C4 ピカソに買い替えようとは思わない。だが、友人・知人に「グランド C4 ピカソを買いたい」という人がいたら積極的に肩を押したいとは思う。


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グランドC4ピカソは
マルチパーパスカーとして遥かにまとも


国産ミニバンの多くがマーケットに迎合して多彩なシートアレンジだの、ショールームやカタログで見栄えのする装備だのにコストが注がれるいっぽうで、クルマの基本的となる走りの資質や快適にキチンと座れるシート、シートベルトが正しく掛けられる安全性などが半ば無視されている。そうしたクルマと比べれば、グランド C4 ピカソは多人数の移動に適したマルチパーパスカーとして遥かにまっとうに作られている。

だが、こうした国産ミニバンの問題はメーカーよりもユーザーの側に責任がある。ただでさえ重心が高く、車重も重く、ドアやハッチゲートなどの開口部が大きく剛性が採りにくいクルマにも関わらず、シートアレンジを充実させろ、装備を充実させろ、4WDやハイブリッドの設定も作れ、燃費を良くしろ、おまけに安く売れと、無分別にも様々な要求を突きつける。

コストの制約が厳しい中でこうした背反する要素を成立させるためには、どうしてもある程度の見切りは必要となる。見切られるのは得てしてクルマに関する感性が鈍い一般ユーザーが気付きにくい部分‥‥例えば、走りや乗り心地といった部分となる。その結果、値段はそこそこに安く、見てくれだけは立派だが、実際に走らせて見るとクルマとしてはまったくロクでもない国産ミニバンのイッチョあがりとなるのだ。もう少しユーザーに良いクルマを見抜く目があれば、あのような出来損ないの乗り物がここまで幅を利かせることはなかったように思うのだが‥‥クルマ好きとしては何とも悲しいことである。

こうした現状を鑑みれば、クルマに対してある程度の洞察力を持ち、良識と見識を兼ね備えたユーザーが、多人数乗車が可能なマルチパーパスカーを選ぼうとする際にグランド C4 ピカソは俄然輝きを見せる。たしかに国産ミニバンに対して使い勝手の面で劣る部分があることは隠しようのない事実であるが、クルマとしての基本的な資質は遥かに高く、国産ミニバンに飽き足らない人にとってはなかなか良い選択肢だと思う。

 



一般のドライバーでも
乗れば良さはわかる


最後にごく普通の一般ユーザーにグランド C4 ピカソ SHINE BlueHDiを運転してもらったので生の声を紹介する。

登場頂くのは年下の友人である"マッチョ"ことYASUくん。「身体を鍛えることが趣味」という彼はあだ名の通り、鍛え抜かれた肉体を持つナイスガイである。「運転は好きだけど、クルマのことはよくわからない」という彼は、1年半前に運転免許を取得したばかりで、現在に至るまで愛車を所有したことはない(ちなみに欲しいクルマはアルファードなのだとか)。もっぱらハンドルを握るのは仕事で使う会社の営業車だという。以前、彼の運転するクルマの助手席に座ったことがあるのだが、ドライビングスキルはごく平均的なレベルなのだが、安全運転を心がけており、ルールやマナーを良く守って慎重かつ丁寧な運転操作を行っていた。今回は撮影場所に2台のクルマを移動しなければならず、人柄の良さと慎重な運転姿勢を買って彼に手伝いを頼んだのだ。

撮影終了後、あらためてグランド C4 ピカソに試乗してもらい感想を求めたところ「運転しやすくて気に入った!」との答えが返ってきた。どこが良かったのか尋ねると、「直進でもカーブでもクルマが安定していて運転がすごくラクだった。出足も良くてアクセルを踏むとスーと加速してくれる。ディーゼル車は初めて乗ったけど想像よりもずっと静かだし、運転していて違和感を覚えなかった。シートは初代C5のほうがサイズも大きいし、ソフトで座り心地が良かったけれど、グランド C4 ピカソも乗り心地は負けていない。初代C5よりも着座位置が高くて視界が良く、窓も大きいので周りがよく見えるから運転していて疲れなかった。これいくら? 380万円か...ちょっと高いね。あと100万円安かったらぜひ買いたいんだけどなぁ...」とのこと。

やはり良いクルマは誰が運転しても良いクルマだと言うことなのだろう。興味がある人は、1度シトロエン販売店に出向いてグランド C4 ピカソに試乗されることをオススメする。


シトロエン・ジャポン 公式サイト
http://www.citroen.jp/


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・【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第1回「10万円で購入したC5は絶好調!」
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