Related Gallery:Citroën GRAND C4 PICASSO SHINE BlueHDi

10万円で購入した12年落ちの初代シトロエン C5を愛用する筆者が、最新のクリーンディーゼルを搭載したグランド C4 ピカソ SHINE BlueHDiに試乗する連載企画。第6回はいよいよハイドロ車オーナーによるバネサス現行シトロエンの走りに関するリポートをお届けします!

前回までの記事はこちら

【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第1回「10万円で購入したC5は絶好調!」

【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第2回「比較のため、一番高くて大きな現行モデルを借り出すことに」

【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第3回「欧州の最新ディーゼルってどうなってるの?」

【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第4回「エクステリア&インテリアをチェック!」

【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第5回「3列シートの居住性や使い勝手は?」


凡百のミニバンとは一線を画す
グランドC4ピカソの走り


ミニバンはクルマ好きから蛇蝎のごとく嫌われている車種でもある。それと言うのも国産ミニバンのほとんどが、ボディ剛性感はペナペナでフロアからの振動がブルブルとシートへと伝わり、重いボディを引っ張るにはエンジンがパワー不足で、リアサスは道路の凹凸を拾うたびに車内に不快なショックを伝えるという、クルマとしても、移動の道具としてもまったく魅力がないシロモノばかりだからである。およそドライビングの楽しみであるとか、快適性であるとか、所有する喜びなどという価値観とは10万光年くらいは開きがある。こんな「走る白物家電」にクルマ好きは愛情を傾けられないのは当然のことだろう。

だが、グランド C4 ピカソを走らせてみたところ、「走る」「曲がる」「止まる」というクルマとしての基本性能がしっかりしており、その辺の凡百のミニバンとは一線を画したクルマであることがすぐにわかった。

まず、このクルマはボディがしっかりしている。フランス車というとボディが柔いイメージをお持ちの方がいらっしゃるかもしれないが、最近のシトロエンプジョーは剛性感が大きく向上し、内装のガタツキや軋みもほとんど出ることはない。だが、剛性感が高いと言ってもドイツ車的なガチガチな感じではなく、ショックを優しく受け止めて上手にいなして行くような印象がある。

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアはトーションビームと国産ミニバンにもよく見られるサスペンションと同じ形式だ。ところが、実際に走らせて見ると「これが本当にトーションビームか?」と疑ってしまうほど、上質かつしなやかな足さばきを見せる。コーナーリングではやや高めのスピードで進入してもリアを軸に安定したままスムーズにパスして行くし、石畳のようなゴツゴツした路面でも不要なショックを車内に伝えず、快適な乗り心地を実現する。また、高速道路では抜群の直進安定性を見せる。「魔法の絨毯」と評されたハイドロ・サスの乗り心地ほどではないが、路面のうねりを超えるとサスペンションのストロークで巧みにショックを吸収し、腰があるが柔らかい乗り心地で快適な高速クルージングを実現している。

鋪装が荒れた路面でのひとり乗車時には、わずかにリアサスの突き上げを感じるシチュエーションもあったが、これは人や荷物を乗せたときでも車体姿勢や操縦性に影響を与えないように最大公約数的なサスチューンが施されたためで、7人乗車時にはこうしたサスの動きは消えていた。バネサスの限界というか、どんなに最適なサスセッティングが施されようとも、乗り心地という点では理想的なハイドロ・サスにはどうしても敵わないのかもしれない。

しかし、総じて言えばグランド C4 ピカソの足回りは簡素な作りながらも、熟練のワザでよく躾けられていると言える。試乗中、誰が聞くともなしに「これくらいのサスペンションがどうして国産ミニバンには与えられないのか...」と漏らしてしまった。以前、国産メーカーの開発担当者にリアサス起因のミニバンの不快な乗り心地を何とか改善できないものかと尋ねたことがあるのだが、彼は「こちらも問題は理解しているのだが、コストの縛りが厳しくて高度なサスペンションは採用できず、対応が難しい」と語るに留まった。だが、簡素なトーションビームのリアサスでも素晴らしいアシを作れることはシトロエンが証明している。これを国産メーカーはどのように考えるのだろうか?

Thomas Brémond @ Dream On Productions
Related Gallery:Citroën Grand C4 Picasso


新時代のディーゼルらしい
軽やかな走りと燃費の良さ


グランド C4 ピカソに搭載されるBlueHDiは、37.7kgmのトルクを2,000回転で発生することもあって、なかなかトルクフルで使いやすいエンジンだ。静粛性は最近のクリーンディーゼルの標準をやや上回っている。アイドリング時も静かで、フル乗車でのテストに協力してもらった友人・知人は「本当にこのクルマはディーゼルなの?」と驚いていた。ただし、筆者が以前に試乗した同型の1.6Lを搭載するプジョー 308 Allure BlueHDiに比べると、排気量が大きくなったせいなのか、若干ノイズが大きくなり、エンジンを回した時のザラつきが増しているような印象を受けた。

組み合わされるトランスミッションはアイシンAWとシトロエンが共同開発した6速ATだ。当たり前のことかもしれないが、この変速機は筆者が愛用する初代C5のAL4型4速ATに比べると変速はスムーズで、信頼性も大きく増している。しかしながら、エンジンブレーキを比較的しっかり効かせるところなど、日本製になってもどことなく味つけがAL4に似ているところが面白い。おそらく、これがフランス人好みのセッティングなのだろう。高速道路の追い越し加速などでアクセルを踏み込んでキックダウンを効かせると、ギアはいっきに3速まで落ちる。回転数でパワーを稼げないディーゼルエンジンのピークパワーを活用するためのシフトスケジュールだと思われるが、1,660kgという車重もあって車体を鋭く加速させるほどではない。ただし、それが不満に感じるほどではなく、ファミリーカーとしては必要にして充分な動力性能と言える。

今回の試乗で筆者は5日間で450km(高速道路6割・一般道3割・峠道1割)走破した。その際に消費した軽油は34.33Lで、満タン法による燃費は13.1kmだった。給油したスタンドの軽油価格は1L・97円(ちなみにハイオクは1L・132円)だったので燃料費は3,330円で済んだ。感覚的にはハイオクを使用するガソリンモデルの6〜7割ほどの金額で同じ距離を走れたことになる。グランド C4 ピカソの場合、ガソリンモデルとの価格差は25万円なので6万5,000kmも走れば価格差を吸収できることになる。


明日掲載予定の次回はついに最終回! 激安中古C5オーナーがグランド C4 ピカソを総括。一般ドライバーにも試乗してもらって感想を聞きます。

シトロエン・ジャポン 公式サイト
http://www.citroen.jp/


■バックナンバー
・【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第1回「10万円で購入したC5は絶好調!」
・【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第2回「比較のため、一番高くて大きな現行モデルを借り出すことに」
・【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第3回「欧州の最新ディーゼルってどうなってるの?」
・【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第4回「エクステリア&インテリアをチェック!」
・【試乗記】中古シトロエン C5のオーナーが最新のグランド C4 ピカソに試乗 第5回「3列シートの居住性や使い勝手は?」