欧州連合、新たに「実路走行」排出ガス認証試験の実施を開始
欧州連合(EU)により、新たな路上排出ガス試験が9月1日から実施されている。フォルクスワーゲン(VW)で発覚したディーゼル車排出ガス不正問題の再発を防ぐことが狙いだ。

ドイツの同自動車メーカーが2015年9月、米国の排出ガス規制試験を欺くために不正なソフトウェアを搭載していたと認めたことで、EUが実施してきた規制試験の甘さが浮き彫りとなり、改革の必要性が高まっていた。欧州委員会の調査では、試験が不十分だったために、制限値の15倍もの量の有害な窒素酸化物(NOx)が路上で排出されていたという。

"Real Driving Emissions(RDE)"、「実路走行排気」と呼ばれる新たな試験は、日常的な現実の走行環境を反映し、路上と試験場内での試験結果の差を縮めるために考案されたものだ。

今までは試験場内における試験のみがクルマの排出ガスを測定する基準として用いられており、各自動車メーカーは実際に路上を走行する場合よりも良い結果を出そうと、ドア周りの隙間にテープを貼って空気抵抗を抑えるなど様々な戦略を駆使してきた。

『Reuters』が業界紙から得た情報によると、自動車メーカーは燃費に関するクレームを削減するために、新規制の導入を3か月先延ばしにするよう働きかけていたようだ。

しかし、BMWグループ、VWグループ、フィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)が加盟する欧州自動車工業会(ACEA)は8月31日に声明を発表し、より厳しい規制が「クルマの燃費や排出ガス量を測るための、より正確な基準となる」と述べている。

また、同じ日に欧州委員会の域内市場・産業・起業・中小企業を担当するエルズビエタ・ビエンコウスカ委員も声明を発表し、「当分の間、ディーゼル車は我々の生活の一部であり続けると考えられますので、ディーゼル技術への信頼を取り戻さなければなりません。そのために新しく、より信頼できる試験を実施することが不可欠なのです」と語った。

排出ガス量を抑えるために不正なソフトウェアを搭載したことが発覚した自動車メーカーは今のところVWのみだが、英国やドイツの規制当局によると、メーカーはエンジンを守るためという名目で、排出ガスを低く制御する幅広い手段を使ってきたという。

また、欧州委員会は新型車を各国の幅広い審査機関がどのように認証するかについても徹底的に見直しており、業界を規制するために自動車メーカーに罰金を科すことも検討しているようだ。

新規制は2017年9月の時点では、新たにEU各国の規制当局から型式認証を受ける全ての新型車に適用され、その後は2018年と2019年9月を基準に、販売される全ての新車に段階的に対象が広げられる予定だ。

※この記事は『Reuters』に掲載されたAlissa de Carbonnel記者の記事を転載したもの。

By REUTERS
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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