中国の最大の私有自動車メーカー、長城汽車がジープの買収に意欲
中国の自動車メーカーは米国市場へ参入するための足掛かりとして、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)に接近しているようだ。FCAがゼネラルモーターズ(GM)やフォルクスワーゲン(VW)と合併する可能性が消えたため、これまで中国の複数のメーカーがFCAに言い寄っているという話を耳にしてきた。ある中国の自動車メーカーは、FCAにオファーしたものの、提示額が低いと断られている。そして今度は、中国最大の私有自動車会社である長城汽車が買収に興味を示しており、特にジープ・ブランドを手に入れたいと思っていると、自動車業界メディア『Automotive News』が伝えている。

長城汽車の社長、Wang Fengying氏はAutomotive Newsの取材に対し、同社は交渉を始めるために「FCAと連絡を取っている」とEメールで答えている。一方のFCAは、長城汽車からアプローチは受けていないと語っている。だが、もし長城汽車のオファーが受け入れられたら、FCAで最も価値のあるブランドが切り離されることになるだろう。

FCAがジープだけの売却を検討することは考えられなくもない。FCAのセルジオ・マルキオンネCEOは以前、ジープとラムの分社化を検討すると語っていたからだ。同氏はマセラティアルファ ロメオを分割させることも考えている。モルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ジョナス氏は、ジープ込みのFCA全体より、ジープ単体の方が価値は高いだろうと語っている。これはFCAフランチャイズのディーラーを所有する潜在的バイヤーや、ジープが会社全体を売却するために魅力的な要素と捉えるFCAにとっては複雑な事態だ。

FCAの年間売上高が1,310億ドル(約14兆3,200億円)であるのに対し、長城汽車は147億ドル(約1兆6,000億円)。それでもジープを買収するための資金を調達できると自信をのぞかせている。しかし、もしジープが分離して売却されることになれば、入札の嵐になるだろうとAutomotive Newsは指摘する。

長城汽車の広報担当であるXu Hui氏は、同社はジープに高い関心を持っており、長年その動向を把握してきたと語り、同社が「世界最大のSUVメーカー」になるという目標を達成させるには、ジープが重要な鍵であると語っている。同社はすでにデトロイトとロサンゼルスに研究・開発施設を所有している。さらにメキシコではなく米国での工場建設を検討している。ジープを買収できるかどうかに関わらず、長城汽車は米国市場でSUVを販売することに意欲的だ。そして米国に工場を持つということは、トランプ大統領のNAFTA再交渉を心配する必要がないということである。

ジープは現在市場で存在感を増しており、2019年までに「ワゴニア」や「ブランドワゴニア」などの新型車の発売が予定されている。


By JOHN BELTZ SNYDER
翻訳:日本映像翻訳アカデミー