フォルクスワーゲンのドゥカティ売却計画に、監査役会が反対
フォルクスワーゲン(VW)は、傘下に収めるオートバイ・ブランドのドゥカティと、トランスミッション・メーカーのレンクを売却しようと計画したが、現在のところ監査役会で過半数の賛成を得られていないという。グループの好調な実績から資産の売却に反対してる勢力がいるからだ。

この欧州最大手の自動車メーカーは、銀行にドゥカティとレンクの両部門を売却することを含むオプションを評価するよう依頼した。これは、同社がディーゼル排出ガス不正事件後の戦略的見直しに向け、事業を合理化して資金調達するためである。VWは新しいグループ戦略、いわゆる「TOGETHER – Strategy 2025」の一環として、2016年6月に電気自動車と新モビリティサービスへ数十億ユーロを投資すると発表して以来、資産とブランドを見直している。

ある情報筋は先月末、ドゥカティを買収するため、イタリアのベネトン家を含む5組の入札者が、13億〜15億ユーロ(約1,690億円~1,950億円)で同ブランドを評価し、最終候補リストに残ったと報道した。しかし、資産売却を決める20人の監査役会で議席の半分を占めるVWの労働組合幹部たちは、説得力のある経済的理由なしにドゥカティとレンクを売却することに抵抗しているようだ。

VWグループの労働協議会の広報担当者は先週土曜日の午後、「VWの監査役会の従業員代表は、ドゥカティやレンク、MAN Diesel & Turboの売却を、いずれも承認しません」とロイターに語った。

「VWの半年間の業績を読み取ることができる人なら、誰でも分かるはずです。我が社が資金を必要としているわけではないこと、そして我々の子会社が、割安株狙いの投資家たちに簡単に手に入れられるような物ではないということを」

同社は先週木曜日、VWグループの2017年1月〜6月の営業利益が、19%アップの89億ユーロ(約1兆1,540億円)であったと発表している。これはコスト削減とVWブランドの研究開発向上、そして排出ガス不正問題に関する罰金や車両修理、補償のための何十億ユーロもの経費から解放されたためだという。

VWのある情報源は、VWは投資家がより重要だと見なしているVWブランドの厳しい改善プランを実行する上で、雇用を危険にさらしたくないとする組合の強い反対があったため、ドゥカティを売却する計画を見直していると語った。ドゥカティはVWグループの高級ブランド、アウディが所有しており、売却するにはVWの監査役会の承認が必要だ。アウディはコメントを控えている。

別の2人のVWグループ関係者によると、VWの議決権株式の52%を所有し、監査役会の4議席を占める、億万長者のポルシェ家とピエヒ家は、ドゥカティとレンクの売却を支持していないとのこと。ポルシェ一族の持ち株会社であるポルシェ オートモービルホールディングSE(ポルシェSE)もコメントはしていない。

VWが本社を置き、10万人以上の従業員が働く6棟の工場があるニーダーザクセン州には、工場閉鎖などの決定に対する拒否権が与えられている。監査役会の2議席を持つ同州は、雇用と事業を保護するために、VWの労働者側の代表者と協力してきた。州政府がドゥカティや他の資産の売却を後押しするのか、という質問に対しては、同州の広報担当者はコメントを控えている。

「VWの役員会は、同社の監査役会にドゥカティの売却について承認を求めたことさえありません」と、労使協議会の広報担当者は言う。「したがって、この件に関心がありそうな方々に申し上げます。調べる必要はありません。買収はないでしょう」。

一方、最終的にドゥカティの売却先の候補に選ばれた5社が、今夏以降に売却交渉をすることになるだろう、と最初に紹介した情報筋は言う。

アウディの役職員の大多数は3週間の夏季休暇を取っており、経営者側が売却計画を推し進めるかどうかの決定は9月か10月以降になるだろうと、アウディに近い情報筋は言う。アウディはノーコメントだ。7月27日の決算発表を行ったVWのフランク・ウィッターCFOは、VWの資産売却計画を巡る"憶測"について、いかなるコメントもしていない。

注:この記事は、『Reuters』Andreas Cremer記者の記事にJames Dalgleish記者とSusan Fenton記者が編集を加えたもの。

By Reuters
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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