【短評】フィアット「124 スパイダー アバルト」に、米国版Autoblog編集部員たちが試乗
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米国版Autoblogの編集部は、真新しいフィアットの「124 スパイダー アバルト」(日本名:アバルト 124スパイダー)と共に1週間を過ごした。グリジオ・アルジェントと呼ばれるグレー・メタリックに塗られたこのコンバーチブルは、俗に「フィアータ」と呼ばれている。ご存じのように、マツダのND型「ミアータ(日本名:ロードスター)」と車体の大部分を共有しているからだ。実際に両車は日本の広島にあるマツダの工場で、隣り合わせに製造されている。ミアータはずっと前から我々スタッフのお気に入りのクルマだ。だから、これにフィアットがどんな味付けをしたのか、非常に興味があった。

両車のプラットフォームは共通だが、スタイリングやサスペンションのチューニングが異なる。だが、最も大きな違いはボンネットの下にある。フィアットはマツダの1.5リッターまたは2.0リッターの自然吸気エンジンに替えて、1.4リッターのターボチャージャー付きエンジンを搭載したのだ。アバルト仕様では最高出力170psと最大トルク25.5kgmを発生する。ミアータより少しだけパワフルだが、車両重量もやや重い。



Reese Counts 共同編集者
このクルマにどんな感想を抱くのか自分でもわからなかった。ベースとなっている現行型のマツダ MX-5 ミアータは、ドライビング・ダイナミクスにおいてほとんど欠点がない。すでに秀逸なクルマに手を加えることで、フィアットはそれを台無しにしてしまうのではないかと懸念したのだ。しかし、そんな私の心配はすぐに消え去った。私自身がミアータではなくこちらを買うかどうかは分からないが、パフォーマンスをそれほど重視しない友人には十分に薦められる。

サスペンションはミアータより軟らかいが、ロールは小さい。マツダのロールが大きいことについては、うちの編集長が不満を漏らしていることの1つだ。トランスミッションはミアータに搭載されている新しいものほど滑らかではないが、これが組み合わされているターボエンジンには多くの特徴がある。ターボラグが最小限なので発進時から十分に大きなトルクを発揮する。数字の上ではそれほど速くはないが、街中を走るとだいぶ速く感じる。渓谷やサーキットでは、個人的にはやはりミアータの方が好ましい。

124スパイダーが2015年に発表されて以来、そのルックスについては段々好きになっていった。正直、最初は全然好きではなかった。それはミアータのデザインに惚れ込んでいたからだろう。同名のクラシックなモデルを彷彿させる124スパイダーも、それだけを見れば実際にはなかなかカッコ良い。しかし、私にとって最もポイントが高い点は、ミアータのひどすぎるシートをアバルトが新しいパッドとカバーで整えたことである。

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Eddie Sabatini シニア・プロデューサー
今週の2日間、アバルト 124スパイダーを持ち帰って試乗する機会を得た。非常に楽しい2日間だった。ただ、ミアータの方が好きかと訊かれたら、イエスと答えるだろう。自分のお金を投じるならば、MX-5 ミアータの方が運動性能は優れているし、見た目も好ましいし、運転のフィーリングも良い。しかし、実際に124スパイダーを運転する前に想像していたほどの大差はなかった。FCAはこの小さくてスポーティなオープンカーを、実に楽しいクルマに仕立て上げている。

繰り返しになるが大事なことなのでもう一度言おう。124スパイダーは本当に運転するのが楽しいクルマだ。スタートしてギアシフトを上げたり下げたりしていると、自然と笑顔になる。毎日乗るクルマとして、路上に溢れる大量のクロスオーバーをぐんぐん追い抜いていけるパワーがあり、またそれらの脇をすり抜けていく際に発する音がまた良いのだ。

さて、このアバルト、日常的に乗ってみたが、駐車場で「いいクルマだね」という賛辞を受けることはなかった。ミアータに乗っていた時に色々と褒めてもらったのとは対照的だ。この点ではミアータに軍配が上がる。たまたまタイミングのせいだろうという指摘もあるだろうが、私としてはミアータのラインの方が美しいという事実によるものだと指摘したい。もちろん、これは私の冗談半分の意見だ。自分が気に入っているのであれば、他人に何と言われようが構わない。それに実際のところ、アバルトは、特にこのアピアランス・パッケージ付きは、見た目も良い。ブラックのミラーとホイールが、グリジオ・アルジェントという名前のシルバーグレーによく映える。

1つだけ難点を言えば、ステアリング・ホイールの中央にあるフィアットのバッジだろうか。これはアバルトなのだから、ここにはやはりサソリが居て欲しい。



Joel Stocksdale共同編集者
ミアータの大ファンであり、2代目モデルのオーナーである私は、そう簡単に124アバルトに魅了されることはないはずだ。だが、見事に魅了されてしまった。ターボ・エンジンのパフォーマンスは私の想像以上だった。過給によって増幅されたトルクは運転が楽しいし、ミアータの自然吸気エンジンよりも強くドライバーは身体がシートに押し付けられる。エンジンの回転数が上るのも落ちるのも思っていたよりずっと速く、シフトダウン時に回転を合わせることは簡単だ。それでも全域でわずかにターボラグが感じられ、3,000rpm以下に落ちると再び回転が上がるまで遅れがあるため、ミアータの嬉しくなるような反応の良さには及ばない。また、個人的にはアバルトの粗いエンジン音がマツダよりも耳障りに感じた。

その他の点では、ミアータの典型的な魅力をそのまま受け継いでおり、それはそれで素晴らしいと思う。躊躇なくコーナーに突っ込んでいけるし、シャシーも路面や車体の挙動に関する情報を良く伝えてくる。マツダ製の最新ではないが信頼できるインフォテインメント・システムや、素晴らしいシフトも搭載されている。もちろん、このトランスミッションはマツダの最新型ではなく、実はもっと旧式のものだ。フィアットとマツダでどちらのシフトが良いかというのは意見が分かれるところだ。個人的には124の方がシフトゲートの移動が少しだけスムーズだが、繊細さと正確さには欠けているように感じた。また興味深いのは、フィアットにはスポーツボタンが装備されており、これはMT車にもある。一番気になった違いはステアリングがやや重いことだが、私はこれが気に入った。ミアータの軽くて空気のようなステアリングもいいが、もう少し重くても疲れるわけではない。

結論を言えば、どちらを選んでも間違いはないということだ。選択のポイントはパワートレインとスタイルの好みになるだろう。私ならやっぱりミアータを選ぶが、フィアットを選ぶ人の気持ちも分かる。



Greg Rasa マネージング・エディター
Reeseが言っていた「パフォーマンスをそれほど重視しない友人」の1人は私のことだ。ルーフを開けて、夏の夕方にクルージングすると、このクルマは実に気持ち良くて楽しかった。私が最も気に入った点は、幌を開けた時の視界だ。膨らんだフェンダーやキャラクターライン、その全てがボンネットを実際より長く感じさせる。ステアリングの重さは信頼感につながる。スタイリグの要素は、フロント・グリルからリアに掛けて、全体的に往年の124スパイダーを匂わせる。ミアータよりも堂々としているように感じられる。

3速と4速ギアを使って田舎道を走らせていると、クラシックなジェントルマンのロードスターに乗っている自分を想像する。初期のメルセデス「SL」やジャガー「Eタイプ」などだ。視線をちょっと右に向けると、マツダのインフォテインメント・システムが目に入って現実に戻される。ゆっくりと流しながら、このイタリアン・スポーツカーの写真を撮影するのに相応しい、懐かしい前時代的な風景を探した。荒々しいエンジン音は最も優れている点の1つだ。4本のパイプから発する咆哮や唸りが、中庭を囲むブロック塀に反響する。信頼性が高いマツダ製エンジンよりこちらを選ぶか、といえばそれは難しい質問だ。しかし、暖かな夏の夕暮れ時、このクルマは確かに魅力的だった。

エディが褒められなかったというように、3万ドル程度で買えるこのクルマは、エキゾチックとは言えない。人目を引かなかった理由の1つには、地味なシルバーグレイの塗装もあるだろう。ブラックのアクセントは好ましいが、注目を浴びたいならもっと派手な色を選ぶべきだ。とはいえ、フィアットが用意したボディ・カラーは限られている。他に白と赤しかないのだ。



Greg Migliore チーフ・エディター
124スパイダーはフィアットにとって賢い手段だ。ブランドに現代的なスポーツカー、それも手頃な価格で、魅力的で、イメージアップにつながるモデルを加えることができた。これに乗って帰宅した私は、自宅前の道路脇に駐め、庭を駆け回る愛犬を見るように、その姿を眺めた。疑う余地なく、124スパイダーは美しい。フィアットは素晴らしいデザインをやってのけた。いくつかの点で、プラットフォームを共有するミアータとは明らかに差別化が図られている。アバルトがスパイスを効かせたスポーティなサスペンションは、運転を止めたくなくなるほど楽しめることが分かった。このクルマを借りている間には雨が多かったが、通勤の途中で幌を開ける機会に恵まれた。それはきっとあなたが想像するとおり、実に爽快な体験だった。自動車業界では124スパイダーに懐疑的な目を向ける人も多い。だが、このクルマは増えた車重以上に市場でブランドの評価を高めるに違いない。


By AUTOBLOG STAFF
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

アバルト 124 スパイダー 日本仕様スペック(カッコ内はAT)
サイズ:全幅4,060mm × 全幅1,740mm × 全高1,240
ホイールベース:2,310mm
車両重量:1,130kg(1,150kg)
エンジン:直列4気筒「マルチエア」16バルブ インタークーラー付ターボエンジン
排気量:1,368cc
最高出力:170ps/5,500
最大トルク:25.5kgm/2,500
トランスミッション:6速マニュアル(6速オートマチック)
JC08モード燃費:13.8Km/L(12.0km/L)
消費税込み価格:388万8,000円(399万6,000円)

公式サイト
http://www.abarth.jp/124spider/

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