【提案】「アメリケイ」今こそ軽自動車を米国へ導入するべき
日本の軽自動車は、実用的な交通手段を体現したものである。設計に関する厳しい規定があるにも関わらず、市場で見事に成功を収めている。このニッチにも見える自動車のカテゴリーから、米国が学べるものはあるだろうか? もしあるならば、その長所を米国の市場で活かすことができないだろうか?



軽自動車とは?
「軽自動車」は「軽便な自動車」のことで、日本で非常に人気の高い、自動車における特定のセグメントを表す。日本の政府によって軽自動車のサイズとエンジンの仕様は規制されているのだが、(米国人の我々から見たら信じられないほど)大衆の移動のアシとして役立つことが証明されている。エンジンの排気量は660cc以下、最高出力は64ps以下に制限されており、代わりに税金と保険料が安く済む。個人向けの最も経済的な移動手段であることは明らかで、整備費と消耗品のコストも一般的な乗用車に比べるとかなり抑えられる。クルマの価格と維持費が安いので、日本では米国よりも家計に優しくクルマを持つことができるのだ。


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軽自動車が米国でも求められる理由とは?
米国で家計の主な障害となっているのは、不釣り合いなほど多くの資産をクルマに割り当ててしまうことだ。一見すると、ガソリン代と消耗品に掛かる費用は、年単位で考えればそれほど負担になる額ではないように思える。しかし、週単位で給料日と支払日の関係から考えてみると、結構な負担に感じるだろう。満足のいく公共交通手段がない街でさえ、高額な保険料と無視できないガソリン代、そして高い生活費によって、多くの市民がクルマを手放す決断をしているのだ。Uberのようなライドシェアリング・サービスが、人々の移動手段として驚くほど多くの支持を集めている。大衆が自家用車を手放す傾向が続けば、自動車市場の真ん中に穴が開いた状態に陥る。では、どうすればいいのだろう?

この穴は、現状の変化に適応しこれを利用しようとする競争力の高い自動車メーカーが埋めることになるだろう。その新しい自動車の展望は、全ての人々に最大の利益と価値をもたらす、新しい種類のクルマによって占められるはずだ。つまり、米国に軽自動車を導入する絶好の機会がここにある。

鍵となるのは燃費とパッケージングだ。小排気量の内燃機関、ハイブリッド、電気、どんなパワートレインでも、軽自動車の本質的な長所は変わらない。コンパクトなサイズなのに車内は広々としており、維持費も燃料費も安い軽便な自動車は、常に需要があるはずだ。社会が求める必要性に合わせて変化できる賢いプラットフォームと言える。この理論は、すでに日本で約70年に渡って証明されている。


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どうやって開発を実現するか?
この種のクルマは、複数の自動車メーカーによる共同で製造されるのが最適だろう。可能な限りコストを削減できるからだ。このような共同事業は自動車業界では実際に前例がある。第二次世界大戦下、自動車メーカーは一般車から軍用車製造へ転換が求められ、ウイリス-オーバーランドとフォードは、アメリカン・バンタムが原型を設計した"ジープ"の量産に注力し軍力支援した。とはいえ今度は強制的に同じ目的を掲げて開発を進めるのではなく、同時に多様な平時の問題を解消するために競合他社同士が手を取り合うことはできないだろうか?

その答えとして、コンポーネントや仕様を共有した共同開発プラットフォームが挙げられる。実際にこれまで、GMトヨタによる前例があるのだから、他の自動車メーカーでも可能だろう。ただし、市場シェア獲得を狙うプラットフォームではなく、むしろ各メーカーが互いに学び合い技術力を向上させることができるフォームだ。より意識的に、より躍動的に、一般大衆に自家用車というものを再定義させることが目的となる。意識変革した自動車オーナー達は、地域社会と地域経済の双方を、今まで以上に行動的に牽引していくことになるだろう。


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米国仕様の軽自動車は、需要に応えるためは少しばかり大型になるはずだ。それにはエンジンの排気量も750~1,000ccあたりに設定し、日本の軽自動車と同等の性能を実現する必要がある。だが、それは実現可能だ。開発費や製造費は、ツールやパーツを共有することで削減される。さらに共有したビジョンから、よりグローバルな市場で競争力のある(つまり価格を抑えた)モデルや、企業向けにフリート販売できる積載性を高めたモデルが、生み出されていくかもしれない。

これは議論するテーマではなく、もはや責務である。技術やリソースは今まで以上に豊かな現代だ。あとは単に、適切な技術を適切な方向に導く指揮が執れるか、ということだけが問題なのだ。


翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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