BMW Motorrad G 310 R
 普通2輪免許で乗ることができる「BMW」として、2015年のイタリアミラノショー(EICMA)にて発表され以来、やっと今年の6月から日本国内にて発売が開始された「G310R」。ちょっと前までは、輸入車は大型免許を持っていないと乗ることができなかったというのに、KTMのスモールDUKEシリーズ(125cc、250cc、390cc)や、DUCATIのスクランブラーSixty2(400cc)などに続いて、BMW Motorradからも、普通2輪免許、いわゆる中免で乗ることができるバイクが登場するということに期待感は高まるばかりだった。実車は幾度か見る機会があったが、まだ乗ることができない、そんな状態が1年間続き、やっと、やっと日本でも発売となったのだ!

BMW Motorrad G 310 R
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 気になる価格だが、なんと税込み58万円! カラーは3色(パール・ホワイト・メタリックはプラス7,500円)。BMWというブランドにこの価格で乗ることができるのか...、とかなりの衝撃ではあったのだが、もともと「G310R」のコンセプトとして、エントリーユーザーやセカンドバイクとしての購入を見越したもの。さらには、BMWが提携するインドのTVSモーターカンパニーが生産を行うことで、コストを大幅に押さえこの価格が実現したということなのだ。とはいえBMW本社工場との同等のクオリティを維持しているので、その点は安心できるだろう。

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 ということで、まず試乗車に跨がってみる。シート高は785mmとある。身長157cm(体重48kg)の私だと写真の通り、両足を着こうとするとつま先がつんつん状態。数値的には普通なハズなのだが、シートは絞り込まれているものの、少し幅があるせいなのか足着きは良いとはいえない。身長が低めの初心者となると、ちょっとドキドキしてしまう高さである。しかし、足着きがあまり気にならない私にとっては、片足だけであればお尻をずらさなくてもべったりと付くので、悪いというわけでもなく、慣れてさえしまえば問題ないレベルだ。

BMW Motorrad G 310 R
 車重は186.5kg。250ccクラスの車両と同等ということもあり、車体を起こすのに苦労する重さではない。他のBMW Motorradの車両に乗ったことがある人なら分かるかもしれないが、BMW Motorradはそれなりに重量がある。なので、この「G310R」に跨がったら、軽い!と思うだろう。だが、最近軽いバイクにばかり乗っていたせいか、見た目からの印象よりも"しっかりと重量がある"な。と感じた。この、重量があると感じた部分は"BMWらしさ"であり、軽くても軽さだけではない安定感や乗ったときのバランスなどを考慮した結果なのであろう。全体がコンパクトで重心が低いこともあり、車両の押し引きといった取り回しは気軽に楽に行えるので、女性でも苦労することは無いはずだ。

BMW Motorrad G 310 R
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 スタイリングはBMW Motorradのロードモデルである、S1000Rの遺伝子を引き継ぐシュラウドが装着されたストリートファイターの風のデザイン。特徴的なタンクに、軽量化を目的としたカットアウトしたスイングアームなど、BMWらしく細部が作り込まれ安っぽさはあまり感じられない。

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 ただ、少しだけ残念だと思ってしまったのは、ライダーが一番目にする場所であるコックピットとハンドル周り。余分な物を省いたシンプルさが潔いとも言えるのだが、ディティールにもこだわりたい女性としては、潔すぎてトキメキ成分が足りない。ブリッジにはかわいらしくロゴがあしらわれてはいるのだが、そこに目が行かないもったいなさがある。この潔さは、質実剛健なBMWらしいといえばその通りなのだが、なんとも寂しく感じてしまったのだ。私がこの「G310R」を手に入れたら、盆栽的にもハンドルとブリッジは真っ先にカスタムするだろうな、と。

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 そして、レバー類には調整機構がついておらず、初心者や女性に乗って欲しいモデル、ということであれば調整の類いはつけて欲しかった。この排気量に何を求めるんだ? って言われそうではあるが、だって、BMWですよ! ついていて当然と思ってしまっていただけに、がっかり感が大きかったのだ・・・。でも、58万円という価格を考えると、こうなって当然なのかもしれない、と妥協できなくはない。この価格だけに、カスタムという楽しさが味わえるというのも、それはそれでバイクに乗る醍醐味でもあるワケだから。

BMW Motorrad G 310 R
 今回試乗したのは東京のベイフロント、お台場に位置する「BMW GROUP TOKYO BAY」周辺。気軽に乗り回せる排気量であり、ツーリングのみならず普段の足としても活用させたいといったシーンにはぴったりの場所。さらに、お台場といえば、白バイやパトカーに良く捕まる名所としてもバイク乗りには厳しい場所でもあるので、普段使いのインプレッションには最適な状況となった。

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 「G310R」に搭載されるのは、水冷単気筒の313ccエンジン。単気筒とあってトコトコとした軽やかさがありながらも、低速でも粘りがあり乗りやすい。発進時さえ気をつければ回転数やシフトを気にせずとも滑らかに駆け出すことができるのには驚いた。エンジンの許容範囲が広く、回転数にシビアになる必要がないので、気負わずに走らせることができる。今回50km/h以上で乗ることができる場所を走らなかったため、それ以上の領域になると、どんなパワーを発揮するのかは、別の機会に試してみたい所ではあるが、低速からでもノッキングすることなく、スルスルと伸びやかに加速するスムーズさを体感すると、きっと面白いに違いないだろうと、容易に想像できる。

BMW Motorrad G 310 R
 乗車ポジションは、コンパクトな車体の割に窮屈さはない。前後の自由度も高いし、ハンドルもやや広いかな?と思う程度で、遠すぎず近すぎず。ただ、ステップがもう少し後ろについていたほうが私の好みだ。大きい人が乗るのであれば、25mm高くなるオプションのハイシートにしたほうがより快適になるだろうと思われるし、また足着きに不安がある人には、15mm低くなるローシートも用意されている。快適性は多少犠牲にしてでも、安心感は何よりも大切。慣れてきたら元にもどせばいいだけのコトなのだから。また、タンクのでっぱりにより、ニーグリップの位置に悩み、がに股風に見えてしまうのが女性的には残念ではあった。

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 そして、この「G310R」の一番と特徴と言えば、前側から吸気して後側で排気するという、前方吸気・後方排気エンジンという変わった方式を採用しているというところ。このことにより、重心位置が低くなりフロント側に置くことができるので、スイングアームの長さをだしつつも、ホイールベースを短くすることを実現したということなのだ。

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 この恩恵なのか、乗っている時の安定性が非常に高い。足着き性が抜群!とは手放しでは言えない車両なのに、ストップ&ゴーが多い街乗りで、不安定になることは皆無。さらに、ハンドリングは軽やかではあるのだが、ヒラヒラとした軽やかさではなく、どっしりと構えて行ける安心感が心強く、コーナリングでも思い描いたラインをキレイにトレースしていけるのだ。この辺りはさすがBMW。

BMW Motorrad G 310 R
 小さい車両ながらも安定性が快適性に繋がっているBMW Motorradの遺伝子を確かに感じた。そして、これからもっともっと、洗練されて成熟していくであろうという期待感に胸が躍る。この安定性と扱いやすさは、免許取り立ての初心者から、大型の車両を取り回すのに疲れてしまった女性、さらには昔とった杵柄的なナイスミドルなリターンライダーにもお勧めしたい乗り味だ。ただただ乗りやすいというだけではなく、単気筒ならではの回して操るという、バイクの基本的な操作がきっちりと味わうことができるからだ。

BMW G 310 GS
 このエンジン特性などを体感すると、昨年11月に行われたミラノショー(EICMA)にて発表された、「G310GS」の存在がものすごく気になるトコロ・・・。きっと楽しいに違いない、と妄想を膨らませずにはいられない。こちらも期待して待ちたいところだ。

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