アストンマーティン初の市販電気自動車「ラピードE」は155台の限定生産に 中国LeEco社と提携解消後も独力で発売を目指す
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アストンマーティン初の市販電気自動車となる「ラピードE」は、提携関係にある中国のLeEco社が資金不足によりプロジェクトから撤退したことを受け、当初の予定より生産台数を縮小することが余儀なくされたと、同社のアンディ・パーマーCEOは26日、ロイターに語った。

アストンマーティンでは、当初の計画の約3分の1にあたる155台のみのラピードEを製造する予定であり、テレビやスマートフォンの販売で知られる中国のLeEco社が同プロジェクトから撤退した後は、英国のF1チームであるウィリアムズの関連会社との関係をさらに重視することになると述べている。

計画が後退したことに対するアストンマーティンの反応は、顧客や行政による将来的な電気自動車の需要に備えようと躍起になっている自動車メーカー各社が直面する、今後の課題とリスクを浮き彫りにした。大メーカーの傘下にないアストンマーティンは、架空のスパイ、ジェームズ・ボンドの愛車として宣伝効果を得ているものの、多くのライバル社のように親会社からの財政的支援を受けることはできない。

「我々はラピードEを、希少で当然ながら高価なモデルとして位置づけることに決めました。資金的にも独力で開発を続ける計画です」とパーマーCEOは語る。



"アストンマーティンとLeEco社の提携関係が頓挫した"との情報をロイターが報じた後、パーマーCEOはインタビューに応じた。両社は昨年2月に市販EVを共同開発すると発表し、2018年までにアストンマーティンの4ドア・モデル「ラピードS」をベースにしたEVを市販すると約束していたが、LeEco社はその後、EV開発への投資を削減している。これには同社が出資する米国の振興EVメーカー、ファラデー・フューチャーが13億ドル(約1,450億円)を投じてネバダ州に建設中の工場も含まれる。

訴訟記録によると、自動車シート・メーカーのFuturis社やメディア・プロバイダーであるMillグループを含むファラデー・フューチャーのサプライヤーは、未払いで同社を訴えている。LeEco社とファラデー・フューチャーの広報担当者は、アストンマーティンとの提携の終了に関するコメントの要請に応じていない。また、アストンマーティン側もLeEco社についてのコメントを控えている。



アストンマーティンはフォードから売却されて以来、今年第1四半期の決算で10年振りに黒字に転じた。現在はイタリアの投資会社インベストインダストリア社やクウェートの投資会社インベストメントダール社などが同社の経営権を握り、2014年に日産から迎えたパーマーCEOによる厳格な成長戦略の下で、毎年新しいモデルを発表している。英国ウォリックシャー州ゲイドンに本拠を置く同社は、LeEco社の資金協力がなくなった後も、予定生産台数を削減し、発売予定を2019年に先送りして、独力でラピードEの計画を推し進める予定だ。6月21日にこの計画は取締役会の承認を得ている。

価格は約2,900万円

アストンは来月にこのラピードEの予約受注を開始する予定であり、補助金を含まない価格は、イギリス本国で20万ポンド(約2,900万円)になるという。最高出力552hpの6.0リッターV型12気筒エンジンを搭載するラピードSより、5万ポンド(約720万円)ほど高い。テスラの高級EV「モデルS」では物足りないと考える、限られた富裕層がターゲットになりそうだ。

そのバッテリーは、英国政府の資金援助を受け、ウィリアムズF1チームの関連会社であるウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング社と合同で設立された新工場で製造される予定だ。ウィリアムズは電気自動車レースのフォーミュラEにもパワーバックを供給しており、2015年に発表されたラピードEのプロトタイプの製造も手掛けている。



アストンマーティンでは、ラピードEの次に、本当の量産電気自動車として新型クロスオーバー「DBX」のEVバージョンを計画している。2019年に生産が始まるDBXは、EVとガソリン・エンジン搭載車の双方が設定される予定で、現行の最新モデル「DB11」を上回る成功が期待されている。

「ラピードEプロジェクトは、DBXのEVバージョンに向けた準備として、少量でも生産することから我々は様々なことを学ぶことができます」とパーマーCEOは語っている。


By Reuters
翻訳:日本映像翻訳アカデミー