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先日リリースされたiOS 11の最新ベータ版によって、テスターたちはこのモバイルOSの(最も魅力的なものではないかもしれないが)最も重要な新機能を試すことができるようになった。長い間登場が待ち望まれていた「運転中の割り込み禁止(運転中の着信拒否)」(Do Not Disturb While Driving)モードだ。6月のAppleの世界開発者会議(WWDC)で発表されたこの機能は、運転中に人びとが電話を見たくなるような様々な通知を無効にすると同時に、とても危険な運転中のSMS利用を制限しようとするものだ。

スマートフォンの登場によって、脇見運転が国家レベルで私たちの安全を脅かすようになった。米国運輸省の統計によれば、死者が出た事故の10%、負傷者が出た事故の15%、警察に報告された全ての車の事故の14%が「脇見運転(distracted driving)」に起因するものだ。なお脇見運転は携帯電話の操作だけではなく、ラジオの調整やエアコンの操作なども含む一般的な用語だ。

2015年には、脇見運転によって3477人が死亡し、39万1000人が負傷している。

多くのサードパーティがこの問題に対して、車が動いている最中にSMS操作を禁止するモバイルアプリケーションを提供することでアプローチしてきた。しかしシステムレベルでの統合が可能だったのはAndroidデバイスだけだった。iOSアプリケーションは「サンドボックス」環境で動作するため、例えば他のアプリケーションがSMSを利用することを禁止するといった、iOSへの機能干渉を行うことはできない。このため通信事業者たちは、AT&TのDriveModeのような各社独自の対策をとって来た。しかしこれらは着信やSMS通知を無音にするだけで、アプリからの通知を無音にすることはできない。

iOSにビルトイン機能が欠けているため、アプリメーカーたちは、例えば外部ハードウェアの使用などの、何らかの回避策を生み出して来た。しかし大抵の場合、iOSアプリは実際にアクティビティをブロックするというよりも、監視ソリューションを提供することができるだけだ。他のアプリメーカーたちも、各自のソリューションをiOSに移植することは諦めて来た。

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Appleの「運転中の割り込み禁止」機能は、移動する車両内でのSMS操作や各種通知を完全に禁止するものではない。代わりに、Appleがこれまでは提供してこなかったレベルで、割り込みをシステムレベルで抑制するものだ。

この機能を有効にすると、電話機が車のUSB接続またはBluetoothに接続されているときに、車の中にいるかどうかを判定できるようになる。また、iPhoneが車に接続されていない場合でも、iPhoneのセンサーを使用して移動速度を判断することができる。

AppleのシニアバイスプレジデントのCraig Federighi氏は、6月のWWDCでこの機能を紹介する際に「目を路上から離さないようにするためのものです」と説明した。「運転中には、こうした通知に反応する必要はありません。実際に、それらを見る必要はないのです」。Twitter、Tinder、Words with Friendsのようなアプリからプッシュ通知を受け取るデモを披露しながら、彼はそう語った。

しかし、iPhone自体が完全にロックされているわけではない。たとえば、CarPlay機能は継続する。音楽を再生したり、地図やその他の経路探索ソフトを用いてナビゲーションの支援を受けることができる。さらに、DND While Driving(運転中は割り込み禁止)の設定内容を編集して、常に着信可能な連絡先を選ぶこともできる。これは現在iOSで提供されている「おやすみ 」(DND=Do Not Disturb)モードの動作と似ている。

車が動いているときに、外部からSMSを送信したひとは皆、"I'm driving with Do Not Disturb turned on. I'll see your message when I get where I'm going."(「運転中の割り込み禁止を有効にして運転中です。メッセージは目的地に到着したら読みます」)という返信を自動的に受け取る。また、それに続くSMSテキストで緊急の際の対処方法が伝えられる、"If this is urgent, reply 'urgent' to send a notification through with your original message."(「もし緊急のご用件の場合には、"urgent"(緊急)と返信して下さい。オリジナルのメッセージと共に通知が行われます」)。

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設定をバイパスする方法があるという点が、導入の鍵だ。

人びとは一時的にでも、そのデバイスから切り離されることを恐れるものだ、何故なら緊急事態または急ぎの状況で、誰かからの連絡ができなくなることが心配だからだ。スマートフォンがこれほどまでに普及するまでは、私たちはなんとかこの事態を凌いでいたものの、今やそのときのやり方に戻ることはほとんど不可能だ。私たちは常に繋がれていて、たとえ通勤や通学での短い移動の間でも、繋がりが絶たれている(ように見える)ことはできないのだ。

親たちはまた、iOSの設定の機能制限(ペアレンタルコントロール)メニューを通して、10代のドライバーたちのためにこの新しい「運転中の割り込み禁止」機能を有効にすることもできる。新しく改造されたコントロールセンターで手動で機能をオン・オフすることも可能だ。ここではワンプッシュで機能を有効化できるウィジェットが利用できる。

モードをオンにすると、携帯電話の画面は暗くなり、重要なアラートだけが通過するようになる。この機能の設定によって、送信されるSMSテキストをカスタマイズしたり、受信者(連絡先、お気に入りなど)を指定したりすることもできる。

また、運転車ではなく同乗者の場合には、機能を一時的に無効にすることもできる。

Appleはこうした脇見運転防止機能への対応において、極めてゆっくりとした対応しかとれていない。Androidはすでに最新の携帯電話機種では、Android Autoを使用したAuto Reply(自動返信機能)を既に提供している。しかし、提供が遅くなったとはいえ、この機能はiOS11に取り込まれた最も重要な機能の1つだ。

iOS 11は現在ベータ版で、今年9月に一般公開される予定だ。

※こちらはTechCrunchの記事を許可を得て掲載したものです。